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2006.09.21

九月文楽公演「仮名手本忠臣蔵」(1部・2部)を観る

国立劇場40周年記念公演での一挙上演(3部制)
さすがに一日で全部見るのは大変なので、
1部は初旬、2部は中旬、そして3部は楽近くと
3枚ばらばらにチケットを取って3回通い中。

先日2部まで観てきました。

文楽はまだ初心者なのですが、まあ「忠臣蔵」はもう
歌舞伎でかなり観ているので、文楽ならではの演出とか
歌舞伎と文楽の演出の差とかに注目して観ている感じです。

1部ではまず「兜改めの場」が歌舞伎だとジャラジャラ
たくさんその他大勢まで登場するのですが、文楽では
人形遣いの人数の関係でしょうが、最低限の登場。
しかも歌舞伎では最初下を向いていて語りに名前が
呼ばれる度に顔を上げる「人形ぶり」で見せるのですが
こちらは本当に人形なので、人形遣いが動かしはじめる
前と後の違いが本当に鮮明ですね。

あとはさほど違う感じはしませんが、とにかくたくさん
出てくる登場人物を一人の太夫が語り分けるのがすごい
技です。

続く2部がおそらくは一番盛り上がるところ。
五段目(山崎街道・二ツ玉)では、歌舞伎では
稲村の中に隠れた定九郎が姿をばっさりと与市兵衛を
斬って「五十両」と一言言うっていうのが、お決まりですが、
文楽では下手から出てくる与市兵衛を追って出てきた
定九郎に殺さないよう、せめて金は取らないでと懇願する
与市兵衛をばっさり街道上で斬った上に、その後も
残忍な殺し場面が続く演出でした。
イヤホンガイドによれば人間でやるとやりすぎな感じに
なるので、人形ならではでしょうと言っていましたが確かに
そのとおりかもしれません。

さて一番の見所は七段目(祇園一力茶屋)。
ここは太夫が役ごとにいる掛け合いのスタイルで、
しかも平右衛門は、人形と一緒に下手から出てきて
仮の語り台の上で語りますし、人形遣いの裃が人形と
おそろいだったり。
人形遣いでは、女性の人形を遣わせると一品と言われる
蓑助さんが今回由良助(1部2部のみ)を遣っているのが
ファンには見所だそうですが、私はとにかく人形それぞれが
人間顔負けの表情、しぐさを見せるのにひたすら感心
しまくりでした(それにしても、由良助の手紙を軽が盗み読み
するのが「手鏡」だったのは、ちょっと時事的で笑えましたが)

またどちらもイヤホンガイド情報ですが、二つ感心したことが。
ひとつは由良助がお茶を立てるのに掛け軸を替えるようにと
茶屋のものに指示するところ、そしてもうひとつが、討ち入りの
意思が由良助にあるか確認にくる若手の浪士が茶屋に
乗り込んで来て「敵は・・・」と大声で叫ぶと、由良助が慌てて
「敵と見えしは群れいる鴎、鬨の声と聞こえしは浦風なりけり
 高松の、浦風なりける高松の、朝嵐とぞなりにける」
と謡ってごまかすところ。
この謡の言葉、実は能「八島」の最後の一節で、世間を憚る
討ち入りの意図を知られてはならないと必死で隠そうと
する由良助からさっとこうした能の謡が出てくるということで
いずれも由良助に教養があったという設定になる訳ですが、
しかしそれはそういう言葉を出すことで観ている当時(江戸時代)
の観客たちにも、少なくとも作者たちの間の常識として、能や
茶のルールが普通に理解されていたと言うことの現れですから
ちょっとすごいことだと思いました。

あとは3部のみ。
また楽しみです。

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コメント

かのこさま
以前にいただいた情報で手に入れた文楽、今日、全部通しで見た来ます。かのこさまの情報で、もうイヤホンガイドなくても楽しめそう。部の間の時間を、どう過ごそうかな?と思っている次第です。帰ってきたら、ご報告させてください。
マスミ

投稿: マスミ | 2006.09.23 08:06

マスミさま
おお~~、一日で全部ですか!
観るのはよいとして、腰が丈夫じゃないと
大変ですよねえ。
どうぞ感想をお聞かせください

投稿: かのこ | 2006.09.23 09:55

かのこさま
行って参りました。そして、やっぱり参りました、腰が…。3ヶ月ほど前にも、歌舞伎の昼夜をみて、腰を痛めて、初めての腰痛を味わったというのに、懲りないですねぇ。でも、今回は、大丈夫でした。幕間の度に、うろうろして運動しました。
忠臣蔵…どれだけ見たでしょう、でも、やっぱり、あんまり分かって無かったです。文楽で、ずうっと見て、ようやく全体がよく分かりました。昔の人って、あんなにも美化して、けなげです。女性の立場がよく表れていた気がします。戸無瀬と小浪の関係なんて、涙無くしては見られません。それにしても、事実も、解釈の仕方によっては、色々ですね。疲れたけど、やっぱり面白かったです。
3部までご覧になったら(明日かな?)、是非感想をお聞かせの程を。
マスミ

投稿: マスミ | 2006.09.23 22:58

マスミさま
お疲れ様でした~~
そう!
文楽の不思議さは、歌舞伎と違って役者に目がいかない
からか、ストーリーとか登場人物の人間関係がすっごく
よく判るんですよね~
変に見せ場で引っ張ったりしないからかも。

さて第3部楽しみに観てまいります~

投稿: かのこ | 2006.09.24 07:53

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