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2004.07.21

NHK「伎楽」を見て。

土曜日の昼に、NHK教育で、故・野村万之丞師の
追悼番組として、2002年にオンエアされた
<よみがえる幻の古代芸能 伎楽>が再放送されたのを見た。

「伎楽」については年に一度の「正倉院御物」の
公開時に何度か伎楽面を見た程度で全く予備知識もなく、
また、万之丞師がこれに力を入れていたことすら
今回の死去に伴う「楽劇葬」の紹介や、さいたま芸術劇場からの
ニュースなどで知ったほど。

アジアに広く存在する舞踊、ガルーダやビシュヌを
含む、インドを中心に広がる古代の神々の伝説などを
やや強引に論理関係付けていく、というこの
番組の、と言うか、万之丞師の試みは、確かに
大胆かつ、魅力的な仮説であるが、
いくつかの偶然だけでそれを一括りにしてしまうのは
一昔前?に論争を招いた
<タミール語→日本語起源説>と同じくらい、見ていて
首を傾げてしまう部分もあったことは確か。

ただ、万之丞師の動き、人を動かす能力には感心。
ひょっとすると万之丞師は、狂言師という<家業>が
なかったら、もっと自由に動くことができたのでは?とも。

そして見ていて何より面白く感じたのは、同じ狂言師でも
萬斎さんは、シェイクスピアやギリシャ悲劇などにアプローチし、
己の身に付いた<狂言>という東洋の演劇の持つ力を、
西洋の演劇の中で試す事によって、<狂言>が
現代に生きる演劇として如何ほどの可能性を持つものなのかを
見ようとしているのに対して
万之丞師は、「伎楽」やアジア各地の古代の仮面劇、舞踊劇など、
<狂言>のルーツと思われるものを探求することによって
そこから己の生きる<狂言>の意味を考えようとしていたように
思われた。

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