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2006.01.19

「NHK能楽鑑賞会」を観る

国立能楽堂

「能楽鑑賞会」と言いながら、今回は狂言ばかり3曲。
京都の茂山家の「二人袴」、名古屋野村家+万作師の
「武悪」、そして萬斎さんの「金岡/大納言」と三都競演の体。

放送予定がプログラムに印刷されていましたが(下記)
ハイビジョンは2時間枠なので、多分全曲オンエアできると
思いますが、総合は時間が1時間しかないので、オンエア
できるのはどれか1曲と(+素囃子の組み合わせ)くらい。
せっかくなら地上波も全部オンエアしてほしいです・・・・

<放送予定>ハイビジョン 2/11(土)15~17時
         NHK総合  3/18(土)14:50~15:50

★1/21に一部文章訂正、補足しました。

まずは「二人袴」
「二人袴」は大蔵流(茂山家に限るのか判りませんが)と
見慣れた万作家のものとは、舞われる小舞の曲、聟と兄
(茂山家)/聟と父親(万作家)という人間関係、袴が二つに
なる理由<取り合いになった拍子に切れる(茂山家)/
父親が気がつく(万作家)>など同じ曲でもかなり違いが
ありますが、何よりこちらのは聟が幼稚、というか、かなり
おバカな設定で、(万作家の聟は世間知らずだが幼稚
ではない)その幼稚さが笑いを呼ぶ部分が多いですが、それが
どうも何度観てもやっぱり私の好みには余り合わないなあと
思ってしまいました。

「武悪」
武悪:又三郎 太郎冠者:小三郎 主:万作
<あとふどころにも入る同士>というのはちょっと年が離れ
過ぎの武悪と太郎冠者で、どちらかと言うと、尊敬する会社の
先輩・武悪をなんとか助けたい後輩社員・太郎冠者という
雰囲気。ベテラン二人に挟まれて、小三郎さん、熱血漢な
太郎冠者を大熱演していました。
いつも同じ舞台に立っているのではない万作師と又三郎・
小三郎という組み合わせの芸風の違いが、ちょうど「主」と
「従」に別れていたのでそこから生まれる緊張感も有り、また
幽霊のふりをする武悪の又三郎師と、怯えつつ答える主の
万作師の間の取り方、やりとりが見ごたえがありました。

休憩、素囃子『大小楽』を挟んで
「金岡」
金岡:萬斎 妻:石田

「釣狐」「花子」に並ぶ(もしくはそれに次ぐか?)重習の曲
だそうで、私が見るのは04年の「万作を観る会」で万作師が
シテを勤められて以来2度目。
大納言の小書付き。余り良く判らないのですが、どうもこれが
付くと装束が豪華になり、狂いぶりがバージョンアップする
ようです。
確かに萬斎さんの装束は相当派手でした。
烏帽子(立烏帽子か折烏帽子か遠くて判然とせず)に青と朱の
着つけにオレンジに唐花丸紋の指貫。

 ※04年の「万作を観る会」のパンフレットによると、
  白練絹の着付に指貫という姿は下半身は格調高く
  上半身は下着同然、という感覚なのだそうです。
  ただし、今回の萬斎さんの着付はかなり派手派手
  でしたけど・・・

何より、通常狂言は地髪のままのことが多いのが、今回は
能の黒垂のようなざんばら髪の鬘をつけていました。
その姿を私が見た瞬間に連想したのは、もう余り覚えている
人もないと思いますが、三上博史主演のテレビ版の「陰陽師」
の方の安倍晴明。時々CSで再放送しているのですが、それと
かなりそっくりだったので、笑いをこらえるのが大変でした。
(笑うところじゃないんですけどね)
確認されたい方はこちら

前半の謡と舞は厳かに、後半のストーリー部分は地謡も
含めて爆笑の嵐でした。中でも御殿の上臈と比べられたのに
腹を立てた奥さんが『きれいな着物を着て化粧をちゃんとすれば
誰だってきれいに見えるものなのよ!』と切れるところは、
今でも女性には十分共感できる部分でしょう。
(「お前の黒い顔じゃ化粧しても無理!」とか金岡、暴言の
 山を築いてましたし)
ただまあ「業平餅」の業平と一緒で、これは萬斎さんのような
この手の派手装束、そしてこの手のキャラクターが見た目
『似合っちゃう』人だとかえって笑いづらいというか、生々し
すぎる感じもしなくもなし。

ともあれ、「武悪」と「金岡」を一緒に見られるなんて、なかなか
無いでしょうし、狂言の大曲をたっぷり楽しむことができました。

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コメント

地方にいるものです。いつもなかなか観られないお芝居や映画など、まるでそこでやっているようなイメージが湧いてきて、いつも大変楽しませて頂いています。
金岡もたいへん楽しみにしておりました。ありがとうございます。武悪の演者は同じ名古屋の方ですが、狂言共同社ではなく、野村又三郎家の方々ではないでしょうか。ご存知であれば失礼いたしました。

投稿: さゆり | 2006.01.20 00:43

さゆりさま
コメントありがとうございます
&ご指摘ありがとうございます。
追って本文も訂正いたします

ありがとうございました。

投稿: かのこ | 2006.01.20 08:12

かのこさん、こんにちは。
テレビ版陰陽師と似た装束なら、萬斎さんにお似合いだったことでしょう。重習で爆笑とは、観る側にはお得なような感じですね?

投稿: susie | 2006.01.21 00:06

susieさま
コメントありがとうございます。
私は萬斎さんのは見ていないのですが
同じ重習の「花子」もなかなかお馬鹿な
夫のダメダメ話ですし、(歌舞伎の
「身替座禅」は「花子」が原作)演じるのが
難しいというのは、どうやら筋立てが
生真面目ということでもなさそうですよ(^O^)


投稿: かのこ | 2006.01.21 09:29

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