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2006.07.08

「よこはま万作萬斎の会」を観る

恒例の横浜能楽堂公演。
配布のリーフレットに来年の日程予告が出ていましたが、
ここ数年続いた2日開催から、来年は9/1の1日開催に変更に
なる模様です。

開演直前に正面前方から携帯着信音。始まってなくて本当に
良かった良かった。
しかし相変わらず携帯電波に全く無防備な能楽堂です。

まず万作、石田、万之介による「連歌盗人」。
盗みに入る理由からして、連歌のためなんてのんびりした
ものだし、実際入ってもさっさと目的の物を取って逃げれば
よいものを、道具に感心したり、その場で一句など始める
あたり、なんとも盗人らしからぬ振る舞い。
まあ入られた方も事情を知ると連歌を語る友達ができたと
厚遇する風流な話で、私は話自体よりも、当時の人々の
趣味の生活の一端が興味深く感じます。
私たちに連歌を楽しむ風習がないので、若干感覚や行動の
実感が掴めず、そして何より出てくる句を楽しめないのが
残念なのですが。

休憩を挟んで、横浜公演恒例の万作さんの「芸話」。
今回は狂言師に取って特別な曲「翁&三番叟」についてでした。
万作さんが「三番叟」を披かれた時やアメリカ公演時の
エピソードや、舞台裏のしきたりなど、大変興味深いお話
ばかりでした。

続いて「賽の目」。
リーフレットの解説によると、数年前に萬斎さんが復曲
されたものだそうですが、難題をクリアして見事セレブな
美人妻と義父の財産を二つながらgetしたと喜んだのも
つかの間、実は妻は若干ビジュアルに難があって…という
オチは狂言では多く、(そもそも女が深く被り物をして
出てきた時は大抵怪しいのですが…)珍しくはないながら、
お勉強ができて、富を掴みながらも必ずしも幸せな結末には
ならないと言うのは、最近でも多く例は引けそうなハナシです。

しかし最後、妻に背負われて幕入りって言うのは、女役も
男性が演じているからこその演出ですね(「鈍太郎」の手車も
同様)。
まあ何より「助けてくれ〜」とジタバタする聟殿が
なんとも情けなく、笑えましたが、しかし恐らくは、
この二人、舅が期待した通りに、得意の算用できちんと
渡世して意外にうまく行きそうな気がします。

古典の渋い曲と明るく笑える曲と、バランスの良い公演
だったと思います

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コメント

かのこさま
横浜万作・萬斎の会に私も行きました。正面最前列でしたが、携帯の着信音は関係ありません。念の為(ちなみに電池が切れかかっていたので、ロビーで充電しながら、鑑賞していました)。
横浜能楽堂は始めてで、鏡板に梅の絵があったので、「あれ?」と思ったのですが、万作さんの話で、加賀の前田家ゆかりと分かって納得しました。以前、「大抵の鏡板に花を描かないのは、役者が花だから。但し、加賀だけは、家紋のせいか梅を描いているが、もしかしたら、役者を花のあるものとは認めていないのかもしれない」という話を聞いたことがあって、この話と、横浜能楽堂の鏡板が一致して、面白いと思いました。
「賽の目」が面白かったですが、「連歌盗人」も、どちらも気合が感じられて見甲斐がありました。正面で見るなんていう贅沢はめったにしないのですが、今回はよかったなと、良い気分でした。賽の目の萬斎さん、娘の顔を見てびっくりする時、階から転げ落ちそうなくらいに大きな動きなので、まん前に落ちるんじゃないかと思っちゃいました。久しぶりに元気な萬斎さんで、満足!
マスミ

投稿: マスミ | 2006.07.09 10:14

マスミさま
最高の席で、驚く聟殿をご覧になったのですね(^^)
「連歌盗人」は私は以前に、千作さんが盗みに入られる
方、万作さんと又三郎さんが盗みに入る方、という
贅沢な配役で拝見したことがあるのですが、本当に
この曲はある程度の重みのある方がされるのが
安心して見ていられる感じです。
今回の組み合わせで拝見できるのも、もうなかなか
無さそうですし、良い会だったと思います。

投稿: かのこ | 2006.07.10 08:12

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