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2005.12.01

「狂言ござる乃座34th」を観る

国立能楽堂

春の「33th」は「狂言劇場」の直後で結構ご本人も大変そう
だったのですが、今回は随分と気合が入ったようで、「無布施経」、
仕舞「頼政」を挟んで「通円」と、2曲とも萬斎さんがシテ、
それもほとんど一人芝居状態の長い曲。
そして万作さんも石田さんも今回は地謡のみで役につかず、
万之介さん以外は若手中心を前面に出した配役でした。

個人的には今回は仕舞「頼政」とそのパロディにあたる
「通円」を連続して上演し、プログラムにも二つの詞章が
上下に比較しやすい形で併記されていたので判りやすくて
大ヒット。
実は前に知識無くいきなり「通円」だけ見た時は
全然面白く感じなかったのですが、こうして見ると
詞章の比較や言葉遊びの細かいところはもちろん、
シテ/ワキ/アイと能そっくりの役割もはっきり見えるので
「ワハハ」という感じの笑いではない、知的な部分が
刺激されて、とても面白い、まさしく「プログラムの勝利」。

しかしこういうパロディが成立しているという事は、これを
伝承し鑑賞した人たちの間ではそのオリジナルである「頼政」が
とてもポピュラーだった、という証明でもあるわけで、
ちょっと凄いことに思えます。

こういう企画は狂言の会でこそ成り立つ物ですし
今後もまたこういう仕掛けを見てみたいです。

「無布施経」は前に千作師のを見たことがあったのですが
大らかに見える千作師の芸風とは全然違って、萬斎さんの
僧のほうが「お布施!」と言いづらそうに見えたのが
面白い対比でした。

「通円」は前述のとおりですが、ワキの高野さんの謡が
とても朗々としていたのも印象的。
「無布施経」に比べると萬斎さんの動きの良さが一際で
ひょっとすると萬斎さんは能楽師を目指していたのでは?
と勝手に推察するほどでした。

尚、プログラムに掲載された萬斎さんの挨拶文によれば
来年「敦」は再演、地方公演の予定があるようです。

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コメント

昨年4月に同じメンバー、同じ場所で拝見した通円、個人的には全くダメでしたので今回はどんなものかと半ば不安な気持ちででかけました。結果、相当得点高かったです。
 
 かのこさまが書いていらっしゃるとおりの能のような通円、前回のバタバタした感じが薄くなりすっきりと美しい通円でございました。まだ、三百人が押し寄せる場面などやりすぎとおもえるところもあるのですがとにかく前回よりは格段に私好みでございました。カケリの舞など団扇がどうかすると扇に見えるくらいの折り目正しい美しさ。プログラムにはいまだに行列のできるラーメン屋うんぬんとありましたが、やはり通円にはスープの臭いよりお茶の香り程度が似合いかと思います。

 無布施経は正直言って面白くありませんでした。千作師の愛らしくて少々生臭い感じの無布施経が思い出されてなりません。萬斎さんご本人はご自分に近いと考えておられるようですが…、キャラや年齢的なものもあるのでしょうね。プログラムにあった頼政の詞章の比較(そのほかはまるで敦のプログラムかと思うほど)もさすがと思いました。

 

投稿: 松風 | 2005.12.02 12:28

松風さま
コメントありがとうございます。
「無布施経」はもうちょっとガハハハと
笑え、かつ大規模にホラの吹けるようなとか、
逆にごくごく生真面目で絶対言い出せない
って感じの芸風の方に似合いそうですよね(笑)
私も千作師のがのんびりしていて
良かったです。

それと私は芸風というよりも、萬斎さんのは
どうもあの声の質でのあの声の作り方が
ちょっと苦手なんですよねえ(~_~;)

それにしても選曲が渋すぎで、私の前の
列に、狂言初めて観ます~という感じ
人が、普通の「ガハハハ」笑いの狂言を
期待していたのか、「頼政」で明らかに戸惑い、
「通円」で完全に爆睡しちゃってました。
勿体無いけど気持はわかるかも。

投稿: かのこ | 2005.12.02 12:57

かのこさん、萬斎さんの記事をありがとうございます。「プログラムの勝利」と書かれていらっしゃるようにとても興味深い組み合わせですね。松風さんが「折り目正しい美しさ」と書いてくださっていますが、「にほんごであそぼ」の「うしろすがたの~」で後ろを向かれるところでそれを少しだけあじあわせていただいています。

投稿: susie | 2005.12.03 12:12

susieさま

コメントありがとうございます
今回はあまり能や狂言に馴染みのない
方には、「これが面白いと言われている
狂言?」と思われたかもしれませんが、
狂言が単に笑うだけのものではない、
深い教養に裏付けれたものだということが
判るという意味でも意義のある公演
だったと思います。
やはり萬斎さんは演出、プロデューサーと
しての才能がおありだなと思います

投稿: かのこ | 2005.12.04 09:12

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