2026.07.15

期待値と違和感と

ひさしぶりに舞台を途中(休憩時間)退場しました

書き下ろし新作は内容わかりませんから、原則役者
目当てですが、既存戯曲は基本は作品にする信頼と
演出への期待で見に行きます。
演出家により解釈は違い、内容がビクトリア朝で
衣装が21世紀でも、配役が従来と老若男女が違って
いても最近は少しも驚きもしませんが、出来上がった
芝居、を見に行く訳で、そのプロセスを見たいのでは
ありません

奇抜、アイデア、趣向、大歓迎
斬新、ユニーク、どんとこい
歴史を生き残ってきた古典は、思い付きや小細工で
つまらなくなるほど柔じゃないと思ってました。
でも、こんなにズタズタにしてまで見せたいものって何?

クリエイターの才能でもっと面白くなったシバイと
役者の演技は見たいけれど、もっとフツウにやって
さえ十分に面白いシバイを、加工した才能だけが
前面に出て、元のシバイとベツモノになったのを
見たかった訳ではないのです。

素顔が十分美人だったのに、加工しすぎて別次元に
なった写真を見ているようで、フラストレーションが
限界を越えました
勿論、才能を楽しめなくなった私の許容範囲が狭く
なっただけですが、期待値が高かっただけに、その
ズレにいたたまれなくなりました

当たり前すぎたら、それはそれで多分つまらないとか
思うかもで、納得ポイントってどこにあるのか、
難しいですね

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スーパー歌舞伎「もののけ姫」を観る

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家族の影響で歌右衛門さんや梅幸さん、二代目松緑
さんあたりの、That's古典歌舞伎から鑑賞の世界に
入ったのですが、親世代はスーパー歌舞伎に否定的
でしたし、私もこれまでも何度も見ていますが、
やはり歌舞伎とは別の現代演劇だろうな~、と思って
きました。

しかも今回は、さらに全く通ってきてないジブリ作品
と言うWハードル (笑)
(八)菊五郎さんによる、ジブリ「ナウシカ」歌舞伎も
見ましたが、原作未読で手がかりのない状態では
独自のルールで成り立つ世界観の作品の理解ぎ追い
つかず、何だか判らないまま終了。
今回も原作ありき、既読前提だったら困るな~、と
思ったものの、何しろ時蔵さんが、どう考えても
大好物(笑)な「朧~」ツナ様系「戦うお姫さま」をなさると
言うので、チケット確保
と言いながら、やはりアニメも見ず、予備知識なし、
いわゆる「ミリしら」、イヤホンガイド頼みで臨み
ましたが(懲りない)、今回はフツウに?楽しめました 。

理由は多分3つ
一つは何より勿論、時蔵さんのカッコ良さ。
もうエボシさまを堪能できただけで大満足(笑)
配役した方に感謝しかありません
お園やツナ様で見せた、時蔵さんの身体能力と、
女形で培われた、どうやっても崩れない姿の美しさは、
サンとの立ち回りでも遺憾なく発揮されましたし
(雪姫。八重垣姫と同一人物なのかレベル?)、鉄砲を
打つ場面など、殆ど「エリザベート」(笑)
衣装の紫に、ラメ入りのしけがポイントの髪形、
括り袴も凛々しいが、ちゃんと姫らしい冠もあり、
出自は語られませんが(どうやら原作も)、ジコ坊と
知り合いとなれば、かつてはミヤコにいた貴族の
末裔かとか、「瀧夜叉姫」の方向性を勝手に推察して
いました(笑)
窮地に立たされても気高さと気配りを失わない姿に、
従いていきます、お守りしたい、の推し愛炸裂(笑)
そう言えば、エリザベートも「理不尽と戦う気高い
お姫さま系」、歌舞伎と相性よいかも(笑)

ついでに、谷底に落ちた民と、鉄砲を打つエボシさま
と言うシチュエーションは、形と言い、人の倒れかたと
言い、まるで「レミゼ」の砦、でした(笑)

二つ目は世界観
歴史における中心と対立する地方、アウトサイダーを
描く物語は、いのうえ歌舞伎「阿弖流為」もそうでし
たが、古典にも「奥州安達原」や「忍夜恋曲者」などの
先行作品があり、今回のような世界観を持つ物語は、
歌舞伎との親和性があり、理解の手がかりになりました
何より和の世界で衣装が和服なのが、個人的には
安心して見られたのが良かったです
ちょっとだけ言えば、サンの服の丈はもう少し長いか、
材質を薄くふわりとさせて揺らすか、装飾は着物の
柄にしてもう少し腰回りをすっきり見せても良かった
かなとは思いましたが

また、今回のような動物(含・人間)がナニモノかに
変化する世界を描く作品は、「日本振袖始」や 「児雷也」
「天竺徳兵衛」など、動物やその化身などの登場する
作品が多い歌舞伎と相性が良かったのが何よりで、
特に後半の、笑三郎さんのモロの君と、中車さんの
乙事主の戦いのシーンは、歌舞伎の技術がきちんと
取り入れられていて、本当に素晴らしかった(です
〔後に詳述)

そして3つ目が逆接的かつ最大のポイントで、今回は
私には「スーパー歌舞伎」らしくなかったところかなと。
これまでのスーパー歌舞伎で苦手だったのが、見せて
いるものは外連なのに、内容が観念的、あるいは
イデオロギーが暗喩なしでストレートで語られる
ギャップとか、主人公一人だけが万能なスーパー
ヒーローな感じ、また取り上げる原作やそれを歌舞伎
にした時のビジュアルが、歌舞伎にしたかいがあるの
かな?話題作り、あるいは個人的好みの無理矢理
じゃないかな?と感じる作品もあり、もやもやして
いました。
今回も全体に強いメッセージがこめられていましたが、
主人公のアシタカがイデオロギーを語ることはなく、
みずからすべてを切り開くと言うよりも、ロード
ムービー的に様々な世界と出会い、目で見て知り、
成長する物語。
アシタカも万能でもないし、出会う世界も必ずしも
アシタカの思いに添うもなでもなかったり、ラストも
アシタカが全てを超越したり悟ったりして教訓めいた
事を言わないところが(原作がそうかは判りませんが)
違和感を持たずに済みました

