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2004.09.29

野村万作舞台生活70周年記念「大狂言会」(1)昼の部を観る

なぜに狂言の記念公演を、本拠である能楽堂でやらずに
歌舞伎の総本山である歌舞伎座でやるのか、本当は
ちょっと納得してないのですが、まあとりあえず2000人
位入って、伝統芸能の雰囲気漂わす、となると、確かに
歌舞伎座か国立劇場くらいしか思いつかないないので、
仕方ないのかも知れませんが。

雰囲気は春の「オペラシティ」や「フェスティバル能」に
似ていると思ったら、企画が同じ土屋恵一郎氏

大奮発して昼夜通し。

まず昼の部は3階席前方、いわゆる<3階A席>

客席に入ると舞台は幕はなく、花道から所作板。
本舞台では、能舞台部分が中央にあり、能舞台の左右へと
中央から奥に向って三方に橋掛が延びる、
いわゆる「狂言劇場」系の舞台設計。
舞台奥と天井には、おそらく竹を細く割ったものを緩やかに
編んだり曲げたりして作られたオブジェ(美術は
<あの>假屋崎省吾さん。草月流系の人はやはり竹モノを
使うのがお好きなようです)が吊るされたり置かれたり
して、ライティングで雰囲気が変わる仕掛け。
4月に能と狂言の「道成寺」競演を見たときに、
歌舞伎座の天井の高さが絶対に能には不利と思っていた
ので、ボリュームで空間を埋めつつ、紙などと違って
空気が通る事で重さを感じないこのオブジェの効果は
かなり大。

いきなり15分開演が遅れる

『翁』
翁・・・梅若六郎
千歳・・・観世銕之丞
面箱・・・野村小三郎
三番叟・・野村萬斎

役はすべて正面から上記の順番での出、
地謡・後見は右手から囃子方は左手からの出。

萬斎さんの装束は緑地に裾が梅花、袖と背中に
鶴模様。下の着付けは白地にオレンジの
大ぶりな鶴(多分)柄。
出は侍烏帽子で、狂言座から橋掛あたりの
後見のところで、立烏帽子に替える。

翁、千歳の舞があって「三番叟」
三人とも見映えのする体躯・体格なので
3階席からでも迫力十分。

「狂言劇場」を含め、今年は随分狂言方だけの
「三番叟」(というか、萬斎さんの「三番叟」)を
観たけれど、やはり本式に「翁」の中で見るのは
違うなと思ったのは、「翁」の舞が入ることで
それと「三番叟」との静と動(「千歳」の舞は
二つのちょうど真中くらいのかんじ)の対比が
よく判ること。もちろん、祭祀的な色合いが
強く感じられるのも「通し」ならでは。

さて「三番叟」
揉の段からすごいテンション。
もちろん、所作台と能舞台では鳴り方が違うから
ということもあると思うけれども
あの歌舞伎座のホールサイズだとこれくらいじゃないと
というパワーのぶつけ方
(という趣旨の話はあとからプログラムに、萬斎さん
 本人のインタビューに掲載あり。それを
 能楽堂でやると違和感があるそう)
さらに本舞台から橋掛を通って花道の七三あたりまで
行った感じ(上から見下ろしていたので印象で)

烏跳びは1-1-3の計5回、勢いで?

反対に鈴の段はかなりゆっくりした印象で、
(遠くから見ていたから、かもしれませんが)
重厚な雰囲気を感じました。

ライティングも白から青、そしてピンク(赤)へと微妙に
変化し、「三番叟」では黄色系。さほど派手ではなくて
よかったよかった・・・

舞い終えた三番叟は、面箱を従えて中央奥へ退場。

定式幕が引かれるのがまたなんとも不思議な印象。

20分の休憩を挟んで『木六駄』
幕が開くと、今度は一面(と言っても奥行きは舞台
自体の奥行きの半分くらい)に舞台がしつらえらる。
横長の木の台に、背の高い(おそらく)晒しホウキギを、
ちょうど小柴垣風に見えるよう並べて立てたものが、
何箇所かにアトランダムに配置されている。
ただし正面部分のみ、二つ若干重なるように
前後並べて置かれていて、その陰に後見が控えて
必要な時だけ出入りするようになっていた。
(説明しづらい・・・)

主と太郎冠者の出は下手から、茶屋の入りは上手から。
太郎冠者一旦引っ込んで、牛を引き連れての出は
花道から。

ライティングは室内は茶色系、雪道は白と青で寒寒と
した雰囲気を演出。

「木六駄」は「フェスティバル能」でもホールバージョンを
拝見したが、舞台全体を使って、本当にそこに牛がいる
ように大きく見せつつ、細かい動きもすばらしく、
じっくりと拝見。

また若干の休憩を挟んで『茸』
舞台およびオブジェはごくプレーンなものに。

数年前の「電光掲示」で、壁面に傘を差し出したり
鬼茸の傘が電飾で光ったりとかなりハデハデのを
拝見していたので、今回歌舞伎座の仕掛けを使った
演出の予感・・・
案の定、茸は大量出現し、最後には「万」の字の
笠を被った彩也子ちゃん、「作」の笠を被った
裕基くんも登場。萬斎さん扮する鬼茸
(白頭に面。動きが忙しすぎてちゃんと面の
 種類を確認できなかったのだけれど、武悪?
  紫の括り袴に派手で唐織の上衣に紫の傘)は、
花道のすっぽんからのセリ上がり、山伏(万之介師)、
何某(石田師)を追って、本舞台から花道へ
大勢の茸の子分を引き連れての賑やかな入りと
なって幕。

厳粛な『翁』から万作師ならでは、という『木六駄』
そして華やかな『茸』というバラエティに富み、
歌舞伎座の大きな空間を生かした番組立てで、
大満足。

さて一息を入れると直ぐ夜の部へ。


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