« 大盛堂に続いて旭屋書店も… | トップページ | F1 トルコGP決勝 »

2005.08.21

最近の「歌舞伎ブーム」

このところ、七之助丈や獅童丈のスクリーンでの活躍や
勘太郎丈の「新選組!」出演、また染五郎丈の新感線
出演などが功を奏したようで、随分歌舞伎座にも若い客が
増えてきました
(そもそもは海老蔵襲名前あたりからかな?)
若い人向けの雑誌に歌舞伎大好き!的な記事が
多くなっていますし、やはり国立劇場で高校生相手に
地道に「鑑賞教室」とかやるよりも「弥次喜多」や「ピンポン」
「阿修羅城」見せた方が若い人には歌舞伎に近しく感じる
のだなあとその影響力には感心してます。

またこれまで芝居を何度も見ていて、贔屓の役者さんの
動きだけを何度も見たいという、どちらかというと
見巧者のための席、と思われていた(少なくとも
私は歌舞伎初心者ほど良い席でじっくり見るべきと
思っているので)歌舞伎座の幕見席が、その料金の
安さもあって、若いファンがそこに並んでのが一種の
流行のようになっているのも最近の傾向のようです。
(もちろん前からそういう使われ方はしていましたが
最近はちょっとそれが顕著。探せばさほど金額
違わずに買える3B席も皆無ではないはずなのに
わざわざ朝から幕見に並ぶ人が多い様子)

新しい客層が開拓されないままになることは歌舞伎に
とってはもちろん好ましくないことですし、それが
これからかなり長い期間見てくれる若い年齢層であれば
それは歌舞伎界にも大歓迎だとは思います。

ただ、最近ちょっとそうした「若い人への歌舞伎ブーム」と
言われる中でちょっと私が懸念していることがあります。

若手役者の『外部での部活動』プロモーション?より前から
歌舞伎を見つづけている私には、今まで歌舞伎に興味の
無かった人(特に若い女性やお子さんたち)がこぞって
「歌舞伎って面白い」と言っているの事は嬉しいのですが、
それが、たいてい勘三郎さんによる串田さんや野田さんとの
コラボレーション作品上演を見ての感想だという点からなのです。

つまり、若手の役者に引かれて「研辰」や「鼠小僧」だけを見て
「歌舞伎ってこんなに何をやっても良い自由なものだと
思わなかった。面白かった~」
というのだけで「歌舞伎を好き」と言っているのでは?
ということところが気になっているのです。

私が言いたいのは、若い人に受けている、勘三郎家の
斬新さだけが歌舞伎ではないということです。
「法界坊」を
「2幕までは面白かったけど、最後のところ(大喜利)は
 良く判らなくてつまらない」と言われると
『その大喜利の方が従来言われてきた、歌舞伎らしさで
 今回の序幕、2幕はかなり破格ですよ』と
言いたくなりますし、「研辰」の英語のセリフや、今の
お笑い芸人の流行りの芸を取りいれての動きとかも、
言い方は悪いですが
「勘三郎さんの一座だから許されている」
気もするのです。

現在、通常劇場にかかっている歌舞伎作品は、
こうした現代演劇の演出家の作品とは全く異質のもので、
そしてそれが主流です。
「研辰」などのほうがずっと特別なのですから、
最近の若い人が無邪気に「歌舞伎好き!!」と言っているのを
聞くと、それが単にブームに終わってしまいそうでちょっと
不安を抱いてしまいます。
もしも「研辰」や「鼠小僧」を見た人が同じ感覚で、通常の公演
スタイルの演目を見たら
「こんなのつまらいない、もっと歌舞伎って面白いはず」
と思ってしまうのでは、あるいは
「やっぱり歌舞伎ってつまんないや」という感じてしまうのでは?
と思うのです。

もちろん、なんでも古ければ良いってものでもないですし、
歌舞伎といえども、現在の人に面白いと思われなければ
演劇として生き残れない、存在価値は無いとは思います。
そのあたりは難しいところですが、私は今まで上演されてきている
作品の中にもたくさん面白い作品はあると思いますから、
総ての古典作品を否定するのには反対です。

「研辰」や「法界坊」が歌舞伎を見るきっかけになるのは
歓迎ですが、全部の作品がそういうテイストではないということが
もっと知られなければ今の「歌舞伎人気」も単なるブームか、
特定の役者の異常人気だけで終わってしまうのでは?というのが
最近私が抱いている危惧です。

まあ今の若い人はそんなことは判ってるよ、というので
あれば杞憂ですし、それこそ老婆心、っていうヤツだとは
思いますが・・・

|

« 大盛堂に続いて旭屋書店も… | トップページ | F1 トルコGP決勝 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 大盛堂に続いて旭屋書店も… | トップページ | F1 トルコGP決勝 »