特に印象的だったのが、主人公たちを取り巻く世界の
描かれ方の見事さで、とりわけ素晴らしかったのが、
前述のモロと乙事主との一騎討ち。
手にケモノのシンボルとしての頭を持って踊るのは、
「春興鏡獅子」など歌舞伎舞踊に多用される手法で、
互いにシンクロし、見得を挟みつつ描かれた対決は
全く歌舞伎ならでは、でしたし、ついでにカテコでの
二人?二頭?の挨拶も素晴らしかったです。

また、アシタカの相棒であるヤックルも、歌舞伎の
得意とする、人を乗せる馬の手法が存分に生かされ
大活躍
首の動きや歩みの前後移動でヤックルの気持ちが
ちゃんと伝わる「中の人」の塩梅が見事でした。
勿論、忘れてはいけないのが、子役が大活躍の「こだま」
たち
森と言う異世界におけるアイドルで、全くズルい
レベルの可愛さでした

更に今回、目を引いたのが、装置と大道具。
モロの君とサンが、崖の上で語り合うシーンの崖
セットのリアル高さは「俊寛」や「碇知盛」の幕切れ
レベルで、役者さんは怖くないのか、と思って見て
ましたし、一番驚いたのが、デイダラボッチが失われた
己の首を探してさまよう場面
音と照明で本体が舞台奥から現れて客席に向かい、
客席頭上を通り抜ける気配を演出しつつ、巨大に
作られた青い両手が、舞台奥から登場し、下から
支える黒子の動きで、実にアナログに揺れながら
近づく様子が表現されました
この、じわじわゆらゆらが一階客席に文字通り触手を
のばすさまは、三階席から見てもなかなかなリアリ
ティで、アナログならではの不規則さが、逆に生々
しさを表現していました
当節、巨大セットや大道具は、一度作ればコストが
低く、作り直しも容易?なプロジェクションマッ
ピングや映像のような、テクノロジーに置き換え
られる事が増え、それはそれで視覚的リアリティは
ありますが、この五感を刺激する実在はやはり舞台
ならでは。
巨大セットに道具、と言えば、かつては蜷川さんの
代名詞で、「メディア」の舞台まるごと池に巨大蓮とか、
それが通称になった、「NINAGAWAマクベス」の仏壇、
「グリークス」の振り子、「タイタスアンドロニカス」の
ロムルスとレムス像、など枚挙に暇がありませんが、
久しぶりに巨大道具でびっくりする舞台を見ました

一方、ジコ坊が人生について語る場面は「ハムレット」で
ハムレットがホレイシオに語る「今来るなら明日は
来ない、明日来るなら今日は来ない」に通じるものが
あったのも、個人的にはツボでした。

昔は新作とか言っても、振りとか趣向が古典のあそこに
準えてて安易で工夫がないな、とか思ってましたが、
やはり歌舞伎のお約束「世界」と「趣向」に無理にでも
乗ることのできる作品の方が、歌舞伎と言って説明
するのにも無理がない気が最近はしています。

何よりも、宙のりあり、現代語セリフなのは、スーパー
歌舞伎のアイコンそのものですが、いのうえ歌舞伎に
陰陽師、アニメにゲーム、野田版、三谷さんにインド
神話、など、様々な新作歌舞伎でこれらがごく当たり
前に使われる手法になってしまっている今となっては、
パイオニアである澤瀉屋さんが主人公をなさる、
最終的に、お約束の豪華衣装でフライングする、と
言う以外に、最早、スーパー歌舞伎と肩書きする
アイデンティティーって何だろうなぁ、と思ったり
しました。
いちいち古典だ新作だとカテゴライズするのも無意味
だし、古典だからと言っても稀にかかる「復曲」が
面白いとも限らない
つまりは新旧より「どの時期においても、今、の観客が
面白いか」が肝ですね

ともあれ、個人的には時蔵さんが見られただけで
十分満足でしたが、原作のファンの方はどうご覧に
なっているのか
チケットの売れ行きは凄いので、受け入れられて
いたら良いなぁ、いつも歌舞伎をご覧にならない方に、
歌舞伎女形の底力が伝わると良いなぁと思います

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2026.07.09

「御浜御殿綱豊卿」が面白かった

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いつもなら「~を観る」、ですが、今回は実感で(笑)

正直、真山青果作品、苦手です
聞きなれないワードもりもりの古典のセリフも大変と
言えば大変ですが、これはもうシェイクスピアと同じで、
歌舞伎ってそう言うもの、で受けとめますし、まあ
年数だけは見てるので(笑)
しかし真山さんのはロジカルもロジカル、理詰めすぎ
現代の思考に近いのかもですが、江戸の人物が、
しかも仇討ちなんて、ロジカルと凡そ正反対の、
見返りのない心情100%の事象に、現代人の論理で
解析してみました、どうだ~(鼻高々~)、みたいな
感じが、どうも(笑)。
仁左衛門さんも勿論、亡き吉右衛門さんもお好き
だった演目なので何回も見てはいますが、内心は
毎回「ああ、真山さん」(汗)
何より、会話劇が肝、なだけに、どこかで確実に眠気が
来る(さらに汗)
この「御浜御殿」だと、だいたい白石先生の場面は記憶が
なくなる(苦笑)。
幕切れの綱豊卿の能「望月」の後シテ姿が、格好良いので
最後まで見るし、絶対覚醒。
しかし、考えると能「望月」自体が、敵討ちの、しかも
油断させたりお酒飲ませたりしてから、討つ物語で
いくらお大名のパーティーの余興、とは言え、ましてや
吉良さんがやる役に、ロジカル真山さんが選ぶかな、と
は思っていましたが、ちょっと調べると、どつやら
元は別の演目指定だったのが、上演にあたり(多分役者
さんのご希望で)変更になったらしい
しかも、能だと獅子舞や越後獅子のような赤頭の
後シテをわざわざ白頭にまでして、さらに爽やか
明らかなビジュ優先(笑)

さて、最大限の睡眠対策で臨んだ今回も、やはり
白石先生は寝ましたが(笑)、それ以外は自慢では
ありませんが、割とちゃんと見ました(笑)
っていうか、冒頭の綱引きとか、セリフとか、なんか
今回全体が豊かだった気がしました。
何より、仁左衛門さんと言い、孝太郎さんと言い、
セリフの解像度が凄い
一方、わざとかもですが、幸四郎さんの富森と莟玉
さんのお喜世が早口に力みすぎて、脳血管大丈夫ですか、
な感じ。
しかし仁左衛門さん綱豊と、幸四郎さん富森のやり
とりが、単なるセリフ、でなく、生身な会話に聞こえ、
やはり役者さんは凄っ。

