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2004.06.26

「万作の会 狂言の夕べ」を観る

太田区民プラザ

5月半ばからこの21日までの「オイディプス王」公演の
間、確か一度、能の公演での狂言で「茶壷」に出演は
されていたと思うのだけれども、アテネ出発直前の
この時期に、まさかまさかの「狂言公演」へのご出演。
あの<オイディプス王髭>のまま出てくるのかな
というのが、最大の感心事。

演目を見ると「附子」と「悪太郎」。
たしかに「悪太郎」のシテは最初は髭面なので、
髭有りでも全然OKだが、途中ですっきり剃られてしまう、
という設定なので、逆に髭有りでは演じられないし、
さて、どうなるやら、まさかアテネ公演を直前に
髭を剃って登場なのかしらと思いながら会場へ

入り口でもらったプログラムを見ると
萬斎さんは「悪太郎」の小アド、僧役での出演。

まず石田さんの解説。
いつものように演目の解説と簡単な狂言のルールの
説明があったが、最後に狂言師の身なりの話に。

化粧はしない、髪の毛もその時代なりの髪型でOK
さすがに髪の毛を染めるのは、自然でないという
ことでダメらしいのだけれども、今よりも男性に長髪が
流行っていた頃は狂言師も全体に今よりは
長い髪の毛でやっていたそうですし、能楽師さんには
きつめのパーマをかけた方とかも現在もいらっしゃる
とのこと

それと狂言では面をかけずに女性の役をやるので
髭は基本的に生やさないが、別に禁止されている
訳でないとのこと

そして
「なぜ今日わざわざこんな事を申すか、と言いますと
 これから出演する萬斎さんが、『オイディプス王』
 公演の途中でして、髭を生やして出てくるからなのですが
 これは決して『けしからん!』ということでは
 ございませんので」

会場に納得の笑いが起きる
石田さんの身なり話はこのエクスキューズのため
だったのである

竹山くんの小舞「貝づくし」があって、まず
狂言「附子」

ポピュラーな演目と言って、これと「棒縛」ほど
良く上演される演目もないが、太郎冠者・万之介、
次郎冠者・高野、という今回のの組み合わせは
私は初見。

萬斎/高野、深田/高野の若手コンビの、舞台と橋掛を
猛烈なスピードで動き回るパワフルなものとはまったく違う、
ほどよくとぼけた、間で見せる面白さを堪能

休憩を挟んで
「悪太郎」
悪太郎・万作、伯父・石田、僧・萬斎

見たことのある「悪太郎・萬斎、僧・万作」と
逆の組み合わせ

万作さんの若若しさ、石田さんとの息の合い方はさすが。
ただ、寝ているシーンで聞えてくる、
万作さんの荒い息遣いは相変わらず気になるところだが。

さて後段、萬斎さんの僧が登場。
いや、ほんとにあの髭のまま、頭巾をかぶり法衣を着て、
鉦を鳴らしながら橋掛から本舞台へ。

どう見ても、高野山あたりに3年くらい篭って出てきた
修行僧か、鬼界が島に流された俊寛僧都、もしくは
「巌窟王」の趣き。
逆にいえば、僧ならこの髭でまったく違和感なく
OKだったのだと今回初めて納得。

僧の役はなんと言っても、悪太郎との息の合い方が
(特に最後の連舞のところ)肝。
萬斎さんがシテで、万作さんが僧というのは2~3度
見たことがあるが、どちらがどちらの役としても、
やはり親子ならではの実に中心から二つ折りにした
ように対称で見せるカタチと絶妙な呼吸。

それにしても最近の普及公演に子供が多いのは
どうも「にほんごであそぼ」の影響らしく、
それはそれで良いことだとは思うのだが、
連れてくるお母様方、お願いだから、舞台の真っ最中
橋掛りから出ていた萬斎さんを指差して
「あれが<ややこしや>のおにいさんよ」と
周りに聞こえる声で説明するのだけは止めてほしいし
子供の興味、我慢のレベルを正しく理解すべき
(この話は前に歌舞伎鑑賞教室のところでも書いたので
 これ以上は繰り返すまい・・・)

ま、能楽堂の能の会で、アイで出てきた萬斎さんを
「あ、あれがね、萬斎さんよ、『あぐり』の」と3.4席離れた
友人にまで、指差して教えているオバサマたちも
いるので、若い母親だけが悪い、とも言えないけれども。

どちらにしても、上演中の携帯の着メロも相当腹が立つが、
私語のほうは、ご本人が無意識だったり、周りへの
迷惑を理解していない分だけ、性質が悪いかも。


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コメント

かのこさん、舞台の様子を想像することができました。ありがとうございます。

万之介/高野の附子、良さそうですね。万之介さんのとぼけた温かい感じ、とても好きです。

萬斎さんと万作さんは逆の配役でも絶妙なのですね。見てみたかったです。髭での出演だから僧役というのは、前々から考えてあったんでしょうかね?オイディプス王もこの狂言会も相当前から決まっていたんだと思うんですが。

投稿: すうじい | 2004.06.27 08:07

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