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2005.05.26

「まちがいの狂言」5/12ポストトーク

《ご注意》
「まちがいの狂言」5/12のポストトークの
要旨をアップしました
毎度の事ながら、私のメモと記憶をだけ元に
重要そうなところだけ再現したものなので
発言内容や発言者についての記憶違い、
ニュアンスの違いがあるかも
しれませんが、あらかじめご容赦ください。

終演後10分休憩を挟んでスタート
ゲストは萬斎さんとは「ハムレット」および再演版
「オイディプス」で共演し、
また、茂山千作師に狂言を師事した、俳優の壌晴彦さん。

まず萬斎さんの着替え終了まで、壌(以下「じ」)さんと
司会の荻野さん以下「お」)のトーク。

まず壌さんのプロフィール紹介
壌さんは劇団四季に入る前、京都出身で、15歳頃に
茂山千作さんの狂言を見て惚れこみ、東京に出てくる
前に8年くらい千作さんの元で修業されていたとか。
その後劇団四季で麦草平という名前で活躍して
いたそうです。
四季にはご本人はジロドーとかのフランス演劇がやりたくて
入られたらしいのですが、ちょうどミュージカルへの移行期
だったのだとかで希望はなかなか叶わず。
研究生2年やって、京都に戻って板前の修業などして、
また四季に戻られて11年。活躍されていたとか。
 『ミュージカルはやらなくていいから』って言われたの
だそうですが、結局ミュージカルにも出演し、
また子供向けの芝居の演出もなさっていたそうです

ここで萬斎さん(以下「ま」)登場!
雪駄を脱いで抱えて右端の席へ

ま「プロフィールを拝見して、<千作に師事>っていうのは
  凄いですよね。今でも稽古はなさっているんですか?」
じ「今はやってはいませんが、今の私を作ったのは狂言だと
  思っているので、(千作師の狂言)公演があれば
  挨拶に行きますし、今でも弟子のつもりです」
ま「何本くらいシェイクスピア物に出演なさってますか?」
じ「『ロミジュリ』(04年12月)、『ハムレット(03年夏)』、
 『テンペスト』もやったし、 『リア王』、『マクベス』 『十二夜』も。
 四季時代に『ベニスの商人』も。
 グラシャーノで。このときはシャイロックが日下武史で、
 市村正親、鹿賀丈史、浜畑賢吉、影万里江とか出てましたよ」

  ※参考※劇団四季  
  "ヴェニスの商人" 77年の記録による主なキャスト  
 シャイロック:日下武史、アントーニオ:浜畑賢吉、
 バッサーニオー:鹿賀丈史、ポーシャ:影万里江、
 ランスロット・ゴボー:市村正親、グラシャーノー:麦 草平