何より、仁左衛門さんの圧倒的存在感
座る、刀を手に取る、視線を配る、それひとつで
空気を変える、ナニゴトと惹き付ける佇まいが最高
でしたし、江島の孝太郎さんがいつもながら名サポート
莟玉くんの女形はフツウなのにいつも何かが過剰な
感じがする不思議(笑)
また、今回は、陽喜くんが、おいぬ某役で出演。
ギスギスした場面に巡礼のコスプレで登場。
去年、弟の夏幹くんも「いがみの権太」の息子役で
仁左衛門さんの舞台に出演されましたし、二人とも
パパの出ない舞台にも出演が増えて何より。

そして見逃せないのが、殆どセリフないけど、中臈役の
宗之助さん
この方、普段は今回のように、女形で気配すら消せる
脇を固めるに欠かせない方ですが、「阿弖流為」など
新作になると、どこにこんなパワーが?同一人物?と
思う程に老若男女どんなキャラクターもこなせる
凄い役者さん
とりわけ「歌舞伎NEXT~朧の森に棲む鬼」での、
ライの手下、小悪党のアラドウジとか、最早どなた
ですか?と何回もオペラグラスで確かめた程

「マハーバーラタ戦記」で読売新聞演劇大賞の審査員
特別賞を受賞された、贔屓の芝のぶさんもですが、
歌舞伎役者さんの、技術的ポテンシャルは本当に
凄いです
新作歌舞伎における、幹部以外の役者さんの活躍に
ついては、近々別項にて

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2026.06.21

安土&近江八幡、小旅行

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先月、初めて安土と近江八幡に行ってきました

安土は、勿論、安土城が目的ですが、絶大な知名度と
人気を誇る信長さんの、最も有名な城(跡)なのに、
一度も行っていないし、そもそも観光地として、
そこまで定番観光スポットなイメージはなく、いつも
新幹線から「あのへん?」と眺めていたのですが、
先般の「ブラタモリ」も興味深く拝見し、また今年は
大河も戦国ものですし、盛り上がったりしてるかも、と
思い立ち、伺ってみました。
で、何となく「定番」にならない理由も理解してきました(汗)

まずは安土へ
安土駅は思っていた以上に小さい駅で、信長さん像も、
甲府駅前の巨大信玄像に比べたら、どちらか天下取りに
一番近かったんだっけ?と勘違いしそう(笑)
しかも、安土駅から城跡や見学施設まで、コミュニ
ティバスなりルートがあるかと期待したのですが、
なんと。
レンタサイクル一択でした
ううむ。
乗り慣れない自転車で大怪我をした事があるので、
私には慣れないレンタサイクル旅の選択肢はなし。
勿論、車もなし、タクシーも見当たらず。
残された方法は。
勿論、徒歩です

しかしこれがまた、なかなか悩ましいのが、メインの
観光スポット二つの位置関係。
一つは勿論、安土城跡
もう一つは安土城ミュージアム(正式には「安土城天守 
信長の館」と言うらしい)で、こちらは構造や歴史の
説明とセビリア万博で展示したと言う、天守閣の一部の
実物大模型(実在しないのに、実物大模型と言い切る
のも謎ですが)と、今はVR体験ができる
これがそれぞれ駅を起点にして右前方、左前方に
それぞれ約2キロ程の位置にあるイメージで、かつ
二つの間も直線で約500メートル離れている、つまり、
二つの場所はV字の両先端、回遊するにしても二等辺
三角形。
勿論、全部、歩きました(笑)
先に「館」に行ってから、安土城跡へ、コース。
田んぼのど真ん中の農道がオフィシャルルートらしく、
目的地まで視界を遮るものが一切なく、視野には山と
空のみ。
おかげで目的地まで迷う心配は一切なし。
休日の昼間に、歩く物好きも少なくて、勿論、他の
観光客のみなさまの主流は自家用車なので、風景独占。
強風でしたが、のんびりウォーキング
「館」の駐車場で漸く、他のお客さんを見かけました(笑)
目玉の天守閣模型は著作権があるそうで、撮影は可、
SNSへの投稿は不可でしたが、かなり複雑な構造。
これが本当に実現していたなら、「信長協奏曲」では
ありませんが、やはり信長さんは現代人がタイム
スリップしたのかもと、ちょっと小栗くんの顔が
過りました
VRは何年か前の制作だそうで、それでも充分見ごたえが
ありましたが、恐らく今ならもっと没入感のある
ものになっていたかも。

予習してからいよいよ、安土城跡へ
安土城跡は、総見寺と言うお寺の寺域になっていて、
城跡は見学、ではなく、拝観
「ブラタモリ」でもやっていて、今は石垣のみとは
知っていましたが、びっくりしたのが、その急峻さ
なっかなかな角度と、踏台乗降をはるかに越える段差、
踊場はなく、自然石なので、凸凹だらけ
また、景観保護からか、観光ではなく拝観だからか、
サポートになる手すりも鎖も一切なし。
石垣好きとしては、長浜同様、職人集団の技術力を
堪能したかったのですが、これが延々と上まで続いて
いると聞き、さすがに足腰にやや不安があるのと
(平地や斜面はよくても階段が)、まだ後半に近江八幡を
残していたので、途中の仮本堂、伝徳川家康邸跡まで
登り、お茶を頂いて早々に退散してきました
しかし、戦国時代の人は、あれを苦ともせず、草鞋
履きで毎日登り降りしていたかと思うて信じられ
ませんし、なんと言っても、そんなところに城を建てた
職人さんがすごすぎる

城跡から駅まで戻りながら歩きましたが、帰りは駅が
目視できず、さらに途中、市街化調整工事で回り道に
なっていたからか、mapの出した迂回ルートを鵜呑みに
したら、とんでもない遠回りだった事に駅に着いてから
気がつき、疲れました。
帰りにこれは堪えます

