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2004.12.13

「子午線の祀り」を観る(1回目)

世田谷パブリックシアター

1階センターブロック後方席から。

珍しく?臙脂の幕が降りている。
能や最近の舞台は開幕前から舞台を
曝しているので、なんだか珍しい気分。

年齢・男女ともに幅広い層が見に来ている
ほぼ満席の模様。

【補足】
階段状セットですし、意外に、2,3階席でも
見やすいかもしれません。
特に2幕後半に萬斎さんが階段の
最上段で正面を見据えて立ちつづけるシーンが
ありますので、そのあたりは2,3階席から見ると
かなり正面に見えるかもしれません


岩波文庫の脚本は読んでいたので、展開が
どうだとか、ということよりも、やはり演出、
役者それぞれの技量がしっかり見られる舞台。

前回の新国立バージョンは観ていないので
舞台で見るのは初めて。

ギリシャ悲劇のコロスを思わせる群読と
今よりはかなり古典的な言葉によるセリフ劇。

戯曲がそうであるので仕方ないとしても前半は
ちょっとついていくのが大変。
早すぎるのではなくて、逆にとろとろしていて
まだるっこい感じ。休憩明けからラストまでは
(今日に限っては休憩がもう一度入りましたが)
合戦の様子がまるで、スポーツの実況中継の
ように面白くストーリーに入っていけた。

3日目ということもあってか、まだ群読で揃わない
ところ、またセリフの格調高さにつりあわない
軽さとか、致命的な滑舌の悪さ、なにより
セリフをしゃべることと段取りに気を取られて
セリフに意味がこもっていないなど、役者さんの
欠点がまだまだいくつもみつかったりしたのが
残念。

萬斎さんの時代的装束(特に鬘)をつけての
舞台、というのは考えると初見。
なにやらミーハー心で、「お、生勝元
(「花の乱」)、お、生清明(「陰陽師」」なんて
不埒なことを連想しましたが、やはり萬斎さんには
この手の装束がお似合い。

ただ前半まだ硬いのか、手、特に左手が
無表情になっていて気になるります。
悲劇を語らせるのは「ハムレット」「オイディプス」
でもう手のうちに入った感もありますけれど
ともすると、その二つとかなり似た雰囲気に
なってしまっているのが残念でも。

後半、民部の本心を知ってからの影身との
<対話>部分では本当に涙を流していたのが
印象的で、どうやら今日に関していうと、萬斎
知盛の感情のピークはそのあたりにあったのかも。

嵐さんの義経。小柄でかんしゃく持ち、という
義経のパブリックイメージにはぴったり。
部下の伊勢三郎役の佐藤輝さん、さすがに
「ラ・マンチャ」仕込みのコミカルさ。ちょっと
装束を考えるとオーバーかとは思いますが
スパイスとしては上質。
民部役の木場さん。さすがの貫禄。
後半は主役と言っても良い迫力。
高橋さんの影身。声と姿の美しさ。
知盛が身を委ねたいと思わせる、母性の
表現を感じました(このあたりを「オイディプス」
のイオカステと重ねて見えてしまったのは
私の「オイディプス」見すぎのせいでしょう)
読み手の近石真介さん。まるで「ジェット・
ストリーム」か懐かしい「気象通報」のような
感じのするナレーター的存在。特に
合戦シーンでのナレーションが実況中継
のような効果をもたらしていました。

知盛兄・宗盛役の観世栄夫さん、ちょっと
セリフが弱いのでは?2年ほど前の横浜
能楽堂の「朗読・弟子」の時も思ったのですが
能以外の場ではなかなか他の出演者との
バランスが難しそう。
なにしろ、萬斎さんと兄弟に見えにくい・・・
(ごめんなさい)

尚、この公演ではその栄夫さんが2幕で
階段の上から降りてくるシーンで
足を踏み外されたのか、かなりの高さから
舞台床面に落ちてしまわれるハプニング発生。
幸い大きなお怪我もなかったのか、15分ほど
緊急に幕を下ろしての休憩を挟んだだけで
栄夫さんご自身が復帰されて、舞台最後まで
勤められていましたが、階段のぼりおりには
黒子さんが後ろに立たれたりしてサポート
されれていました。

この舞台、暗転でのセット移動、そこへの板付き
(階段上り下りあり)など、考えるとなかなか
危険かもしれません。他の出演者にも起こり得る
ことですし、手すりなり足元灯なりが必要では?

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コメント

初日なのに初めての気がしませんでした。影身はイオカステに、民部がクレオンに重なってしまう、そのせいだけではないように思います。やはり知盛の後ろにハムレットやオイディプスが透けて見えてしまうからでしょう。それにしても吉田さんと木場さん、本当にそっくりで目を疑いました。
 階段は危ないなって思っていたら、やはりでしたか。初日の萬斎さんが後ろ向きで昇っていく場面、相当に怖く感じましたもの。個人的には萬斎さんの鬘、額の後れ毛が「松健」の金ラメ後れ毛のようで不埒な思いに浸れませんでした。悲しい。あれだけは勘弁して欲しいものです。

投稿: 松風 | 2004.12.13 22:18

松風様。いつも貴重なコメントありがとうございます。
あの後れ毛が<松健>風・・(^^ゞ
私は余りの萬斎さんの美男子ぶりに、
宝塚の男役かと思ったほど
(顔塗っていらしたので。
 とりあえず睫毛は付け睫毛、とかは
 まじめに思いました(笑)

あのセットは相当怖いと思います
そもそも世田谷パブリックシアターは
「ハムレット」「リア王」など
劇場の天井の高いのを利用して
背の高いセット作りすぎかも・・?

投稿: かのこ | 2004.12.13 23:09

かのこさま、こんにちは。

「あまりの萬斎さんの美男子ぶり」、私はポスターを見ただけでそう思いました(満月に浮遊している萬斎さん)。やはり......。次回は睫が実物なのか確かめていただけるとうれしいです。

投稿: susie | 2004.12.14 22:48

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