じ「今日はものすごく幸福感に包まれてます。
  今夜の酒は旨いだろうなあと(笑)
  『まちがいの狂言』はシェイクスピアの『まちがいの喜劇』が
  元になってますが、世界中の財産であるシェイクスピアを
  新しい形で表現されていますよね。
  上手い錬金術だなあと。
  これを海外に持っていってこの形を向こうの人にやらせたいですね。
  実は94年のリレハンメルオリンピックの年に、蜷川さんの演出で
  『ペールギュント』をやって、私は日本人で一人だけ参加して、
  死神役をやったんです。
  その芝居で「日本的なことを何かやって」って現地に行って
  いきなり蜷川さんに言われまして。
  実は日本にいる間に何か役に立つかと思って狂言を下調べして
  行っていたので色々と狂言の技法を死神役に反映させることが
  できましたが、狂言の身体で英語をしゃべるのは変でした(笑)
  でも狂言+シェイクスピアって錬金術ですよねえ
  『テンペスト』でロンドン公演したときも、向こうの劇場の
  芸術監督が『自分たちの国の様式はもう終わってる』って
  言ってましたね。
  だから能や歌舞伎のスタイルを取り入れたものっていうのは、
  衝撃的なんですよ」
ま「去年のアテネ公演の後、ロンドンで狂言のワークショップをやりました。
  その時にこの『まちがいの狂言』の門番のシーンをやったのです。
  集まったのは、(サイモン・)マクバーニーの芝居に参加する
  コンプリシテのグループだったんですが、面白かったです。
  だからきっと向こうの役者で『まちがいの狂言』をやったら
  面白いと思います。
  で、この間新聞の取材を受けた時にそういう話をして、
  『まあ逆四季』みたいなものになれればって言ったら、
  それだけが見出しになっちゃって、益々よく判らない記事に
  なっちゃいましたねえ(笑)」
じ「向こうの人にこっちの様式をやらせる事ができれば革命的ですね
  海外の人には(古典芸能の持つ)型はびっくりされるんです。
  例えば我々が(ロンドンの)バービカン劇場で<すり足>とか
  やってると、
  <見たことがないmovementだ、雲の上を歩いているみたい>
  と人が集まってくる(笑)
  日本は『演劇の宝島』なんです。
  何も無いのに全てがある能舞台、全てがある歌舞伎、
  無表情なのに表情を持つ文楽。
  日本人は俳優がこういう(古典)ことを勉強してない」
ま「よく言ってるんですが、こういうものを統合したいなと。
  そうすることでアイデンティティの確立をしたいと思います」
じ「日本に学ぼうってことですよ」
ま「そういえば壌さんは『座』という演劇集団を率いて<読み芝居>
  というのをなさってますね」
じ「そうそう、あれは浄瑠璃と一緒で、地の文も人が話すから、戯曲が
 要らないわけです。昔の文章は今風に直すとテイストというか、
 文章の持つ力というか、味わいが失われる気がします。
 ハードな言語は使いつづける必要がありますね。
 そもそも、テレビドラマって、小学校三年生レベルの言語能力の人が
 わかるかを基準にしているんですよ。
 小学校四年生でないと判らない言葉だと視聴率が落ちるというんです。
 言語には判る年齢層っていうのがあって、子供と親は
 同じではないのが当たり前だったのに、今の親はテレビで
 育っているので、もう子供と同じ言葉しか知らないことに
 なっている。怖いことです。
例えば20歳じゃ判らない、年が上がると判るようになる
 言葉がある、ということは必要です」
ま「言葉の持つ力を伝えるのは演劇人の役目ですからね」
じ「今の人は古典を難しいと思いこんでいるんですね。
  今50歳以上の人を集めて坪内逍遥訳で 『夏の夜の夢』を
  やっているんですが、面白いです、名訳だと思います。
  歌舞伎のセリフも江戸の庶民は判っていたんですからね」
ま「耳慣れないだけですから。
 若い人にはもっと古典をやってほしいですね」
じ「ベジャールが『真のモダニズムは伝統の中から生まれる』って
  言ってますし、真似事だけするのはNGです」
ま「海外の演出家の方が日本的なものを取り入れて成功してるのは、
  古典に何らかの引き出しがあるからです。
  古典芸能の人は技術者 (職人)になりすぎている」
じ「東と西が自分の中で融合する、ということを表現者は
  勉強すべきでしょう。
 今、世界中の物が集まっている東京というこの場所で、
  錬金術としてスリリングな東京という場所から発信しなくては」
ま「一つの芸術方針として、現代演劇を知る努力というも必要ですし」
じ「使える劇場があって、企画があって、いいなあ〜萬斎さんは
自分の劇場欲しいなあ〜(笑)」
お「大人の鑑賞に耐えるものを作らなくてはいけないでしょう・・・
というところでそろそろお時間で(笑)」

あとは萬斎さんが「山月記/名人伝」の案内をして終了

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コメント

かのこ様、さすがでございます。もう、ただひたすら感謝です。

狂言の身体で英語をしゃべる、って?!それをしてしまう壌さんがすごいかも。かなり変だったんでしょうね、でも見てみたかったです。

「まちがいの狂言」を英国の役者さんでやったら本当にどうなるんでしょう。その時は、英語でしょうか、日本語でしょうか。頭の中にいろんな組み合わせの舞台が浮かんできます。
赤鬼ではないけれど、数年先には英国バージョン、日本バージョンなんて出来ていたりして。なんだか楽しみ。

それにしても壌さん、相当うれしそうに話している様子が伝わってきます。狂言がお好きなんですね。この夜のお酒、きっとおいしかったでしょうね。

投稿: 松風 | 2005.05.26 23:18

かのこさま:

ありがとうございます。松風さんと同じくひたすら感謝です。
 
テレビドラマは小学3年生がわかる程度っていうのに愕然。私もハードな言語がわからない大人です...「にほんごであそぼ」で古典の勉強もっとしなくては。


投稿: susie | 2005.05.27 20:48

松風さま
コメントありがとうございます。
また訂正が遅れて申し訳ありません
なんとか今月中には1回目の
ポストトークもアップしたいとは
思っているのですが・・・

投稿: かのこ | 2005.05.28 08:02

susieさま
コメントありがとうございます
北米での「まちがい」公演
シェイクスピアの本場、グローブ座での
公演とはまた違う、完全に一つの
演劇として見られると思うので
観客の反応がとても気になります。

投稿: かのこ | 2005.05.28 08:04

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