安土は、確かに信長さんの覇業の痕跡を知るに足る
遺構が魅力ですが、ポイント間のアクセスの不自由さと
プロセスを楽しませる工夫に乏しく、エリア全体と
しての魅力を発信できていない感じ。
統一性のある道案内と回遊マップの整備、土日祝
だけでもポイント間をつなぐコミュニティバスなどの
運行、施設を横断して使える割引フリーパス、何ヵ所か
回ると「天下布武」(仮)か「楽市楽座」(仮)ステッカーが
もらえるポイントラリー、(私は使えないけど)レンタ
サイクル割引、とかすれば良いのにと感じました。
更に駅周辺のインフラ、ロッカーやレンタサイクルの
設備も気になりました
数少ないコインロッカーに荷物を預けながら見て
いましたが、レンタサイクル屋さんが土曜でさえ、
記入も貸し出しも全部アナログで、お客さん2組で
バタバタして時間がかかっていました。
基本、平坦な町だったので、LOOP的なシステムを
取り入れたら絶対使えるし、キャッシュレスで便利に
なるはず。
まあ個人的には総見寺さんに、手すりか鎖、途中
まででもいいのでエレベーターの設置を期待したいです(汗)。
いや、なかなかたいへんでした、安土。

さて、安土駅で電車を待ちながら持ってきたお弁当で
腹ごしらえをして、いよいよ近江八幡へ
安土からはJRでわずか一駅
(と言っても結構なスピードで10分くらい)
こちらは安土と違って駅前通りに商店、銀行などもあり、
道は歩車道分離の路線バスも通る、ごく普通の街
時代劇のロケ地大定番の八幡堀を連想できる風景はなし。
どうなっているのか今一つ判らないまま、こちらも
駅からだいたい25分くらい歩けば、レトロ街並みですよ、と
駅の観光案内所で伺い、(性懲りもなく)歩いて向かい
ました。

途中近江八幡の誇る名店「たねや」のショップを越えた
あたりから、徐々に道幅が狭くなり、あれよあれよと、
明治昭和のレトロ街並みに突入。
街並みの中央にある白雲館は、それ自体もレトロ建築の
観光案内所
ここから、「メンターム」で知られる近江兄弟社と
関わりの深い建築家、ヴォリーズによる、通常非公開の
施設の特別公開、サッカー代表の睡眠も支える(笑)、
寝具の西川もこちらが創業の地とのことで、記念館と
ショップも目と鼻の先。
これも「ブラタモリ」受け売りですが、西川は江戸時代に
生産販売したオリジナルの蚊帳が大ヒットしたそう
ですが、確か近江八幡からも近い、近江守山は狂言
「蚊相撲」で主人公の蚊の精のセリフによれば「蚊の
名所」(笑)
勿論、それよりも一帯がよい麻の産地だったのが
ポイントのようですが、蚊帳、と言われてイメージする
赤い縁取りのついた緑の蚊帳、は西川さんの大ヒットの
影響とか
〔「四谷怪談」に出てきますねー)
さて、そんなレトロ街並みを行き止まると、いきなり、
タイムスリップしたように現れるのが、あまたの
時代劇のロケ地で知られる「八幡堀」
堀と言うように、道路から下がり、両側に建物(昔は
搬入口兼船着き場)があるため、どこをどう切り取っても
令和が混じらず「画になる」のがポイント。
写真も動画も撮りまくりました(笑)
ぐるっと回り、日吉神社をお詣りすると、出て来た
ところが最初の観光案内所「白雲館」と言う回遊性と
コンパクトに見どころが集まっているところ、また、
駅から令和→街並みで明治~昭和、そして八幡堀で
江戸、と、年表順番に遡り体感する感じが心地よかった
です

ちなみに八幡堀のさらに先まで行くと、「たねや」の
運営する、バームクーヘンをはじめとするスイーツの
テーマパーク?「ラ・コリーナ」があるとの事でしたが、
時間との兼ね合いで、近江兄弟社前から近江八幡駅
まで、この日初めてバスに乗り(笑)、京都に戻りました

この日の歩行距離19キロ(笑)
どう考えても歩き過ぎ(笑)

琵琶湖周辺は、比叡山、坂本、三井寺、石山寺周辺
はじめ、最近伺う頻度急増中。
今回の安土、近江八幡も楽しめましたが、公共交通
機関のみ利用では効率的には回れないのが悩みどころ
ながら、安土の農道ウォークなんて徒歩ででしか
できないので、それはそれで(笑)
次は琵琶湖周辺、どこに行こうかまた思案中です

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「Ukiyo-e 猫百科 ごろごろまるまるネコづくし」展を見る

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美術館「えき」KYOTO。
京都駅上の三越伊勢丹内に美術館がある事は以前から
知ってはいましたが、たいていどこかに行くか、
乗り換えるか、そもそも京都駅自体、乗り換えるか
どこかに行くか、帰るかで時間に追われている事が
ほとんどで、デパートに入ることそのものが稀なの
ですが、猫だらけの絵の展覧会で、国芳先生の作品も
たくさん出ると聞いて、初めて伺いました

会場自体はイ予想よりかなり小さく、デパートの中でも
比較的目立たない場所でしたが、中はまさしく猫だらけ

個人的に國芳先生作品は他の作者作品よりはかなり
見ている自負がありましたが、それでも知らない
作品がたくさん。
どれにも国芳先生の猫愛が溢れていましたし、何より
手頃なサイズ感と、詳しい説明の図録が素敵で
うっかり購入

國芳関連の浮世絵と言うと、図録と言い、グッズといい、
つい財布のヒモが緩くなりがちなのが、我ながら
何とも、です(苦笑)

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2026.06.16

「六月大歌舞伎」を観る

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今月の歌舞伎座は播摩屋&萬屋祭
昼の「金閣寺」も勿論期待通りでしたが、夜の「盟三五大切」は
2プロの見比べに妙あり、でした。

萬屋さん、と言うと昭和世代は映画スター、先代の
錦之助さんのイメージが強烈ですが、今回のメンバーを
見ると、コンスタントに映像に関わっているのは
獅童くんと隼人くんくらい。
しかし、今月の顔ぶれを見れば、歌舞伎を見ない人
にも知られた中村屋や成田屋、音羽屋などの皆さんに
知名度こそ及ばないものの、いま歌舞伎を上演すると
して、このメンバー抜きでは成立しないほどの「一大
勢力」

