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2006.10.28

「三響会公演」を観る

新橋演舞場

去年は染五郎さんと萬斎さんの「二人三番叟」やら、歌舞伎と
能での「石橋」共演やらで、演目も出演者も結構派手派手な
公演だったのですが、今年は前半は「囃子競演」と題して
太鼓の林英哲さん、尺八の藤原道山さんをゲストに招いての、
完全なインストゥルメンタルセッション。
その後に七之助の「藤娘」を挟んで、亀治郎さんの歌舞伎と
能(昼は観世喜正師、夜は片山清司師がシテ)の「安達原」の
競演という趣向。

私は夜の部のみ伺いましたが、当然18時開演は間に合わず、
「囃子競演」の終わりあたりだけをロビーのモニタで拝見。
拝見って言っても、舞台がかなり真っ暗だったようで、
音のみ。
夏に公演のあった「魔界転生」の音楽なども演奏されて
いましたが、かなり前衛的で、去年のような能/歌舞伎の
舞台を見るつもりで来た人にはちょっと戸惑ったかもしれません。
(プログラムによると、傳次郎さんが「魔界~」の曲を担当して
 いたのだそうです)


そんな訳で待ち時間があったのでプログラム(1000円)を
買ったのですが、亀井3兄弟の対談や林さんのインタビュー、
プロフィールは載っているのに、他のゲスト出演者については、
プロフィールなどが全く載っていないっていうのは
どうなんだろう?と激しく疑問。この1000円はちょっとずるいし不親切。

20分休憩を挟んで「藤娘」
七之助の藤娘は確かに可愛いのだけれども、どうも肝心の
踊りがロボットのよう。というか、単に器械体操のごとくに
手足を動かしているだけで、曲も風情もない、と言ったら
酷かもしれませんが、たかだか20分そこそこの舞踊で
こんなに飽きたのは久しぶりだったかも。

10分休憩を挟んで、「安達原」まず歌舞伎版。
澤瀉屋さんの家系の方がこれをやるのと言うと、「猿翁十種」の
連想から「黒塚」というほうが似つかわしい気がしますが、
とにかく「安達原」です。
途中老女から鬼に変わるのに、歌舞伎はどうしても顔を
作らなくてはならないので、暗転と囃子で繋ぐ(ま、これも
聞きどころではありますが)時間が結構あったのが、緊張を
ちょっと削ぎましたか・・・
でもさすがそこは亀治郎さん、後シテのキレっぷりは見事。
長袴を穿いているとは思えない見事なメリハリある動き、
さらにラストの仏倒れ(と言っていいのか、でも完全に
全身で前に倒れました)と、塚に飛び込むのを奥の奈落へ
飛び込む仕掛けにしていたようで、奥へ向かって飛ぶと
ふっと姿が見えなくなったラストは大変な迫力でした。
強力役でつきあった段四郎さんが最初セリフを完全に
飛ばしそうになったので、ヒヤッとしましたが(1日公演
では仕方ないことでもありますが)、その後の踊りはさすが!
でした。

さらに10分休憩を挟んで、最後の能バージョン「安達原」。
セットはほぼ歌舞伎と同じ。後ろにススキ、真ん中に作り物の
家(中にシテ)のみ。
去年の「三番叟」や「石橋」は歌舞伎の華麗さが目だって
能チームちょっと不利っていう感じがしていて、今年も
同じ演目を歌舞伎の後に能というのが、どうかなと思って
いたのですが、元から地味地味の「安達原」だったおかげで?
あまり落差がなくてよかったです。
逆に老女から鬼へも面をかけかえ、装束を改めるだけなので、
歌舞伎ほど時間がかからず、スムーズに話が進行していました。
何より、私の目あてでもあった萬斎さん演じるアイの
面白さがなかなか際立っていました。(際立ちすぎて
「能ってこんなに笑えるのか〜」と美しい誤解を招きかねない
くらいでしたが)
しかし、どうでも良い事ですが、能でピンマイクってどうも
どうなんでしょうかねえと。
特に面をかけているとそうなんですが、ただでさえどこから
声が聞こえているかわからないのに、マイクを通してむやみに
聞き取りやすいというのと、スピーカーから聞こえてくる音と
演者の位置関係がぜんぜんずれているとどうもね。。。
地謡が演者とかけはなれた上手に座っていて、しかもあの
広さなのに6人で、あの広さなのに逆にピンマイクなしですから
演者の声とのバランスの悪いこと。
スピーカーの位置の話は、前に土屋恵一郎さんだったかかが
屋外での能公演の話をしていたときも問題にされていた
のですが、本当にテクノロジーがここまで進化したんですから
演者の位置から聞こえてくるようなスピーカとかどうして
発明されないんでしょうね・・・

「安達原」がそれぞれ1時間前後あったので、結局終演は
21時40分頃。
全体的には去年の歌舞伎と能を同じ時空間に同居させることで
対比させていて、それはそれで三響会らしいとは思いつつ、
どうもところどころ違和感も感じていましたが、今年は同じ
演目を連続公演にしたので、それぞれがそれぞれの良さを
発揮でき、さらにそれが完結していて安心感があって
よかったです。

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コメント

かのこさま
待ってました!という感じの、三響会公演の感想です。同じ公演をご覧になってましたね、やっぱり!!
今回は、広忠さんがちょっと目立たなかったかな?藤娘は、やっぱりね、というよりも、眠ろうにも眠れない印象で、無理かな?と思いました。
歌舞伎の「安達原」は、段四郎さんのトチリから、なんだか観世栄夫さんの平宗盛を思い出してしまいました。あのメイクはどうにかならないんでしょうかねぇ。確かに動きは良かったけど、最後は「殺生石」のようでしたね。
能の方は、すごく良かったけど、とにかく広い舞台で、シテとワキが大きく動きながら、勝手が違うんだろうなぁ、と思いながら見ていました。
3時間半を越したのは長かった…。でも、あとの酒がおいしかったです。いい公演でした。
マスミ

投稿: マスミ | 2006.10.28 17:54

マスミさま
全体的に去年に比べると「フツーの公演」に
なってましたね(笑)
動きは確かに横広の演舞場(歌舞伎座もですが)
舞台では結構大変ですよね
殿田さん、その分張り切って動いていらしたような・・・(^^)

投稿: かのこ | 2006.10.29 08:02

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