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2006.03.14

「狂言劇場」ポストトーク要旨

遅くなりましたが、ざっとメモを整理したものをアップします。

06/03/08  Aプロ終演後(20:50頃から21:30分過ぎまで)
出席者:橋本裕之(千葉大学 文学部助教授 日本文化学科 
                         日本文化論講座)
    野村萬斎(世田谷パブリックシアター 芸術監督)
    松井憲太郎(世田谷パブリックシアター 学芸部門)

当日までどうしてポストトーク出演者が発表されないのか、
ちょっと謎でしたが。
まず恒例で司会松井さん登場。続いて萬斎さんと橋本さん。
能舞台上ということで、足元は3人とも洋服に足袋。

橋本さんの発言概要

※狂言劇場」は前回は(「鏡冠者」のような)新作を選んで
 かけている気がしたが、今回はクラシックな作品をこの
 舞台で見て舞台空間と演劇は不可分だと思った。

※この舞台が交差点だということも気になった点。
 普通の舞台だと舞台は終着点だが、この舞台を見ると
 上下左右にさらに道があるように感じがし、普通の能舞台とは
 違う舞台でオーソドックスな狂言を見る意味を感じた。

※三方に橋掛があって舞台が押し出された今回のような形の
 舞台について、かつて図師嘉彦という人が劇場の発達の
 歴史を論じた『日本の劇場回顧』という本(S22年 相模書房)で、
 未来の劇場はこうなる、と指摘したものがこの「狂言劇場」の
 ような役者が押し出される舞台だった。

※例えば今回の「茸」の動きも含めて、狂言の動きは普通
 日常生活の中ではしないものだが、どうやってその技を
 身に着けたかというのは実験的な部分があるように思う。
 日常の動きは他人の、主に小さい頃は親のやるのを真似る
 ことで身に着けるが(箸の持ち方とか手の動かし方とか)
 一旦それを覚えてしまうと、その動きを覚えたとか、その動きを
 している事すら意識していなくなる。
 つまり完全に覚えると忘れていくという気がする。
 私たちの生活というのは、身体が学習する、つまりどうやるか
 覚える<knowing how>のがその大半を占めていると思う。

萬斎さんの発言内容

※普通の現代劇の劇場に能舞台を作るというのは「劇場狂言」
 という範疇が考えの中ににあり、例えば天王洲のアート
 スフィアで「電光掲示狂言」、また新宿のスペースゼロでは
 舞台セット、音や照明、あるいはお香のような嗅覚を
 刺激するものを使う舞台を一から作って、その(要素の)要
 不要を検証してきた。狂言劇場の能舞台はそれを応用している。
 こうした西洋的な造りの舞台だと、観客の目が舞台にだけ
 注がれることになる。また世田谷パブリックシアターの客席は
 馬蹄形なので、能舞台のように一方にだけ橋掛を作ると
 偏ってしまうので、橋掛を3箇所作った。また背景を黒基調と
 しているので、そこから出入りする演者は『異界からやってくる』
 というように見え、ドラマ性も演出できる。

※これまで能楽堂では技術を見せるもの、世田谷パブリック
 シアターではドラマ性を見せるものと考えていたが、今回は
 敢えてここで技芸的なものをやろうと思った。
 (今回のAプロ「八島」の語りと小舞など)
 「月見座頭」も謡と舞が中心の曲だが、能楽堂のような
 天井のない分、月の存在感を意識できた。また例えば去年の
 『木六駄』も同様で、天井がないので、雪を上空に感じたし、
 そのあたりは観客の想像力に委ねることができる舞台だと感じた。

※能楽堂と違って観客席(見所)が暗い舞台は演者と観客が
 一対一になる。何百人もいる観客と一対一なので感じか違う。
 テクニックや型だけで見せるのはないという、現代劇に
 繋がる感覚になる。普段能楽堂の幕から出てくる時はまだ
 役になっていない素の状態で、橋掛も(横向きで)すべてを
 見せていない。それが真正面の橋掛から出てくると、最初
 から観客と面と向き合う事になるのでちょっと恥ずかしい

※世田谷パブリックシアター芸術監督としては今年は「敦」の
 再演をする。現代能楽集は『鵺(ぬえ)』を秋に公演をする。

橋本さんの質問
 「茸」に6人ワークショップから参加されていたし、「茸」は
 「にほんごであそぼ」にも「ようこそ先輩」でも使われていたが、
 この動きを使う理由が何か特別にあるのか?

萬斎さんの答え
 「人の真似をする」「ちょっときついことをする」というのが
 意味があると思う。身体が舞台に出る緊張感に耐える体
 になるのと声の調子とか、体に負荷をかけることで、日常から
 離れることができる。こういう覚え方を私はプログラミングとか
 開発とかというふうに考えていて、身体の中に回路を作ることで、
 古典芸能のアプローチができる。

概略こんな感じでした。

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コメント

かのこさん、レポありがとうございます。たいへん興味深い内容です。萬斎さんの「恥ずかしい」というのがおもしろいですね。

投稿: susie | 2006.03.15 00:38

susieさま
コメントありがとうございます
本当はもっと雑談交じりで和やかに
進行しているんですが、要点だけ書いたら
なんだかぎすぎすした文章になっちゃいました(笑)


投稿: かのこ | 2006.03.15 08:04

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