昼は古典の名作「祇園祭礼信仰記~金閣寺」
四月に「十種香」の八重垣姫をなさったばかりの時蔵
さんが、東京で初の雪姫。
このところ古典女形の大役が続く時蔵さん。
「彦山~」のお園以来(正確には「朧」のツナさま以来(笑))、
「たおやかだが、解決の糸口を掴むと知恵と行動力で
立ち向かう賢い姫」、が時蔵さんにはぴったりで(個人の
見解)、全く、天賦のイラストレーター力でネズミを
出現させれば、父親殺しの真犯人を周りに知らせる
事ができるとわかってスイッチが入った後の格好
いいこと(笑)
前半のもじもじが嘘のように、殺気だった野郎に
囲まれても一歩も引かない、ファイターでした。
それにしても女形さんて、美しい姿勢と着物の下で、
どれだけ重い着物と鬘を支えながら、ほぼ不自然な
身体(今回など半分は後手に縛られてる)を保つ努力をされているのやら
色々思い致してタメ息つきながら拝見してました
獅童くんの大膳
顔に釣り合う国崩しで、漸く獅童くんもこの手の役を
歌舞伎座本舞台で、と感慨でしたが、まだちょっと
着ぐるみの下から「そこらのあんちゃん」の下地が
見え隠れするのと、刀袋の紐の扱いが覚束ないのは、
さすがになんとかしてほしい(汗)
かっこよすぎる隼人くんの東吉は「義経か」と苦笑
してしまいましたが、歌昇くんの正清、種之助くんの
鬼藤太が安定、米吉くんの狩野之介が宝塚の男役か、な
美麗ぶり。
錦之助さんが珍しく慶寿院で尼とはいえ女性役でした
(そう言えば先般、衛星劇場でオンエアされていた、
仁左衛門さんの「助六」で、信二時代の錦之助さんが
並びの傾城をされていたのを見ました)
と、ここまで、全員三代目時蔵さんの直系のご子孫、
team「小川」
すごいことです

そうそう、狩野之介と雪姫、互いに縄目で近づけない、
にするなら、雪姫を縛るのは下手の桜の方が良さ
そうなのと(普通に動線が交わる)、東吉の樋を外して
滝から水を井戸に流す場面の、仕込まれた水流(ファイ
バー?)が巨大な流し素麺みたいに見えるのが気には
なりましたが、何よりこの舞台のMVPは、雪姫ちゃんが
裾と足でぐちゃぐちゃにしたまま、彼氏のところに
飛んで行ってしまったために不規則に残る、明らかに
滑りやすそうなカサカサの桜吹雪の床でとんぽを
切った四天さん。
プロですね

夜は「盟三五大切」の通し
突飛な設定に世界観の綯いまぜ、かっこいいヒー
ローが一切登場しない、リアルが作風の南北の特徴が
びちびち詰め込まれたこの演目を最初にしっかり
見たのは、勘三郎さん&橋之助さん(現・芝翫)が今月
同様、「北番」「南番」と称して、源五兵衛と三五郎を
交互に演じたコクーン歌舞伎
また、個人的には、この外題を聞くと思い出すのが
ドラマ「古畑任三郎」。
犯人の歌舞伎役者が、犯行後に直ぐ現場の劇場から
帰らなかった理由を古畑に問いただされて、「来月
演じる予定の『盟三五大切』の源五兵衛が犯行の後に
茶漬けを食べる設定。それがどんな気分になるか、
滅多にない機会だったから確かめてみたくてやった」
と役者魂、みたいな答えをするシーンが印象的でした
最近は三谷さんも歌舞伎や文楽を手掛けているので
不思議ではないですが、「古畑」の頃は現代劇の三谷さん、
と言うイメージしかなかったので、歌舞伎演目がらみの
ストーリーが意外だったのもあります

今回は、中村屋兄弟と音羽屋中堅メンバーがメイン。
勘九郎さんの中村勘三郎家も遡れば三代目時蔵の
弟さん(もう一人の兄弟が初代吉右衛門)なので、
当代勘九郎さんからすると祖父で繋がる血縁という
ことになりめすあ。

今回は、勘九郎くんと松也くんが、源五兵衛と三五郎を
交代で
演じる2プロ制
先に勘九郎さん源五兵衛版、後から松也くん源五兵衛を
みましたが、演出も印象も随分違いました

普段、善それも正統派キャラが多い勘九郎さんですが、
今回の源五兵衛は、感情をほとんど見せずに、マシーンと
化して次々殺しを重ねていく、なかなか背筋が冷える
仕様
それだけに先日の「伊勢音頭~」の時も思いましたが、
やはりラストの「討ち入りメンバーおめでとうございます」が
益々もやっ、とで、久しぶりに21時近くまでの長丁場を
見て劇場を出た東銀座で、どっと疲れがきました(笑)
殺した小万の首を袂に抱えて外に出る場面に、勘九郎版は
本水が使われ、血のりも使ったようで、雨で血のりが
流れ落ちて、花道に赤い跡がついていました。
二人の男性に翻弄される小万は七之助くん
いまこの役をできるのは多分七之助くんだけかも。
松也くんの三五郎は、魅力的だが、びびりがすぎて、
悪党と言うより、金目当ての軽いノリで、詐欺を
始めたら抜けられずズブズブという、最近のニュースで
聞くような事件話に近い雰囲気。
また、歌昇くんの六七八衛門の忠実な家来ぶり。
もともとこの役は、どなたがなさっても儲け役なの
ですが、歌昇くんは、昼の正清の目線バチバチの
殺気を消しさっての別人ぶりが凄い
彦三郎さんが、5月の「菊畑」に続いての老け役ですが、
吝嗇な大家にしてはイケボすぎ(笑)、幽霊を演じても
お声でバレバレ(笑)
お元気だったら片岡亀蔵さんのお役でしょうか

(松也くん源五兵衛くん版追記)
数日おいてから、松也ぬん源五兵衛版を拝見しましたが、
二人の役者が役を入れ換えた、と言う以上に仕上がりが
違いすぎてびっくりしました
とにかく一番の違いは源五兵衛のスタイル。
小万と三五郎に騙されたと知った源五兵衛、勘九郎版は
五人切り以降、上記の通り、殺し場で感情を全く
見せない殺人マシーンだった一方、松也版は怒りを
隠さないので、三五郎と小万が隙をついて逃げたと
知った時、殺した伊之助の死体を飛び越えて飛んで
いくし、小万の首を抱いて歩く仕草も、勘九郎版は、
たもとから包んだ着物?の端がだらりと垂れたまま
でしたが、松也版は、それをいとおしそうに抱いていて、
明らかに人の感情が滲みました

