「メディア」を観る(2回目)
あいだ2週間強おいての2回目
しかしこれだけ男性客、それも背広の年配の
客が多いコクーンも珍しい。
前回は2階のコクーンシートで、上から
ユニークな今回の舞台の仕掛けなどが観察できて
それはそれでかなり面白かったのですが
今回は1階下手後方席から、通常の目線で観劇。
招待席に一月の「将門」の原作者、清水邦夫さんと
主演男優を見かける。
1回目はコロスの声がちょっと揃ってなくて
「オイディプス」の男性コロスよりも声が
拡散する感じだったのですが、今回は
ものすごく良く揃ってきました。
それと生瀬さんのイアソンが物凄く魅力的に
なっていました。
「メディア」を見るポイントとして、イアソンが
魅力的に見えないと、なんであれだけ賢明な
メディアが国を捨てて危険を冒してまで
従いてきたのかが判らなくなり、単にメディアが
おろかな女に見えてしまう、と、事前のレクチャー
イベントで翻訳を担当された山形治江さんが
おっしゃっていて、確かに初回見たときは
イアソンのキャラクターがきっちり見えなくて
ひたすらメディアに思い入れをして見ていたの
ですが、今回はちょっと見方が変わりました。
生瀬イアソンは確かに名誉と金銭欲に目が眩んで、
妻を捨てるのに必死に自分を正当化する口実を
探しつづける相当嫌な男ですが、それでも
メディアを説得するための「演技」なのか
それが本心なのか、メディアに見せる優しさとか
雰囲気がかなり良くて、メディアが
惚れたのも無理ないかと思いましたし、一方、
大竹メディアが今回、ちょっとキレっぷりが
前回より過剰でどちらかというと、まるで「極妻」
みたいな部分を感じてしまったので、子殺しも含めて
『メディア、そこまでしなくても』と
イアソンに同情してしまいました。
何より、メディア自身、イアソンに復讐するなら、
本人を殺してしまえば良いのに、本人は殺さずに
周りの人間を殺すことだけを考えるあたり、
本当はこの時点でもメディアはイアソンを
愛していたのではないかなとも。
それにしても「オイディプス」同様、主役は舞台に
出ずっぱりで、王や使者たちが入れ替わり
登場しては去っていくのが、まるで一つ一つ
関門をクリアしては先に進むロール・プレイング・
ゲームのようでした
そしてそこに登場する脇役たちも前回より
ますますキャラクター全開。
吉田さんのクレオンの壊れっぷり、笠原さんの
アイゲウスの脳天気な英雄気取り、横田さんの
報告者の熱い語りっぷり(しかしあの、仔豚の尻尾
みたいな後ろの髪の可愛い三つ編みにはちょっと
笑いました)
いずれも短い登場時間にもかかわらず、その場を
一気にかつ確実にさらっていきました。
上に書いたように、ちょっと大竹さんのメディアが
喉が苦しいわけではないと思うのですが、ちょっと
発声にクセを作りすぎているし、テンションも
上がりきってしまっている感じで同情の余地が
少なく感じましたが、とはいえ最初の叫び声から
ラストの、それまでにない穏やかかつ勝ち誇った表情で
竜車で飛び去るまでメディアとして突っ走る大竹さんの
パワフルさにはもう脱帽としかいいようがありません
蜷川さんが今回「メディア」をやる気になったのも
納得できました
それにしてもコロスが途中で叫ぶ
「子を持たぬ女は幸せだ。子を持った女の喜びや
苦しみを感じなくて済むのだから」
という部分がとても印象に残りました。
去年の「オイディプス王」ともども親子というテーマは
年月を経ても全く古びないものなのですね。
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