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2006.12.08

「野村狂言座」を観る

宝生能楽堂。

いつも普及公演ではあまりかからない曲がかかる「狂言座」
今回は3曲のうち2曲が初見で、大変楽しみにしていました。

まずは「隠狸」
今回は、「釣狐」(25日)で、猟師を演じられた三宅右近さん、
また「国立能楽堂定例公演/水汲」(17日)で、萬斎さんの
相手役を勤められた右近さんのお弟子さんの高沢さんを
お招きしての上演。
右近さん、プロフィールを拝見してわかる年齢よりずっと若々しい
印象ですし、高沢さんも先般の女役では顔が半分くらいしか
見えなかったので良く判らなかったのですが、端正はお顔だち
ですし、また声も謡も整っていて、万作家の狂言を見なれている
(というか、ほとんどそれしか見ていない)私にも、京都の某家
のを拝見するのと比べると全然違和感がありませんでした。

座席の位置のおかげでずっと狸が見えていたのですが、
隠そうとする太郎冠者のしぐさが判って相当面白かったです。

続いて万作さんの「とちはぐれ」
これは初見。
ことわざに「あぶはちとらず」というのがありますが、まあ
それに近いかな「下手な考え、休むに似たり」も近いかも。

とにかく、せっかく食事かお布施かどちらかはもらえた筈の
お坊さんが結論を出すまでに時間をかけすぎたばかりに
どちらからも「遅すぎ!」と何ももらえなかった、という話で
俗世を離れたはずのお坊さんの煩悩がちょっと皮肉っぽく
描かれています。だいたい狂言は権威をある人を笑い飛ばす
という性質があって(「無布施経」なんていうのもありますし
山伏はしょっちゅう笑いものにされている)、どうも私が考える
範囲ではその手の話だったように思いますが、万作さんが
演じると、なんだかお坊さんがお気の毒になってくるのが
不思議でした。

休憩15分を挟んで、「柑子俵」
解説によれば、俵に入る子供(もちろんちゃんとセリフがいえる)が
いないとできない曲だそうで、その意味で裕基くんのこの
お年頃ならでは、ということになります。
小さな武悪面をつけて俵に入り、背負った柑子買(萬斎さん)を
可愛い声で脅す様子はもう微笑むしかありません。
しかも背中から下ろされると、コロリと床に横になって、なかから
もぞもぞ出てくるなど、残念ながら見所の誰もがもう萬斎さんは
見ずに裕基くんに注目していたことでしょう(もちろん私も)

なぜ子供が俵に入ったかという話は省略しますが、「親」役の
万之介さんと「子」役の裕基くん、ウサギを染め抜いた肩衣は
色違い(万之介さんは茶色、裕基くんはオレンジ)で、あとは
クリーム色に小さな格子の熨斗目、青い紋入り狂言袴はおそろい
というのも素敵な趣向でした。

しかしそれにしても不安定な俵に入って、背負われた挙句に
ぐるぐる動く中でセリフを言って芝居ができるようになったとは
裕基くん凄いですね。これでずいぶんレパートリーも多く
なりましたし。

また来年も狂言座が楽しみです

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