演出でも、例えば除幕の舟の場面、雲が晴れて源五兵衛の
舟が見えた瞬間、勘九郎版は既に二人の気配を感じた
のか、源五兵衛は既に屋形船の屋根の外に立っていた
一方、松也版は、見えても本人はおらず、すだれを
上げて漸く、「小万」と声をかける
意外に松也版の方がより怖い
五人切りでも、勘九郎版では三五郎と小万はどさくさに
紛れて玄関から逃げていましたが、松也版は正面の
丸窓から一旦裏に逃げてから逃走。
小万を殺しての源五兵衛の引っ込みも、勘九郎版が
「コクーン風」派手な本水に対して、松也版は本水を
使わず、古典的な雨音だけ。
そのため勘九郎版では場面転換は雨の後処理のため
一度幕を引かれましたが、松也版では回り舞台で
すっきり、「愛染院」へ。
また、源五兵衛の身代わりを申し出て引かれていく
六七八衛門に、せめてもと手拭いで頭を覆ってやるのも、
勘九郎版が家の外で、行きかけた六七八衛門を引き
留めましたが、松也版は出ていく前の室内で頬かむりを
してやっていて、 こんなタイミングでさえ、思いやりを
感じました

無表情の勘九郎版の方が、スプラッター的に怖いの
ですが、たまたま松也版を観た日に、大向こうさんが
いなかったからなのか、お客さんが物語に引き込ま
れすぎたのか、五人切り以降、場面転換は勿論のこと、
見得でもどんどん拍手がわかなくなりました。
勘九郎版はそれでも大家の幽霊ごっこは勿論のこと、
小万の首が茶漬けを食べるシーンは悲鳴なり笑い声が
しましたし、見得で拍手もありましたが、松也版は
キマっても拍手パラパラ、笑いもパラパラで、完全に
舞台の雰囲気に呑まれ、幕が下りると客席から「ふぅ~」と
言う詰めていた息、あるいは溜め息が漏れていて、
何やら歌舞伎、よりも、実録ものを観た感じがしました

実は勘九郎版のあと、幕切れの後味の悪さと終演時間の
遅さに、松也版は、五人切りで帰ろうかと思っていた
のですが、結局、違いが面白く、最後まで見ました。
比べてこその面白味がありました

とは言うものの、個人的には南北、と言うからには、
怪しげな、江戸の光の届きにくい裏町の、ひやりと
する湿気や手触りのようなものがやはりほしいの
ですが、まだみなさんお若いからでしょうが、まだ
そのあたりがさっぱり薄め。
濃度と湿気と、体温が籠ってもわり、とくるような
再演を待ちます
勿論、いつかは、時蔵さんの小万も見たい(笑)

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2026.06.11

宇治に小旅行

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松竹座に「御名残五月大歌舞伎」を見に行くタイミングで、
GWからちょっとずらしての初夏旅行に行ってきました

宇治橋には、東詰には狂言の演目名にもなっている
「通圓茶屋、「宇治十帖」に因んだ紫式部の石像も
ありましたが、この後、大阪で見た文楽「生写朝顔話」の
冒頭の出会い、蛍狩のシーンの舞台にもなっていて、
昔から名所だったのを実感しました

まずは、去年秋の紅葉のライトアップイベントを予約
しておきながら、時間が間に合わずやむなく行き
そびれた平等院
そんなわけで今回は平等院ファーストで、駅から直接
平等院へ行ったのですが、帰ってきたあと、先日
「ブラタモリ」が特集していたのを見たら、平等院に
行くには、先に宇治上神社から川を越えて行けば
良かったらしいと知って、全く勿体無い事をしたなと
思いました。
平等院自体は、確かずいぶん以前に一度伺った事が
ありましたが、当たり前のように、周辺はずいぶん
印象が違いましたが、それでもこれが平安時代から
変わらず建っているのは、やはりなかなか凄い事

「ブラタモリ」によれば、頼兼おじいちゃんも道長
パパも62歳で死んだため、自分もその年で死ぬかも、と
言う年になるのが、末法二年目が重なったと言う、
頼道さんの個人的不安が、極楽地上具現化プロジェクト、
平等院に繋がったそうですが、平安も令和も、人間
不安になると何かにすがりたい。
できる人はお金で解決できるのでは、と言う方向に
動くものなんですね。
頼道さんは桁外れお金持ちだったらしいので、現世に
極楽作れましたが、庶民のわたしくらいだと、せい
ぜい御守りをいつもより奮発するとか、高いサプリを
ポチッとしてしまうとかしかできませんけど

平等院からは、躑躅の名所と聞いていた、三室戸寺
まで軽くハイキング
山の中腹あたりだと地図で認識はしていて、確かに
軽い傾斜を上りましたが、寺域は情報に違わず見事な
花の盛りに間に合い、歩いた甲斐がありました

次に行くことがあれば、絶対、宇治上神社に行き、
此岸から彼岸は行こうと思います
やはり紅葉ライトアップリベンジするかな

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2026.06.09

瀧夜叉姫とツナさまを同じ日に観る贅沢(笑)

歌舞伎NEXT「朧の森に棲む鬼」、5月に衛星劇場で
オンエアされた「幸四郎ライ」版に続いて、先週末に
WOWOWで「松也ライ」版がオンエアされて、結局、
どちらも時蔵さんツナさまがんばれーになってる訳
ですが(笑)、松也ライ版オンエアと同じ日に、Eテレの
「芸能きわみ堂」で、舞踊「将門」特集。
舞踊なら見ないか~と思ったら、瀧夜叉姫を時蔵さん
でのスタジオ収録のオリジナル版、高木秀樹さん
解説つきとあり、慌てて録画して拝見。
またまた瀧夜叉姫の良きこと(笑)
ツナさまとビジュアルまるで違うけれども、強い姫
ぶりに惚れ惚れ。
結局、時蔵さんならなんでも良いだけだな(笑)

一方、歌舞伎座ではつい4月の「十種香」の八重垣姫で
奇跡的美しさ炸裂だったのに、今月は「金閣寺」の雪姫と、
このところ古典女形の大役も続く時蔵さん。
「知恵で立ち向かう賢い姫」は時蔵さんの得意とする
ところ、と認識していて、全く、周り殺気だった野郎に
囲まれても一歩も引かない雪姫でした

しかし、八重垣姫でも思いましたが、美しい姿勢と
着物の下で、どれだけ重い着物と鬘を支えながら、
ほぼ不自然な身体(今回など半分は後手に縛られてる)を
保つ努力をされているのやら
色々思い致してタメ息つきながら拝見してました

そしてジブリ作品なんと分かんないし、と、ぶう
ぶう言いながらも、結局、来月も時蔵さんエボシの
ために「もののけ」チケットも取ってしまいました(笑)

萬屋&播摩屋勢揃いの、歌舞伎座6月の感想はまた
別項にて、ですが、「金閣寺」の米吉さんの珍しい
立役が、まるで宝塚の男役のようだったのは、時蔵
さん雪姫と並んで特筆もの

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国立劇場文楽公演「生写朝顔話」「伊勢音頭恋寝刃」を観る

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5月の文楽は北千住シアター1010
国立劇場がノマドワーカーしているお陰で?、北千住
にもここ1~2年行く機会が増え、最近漸く、場所、
アクセス、そして前後のお楽しみも判ってきました

今回は1、2部が、いつもは「大井川の段」しかやらない
ものだと思っていた(笑)「生写朝顔話」の通し、そして
3部が「伊勢音頭~」のハイライト「古市油屋の段」

3部は玉男さんの貢でしたが、個人的には玉男さんは
色男や心中に走る商家のぼんぼんより、やはり百戦
錬磨の武将や、歴史上の苦悩する英雄の方がお似合いで、
刀を振り回すだけではちょっと物足りないか(笑) 
文楽では「青江下坂」は名刀だけど表立って妖刀設定が
なく、貢が意思を持って振り回している感じがする
のも一因かもで、散々殺しておいて、「お家再興成って
めでたしめでたし」はちょっとだけ後味が良くない。
「盟三五大切」の源五兵衛が実は赤穂義士の不破で、
言うラストとちょっと似た感じ
歌舞伎だと、他にも万野のキャラクターとか、お鹿も
含めて工夫があるので違和感が薄まっているのかも
ですし、やはり歌舞伎や役者と言う人間が演じるのが
一番の嫌さ回避ポイントなのかも

さて「生写朝顔話」
全体像が見えて判ったのは、これ、昭和の典型的な、
かなり甘口の「すれ違い」メロドラマの源流で、かつ、
いまなら「聖地巡礼」になりそうな、東西の名所を
織り込んだロードムービーでした。
例えば冒頭の出会いの場面は、つい先日、私も偶然
行ったばかりの京都の宇治川。
ほかに明石、浜松、島田に大井川と、何故かみな
川や海の近くですが、おそらくは江戸時代の観客も
宇治橋や島田宿に行った時には「ここなのね~」と
偲んだり、船に乗ってなりきったりしたかも(笑)

運命の一目惚れ、取り交わす象徴的アイテム、無理
矢理の別離、音信不通、誤解、ぎりぎりのすれ違い、
病気あるいは金銭的困窮による落魄、善意の第三者の
手助け、奇跡の再会、困難を乗り越えての恋の成就、
めでたしめでたし(笑) のてんこ盛り。
かつ、主人公が最後まで生きていて、犠牲者が最小限
なのは文楽には珍しいかも(笑)

スマホで24時間繋がれる令和の今となっては、すれ
違い自体が滅多には起こらない訳で、最早、ファン
タジーの世界線にしかなりませんが、駅の伝言板に
「先に行ってる」とかがせいぜいで、有楽町と日比谷の
同じ番号の出口で、延々と相手の来ないのをイライラ
して待ち、待ち合わせを諦めて結果現地で合流した
相方と大喧嘩した記憶のある(笑)昭和の人間には、
まだ感覚はぎりぎり理解可能(笑)

しかし意外にも、和生さんの遣う阿曽次郎は存在感が
薄くて、ちょっと残念。
ヒロイン深雪と深雪に献身的につくす乳母・浅香は
日程前半後半で、簑二郎さんと勘彌さんが交替で
遣われていましたが、勘彌さんの浅香が激しい動き
でも崩れず、自分が話していない時も反応したり、
動作をしていてナチュラルでした
(「菅原~」の時の八重の長刀遣いも良かったし!)

何よりは勘十郎さん。
物語一番の三枚目キャラ、萩の祐仙を全身を使って
自由自在に操り、客席は笑いが絶えず。
もともと、人形と一緒に宙乗りし、狐と一体化して
空を飛ぶ勘十郎さんに、不可能はなさそうですが、
舞台で遣う用に拵えたお人形を一度だけ触らせて
いただいた事がありますが、支えるだけでもなかなかな
重みのある人形を複雑に操作し、しかも三人息を
合わせて見せる、それを忘れる程の 自由自在さは凄い
見事な操演と、芝居の中での祐仙の小者ぶりのギャップが
なんとも、でしたが、この手の正統派メロドラマは、
主人公カップル(死語か)より、二人を取り巻く敵役や
かき回すキャラクターの個性がポイントですし、
「大井川~」だけでは絶対に登場しないキャラクター
なので、楽しませて頂きました。
何より、「大井川の段」に至る、波瀾万丈?が理解
できたのが収穫で、これで以降「大井川~」だけの
「見取り」で見るときも、ちょっとだけ経緯がワカる気が
一番わかった事は、ここまで主人公2人の行動力が
空回りするのと、運の悪さが重なると、なかなか
共感しにくい、と言うこと。
経緯わからず、深雪にラストに起きる奇跡だけを
良かったねーと思う方が良いのかも(笑)

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2026.06.04

シェイクスピア強化月間?(3)「リチャード三世」を観る

Richard3

PARCO劇場

ラトクリフ。
森新太郎さん×吉田羊さんによる、シェイクスピア
シリーズ「リチャード三世」で、私が一番印象に残った
のが、意外にも愛希れいかさんが演じたこの人物。
そもそもバッキンガム、リッチモンド、マーガレット、
アンと言った名前のある人物から、市長、枢機卿、
市民など、肩書きだけで語られる人物まで、矢鱈と
登場人物の多い「リチャ三」なため、ラトクリフ、と
言っても基本的には「誰?」です(笑)が、ティレル、
ケイツビーと並んで、リチャードの手先となって
汚れ仕事をしたり、ただの使いっ走りになったりと、
まあまあ報われない役割の人物で、だいたいのカン
パニーではその他大勢、文楽で言えば、一人遣いの
ツメ人形の役。
それをアンも演じる役者さんが演じるのもなかなか
珍しいのですが、今回印象に残った理由は、幕切れ
直前に、無防備な状態のラトクリはが、リチャードに
呆気なく殺されるシーンがあったため。
そもそもそんな場面あったかしら?レベルだったので、
見終わってから直ぐに、松岡先生訳版の戯曲を確認
したら、確かに結構最後の方5幕3場まで名前は出てくる
ものの、259ページを最後に突然登場しなくなる。
しかし、リチャードが殺した、とまでは指定がなく、
おそらくは森さんが読みといた上での演出。
確かに「死」を見せる事により使い捨てられた感じが
強くなりましたし、この時点で既にリチャード自身
敗戦の自覚はあったはずで、巻き込んできた部下に
永遠の任務終了を与えたか、自殺の一部なのかもとか、
考察していました。

蜷川さんもト書き、セリフには忠実が有名な方でしたが、
書いていないことは自由、と、様々な工夫をされて
いたのを思い出しました

シェイクスピアの戯曲はそもそもセリフが多く、
従って情報が多い。
日本では演出家が狙い、あるいは尺の都合などで、
無くても前後の整合性のつくもの、あるいはカット
した登場人物に関するもの、日本人観客に馴染みの
薄い、例えば宗教的、あるいは歴史的人物に言及する
セリフをカットしていくと、大体毎回同じ箇所が
カットされるのですが、時々、耳馴染みのないセリフが
語られるので、終わってから戯曲で確認すると、
当然のようにちゃんとある、と言う事が結構あります
先月のさいたま芸劇での「リア」でも、山西さん演じる
グロスター伯(リチャード三世もそう呼ばれるので
ややこしいが)が、ゴネリル、リーガンとその夫たちに、
目を潰される直前の場面で、彼らに
「私の賓客であることをお忘れなく、非道なことは
お止めください」
と言うセリフ、え、こんなセリフ言ってたかなぁ、
と思って、やはり後から松岡先生訳を見たら、ちゃんと
ある(当たり前)
ただこのセリフ、耳で聞いたときは、実はリーガンや
その夫のコーンウォールに対して、
「(あなたたちは)私の居城に滞在する客なのだから、
客としての品格節度を持ってほしい」
と諫言しているのかと勘違いしていて、
「あれ、姉さんたちは招待客だったか?」
と思ってしまい、後から
「(リアは)私の客なのだから、(他人の客に)手荒な
真似をするな」
と言っている事に気がつきました
全く主語抜きで文章が成り立ってしまう日本語、
トラップ多めです

さて、改めて森新×羊さんのリチャード三世です

インタビューを読むと、もともと三部作構想で、
今回が「完結編」だそう。
ブルータスの正義感が身を滅ぼしていく「ジュリアス・
シーザー」は、陰謀だらけの政治家たちを女性キャストで
演じることで、政治家=男性、がアンコンシャス
バイアスであることと、政治権力闘争が社会に普遍的な
ことと判る、画期的な「大発明」のお芝居で、これは
期待、次は、政治家の家庭問題、主人公は単なる
マザコンか!をあぶり出す(笑)「コリオレイナス」が
良いなぁ、と期待しましたが、何故か大定番にして
難易度Maxの「ハムレット(Q)」(笑) に。
羊さんの明瞭なセリフは素敵でしたが、何処か物
足りなく終わり、今回は「リチャード三世」。
今度こそ羊さんならではが見られるか?、を期待して
伺いました。

しかし「ジュリアス~」のブルータスとは真逆の、
ただでさえダークキャラのリチャードに、身体的
表現をつけて、ノーブルな顔立ちの羊さんがやるのは、
「美人なのにエグい」には見えましたが、個人的には
寧ろすべてやらずに、セリフだけで「美人」がどこまで
「悪党」になりきれるのチャレンジの方、の方がより
エキサイティングだった気はしました

この舞台でおもしろい試みだったは、幼い王子たちの
役を役者が演じるのでなく、旧・こどものための
シェイクスピアシリーズのように、人形で登場させ、
人形遣いの専門スタッフでなく、メインキャストを
演じる役者さんたちが人形を操り、セリフも言って
いたこと。
「リチャ三」における王子たちは、身内でありながら、
リチャード自身の王権の最大の脅威だが、そんな中
例えば3幕1場で王子たちが、
「雑草は良く伸びる」
とリチャードに対する皮肉ともとれるセリフを言ったり、
リチャードの背中に乗ろうとするシーンがあり、
小柄な大人の俳優さんがなさってさえ、リチャードの
背中に乗る、は難易度高く、確かに人形が合理的でした

何よりも、情報がやたらと多いこの芝居を、比較的
少人数で演じるこのカンパニーをサポートするためか、
場面ごとに、舞台上方に、ちょうど文楽劇場のように
字幕が出たこと。
しかも「忠臣蔵」の六段目「勘平切腹」や、「菅原~」の
「桜丸切腹」のように、予め起きる事を「ネタバレ」
するようなリードでした
まあ、沙翁作品、とりわけ「リチャ三」にネタバレも
ないんですけど(笑)、そもそも登場人物が多く、
人間(血縁)関係が煩雑な芝居なのを、そこまではっきり
見た目を変えないで複数人が何役もしたために、
複雑さが結局解消されなかった(少なくとも私には)
対策だったのか?
更にその字幕のためなのか、元からその高さでやると
決めていて字幕がそこに出たのか不明ですが、舞台幕が
オープニングではリチャードの下半身しか見えない
高さから始まり、リチャードが八分くらいまで押し
上げて進行し、ラストでやっと全部上がりました
意図はちょっと不明。
いつも明確なところが大好きな森さんの演出にしては
ちょっとモヤっと、でした、
結局、三部作は残念ながら最初の「ジュリアス~」が
一番羊さんがなさった意味があったな、というのが
個人的結論でした
(シルビア・グラブさん、松本紀保さんと並びも凄かった
ですけど)

因みにこちらの舞台で、初めて新しいパルコステージの
チケットシステムを利用しましたが、申込サイトと
電子チケット表示用サイトが違うのが凄く煩雑。
色々事情もありそうですが、個人的にはシンプルに
紙チケットが出せるか、電子チケットでも同じサイト
内で完結できるのが気が楽です
(たまに劇場入口の電波が悪くてイライラしたりしますし)

と言う訳で、5月の「シェイクスピア強化月間」?は、
やはり、Theシェイクスピア俳優、鋼太郎さんに
舞台を思う存分、のたうち回らせた(笑)長塚さん演出
「リア」が一番印象的でした

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