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2007.05.26

「国立能楽堂 狂言の会」を観る

これが終わると例の「国盗人」関連でしばらく萬斎さんの能楽堂
狂言公演を拝見できなくなるのと、稀曲「鬼丸」がかかるというので
楽しみにでかけました。

まず大蔵流の「佐渡狐」
奏者に京都の忠三郎さんが出られるのが極めての贅沢。
忠三郎さんは本当はものすごく好きな演者さんで、ここまで萬斎さんに
はまってなかったら絶対もっとたくさん見たい方。シテ・アドが東京の
大蔵流の方だったせいか、あまりくどくなく、万作家のを拝見するのと
同じような感覚でした。
にしても柔らかさと動きの美しさにおかしみを感じさせる忠三郎さんの
奏者はお見事!でした。

休憩をはさんで名古屋和泉流による「鶏流」。初見でした。
いわゆる主の言い間違いを太郎冠者が問い詰めるという話ですが
とにかく太郎冠者の和歌や唐詩の教養がむやみに深いという設定が
すごい。しかし賢すぎる部下は得てして上司に嫌われるもので、
最後には上司が逆ギレ、言う事を聞け!と一喝して終わるという、
間違っていても上司の言うことは絶対、というものすごく現代的な
論理に似ていて、身につまされました。
いわゆる「すまじきものは宮仕え」ってやつでしょうか。
いや、それで狂言も拝見できるお給料をいただいているのですから
我慢我慢と妙に自分に引き付けてみてしまいました

素囃子「中ノ舞」をはさんでいよいよ万作家の「鬼丸」
主催の会も含めて、万作さん、万之介さん、萬斎さんの3人が
(しかも登場人物はこの3人のみ)揃って出演という舞台は
本当に久しぶりかも(前がいつだったから記録をみないと思い出せません)

親(万之介)を養うために親には内緒で盗賊をして生計を立てている
鈴鹿山の鬼丸(萬斎)という男のところに旅の僧(万作)がやってくる。
追剥をしようという魂胆で、まずは下心を隠して一晩泊めてやり、
翌朝でかけるところを山道で襲うのですが、暗い山道でも男の声で
僧はそれが前夜泊めてくれた鬼丸と気づく。
僧はあっさり荷物と着物を鬼丸に与えるが、それからいかに鬼丸の
していることが彼自身にも親にも仏道に外れた行いであるかを諄々と
説く。鬼丸はさすがに怖くなって泣き出し、出家を決意すると、僧は
「れいろくざんとうしゃきがん」という謎の呪文を残して消え去ります。
帰りが遅い息子を心配した親が見に来ると泣いている息子は盗賊姿。
しかも僧の残した呪文とおもっていたのは、単に「鈴鹿山盗人鬼丸」を
音読みしただけだと気がついて怒った父親が。(鬼丸はその呪文の
実際の意味が判っていなかった)、鬼丸が僧を襲う時に使った長刀で
鬼丸を刺そうとすると、どこからともなく鬼丸の家にあったのと同じ清水の
観世音菩薩が現れ、鬼丸の更生のために僧に身をやつしていたことが
判ります。ありがたい舞と教えを残して菩薩が消え去り、親子は喜んで
家に帰るのでした。

というようなストーリー。なんだか歌舞伎とかにありそうな奇瑞話ですし
途中で切戸口から入った僧が今度は美しい観世音菩薩の姿で再登場
するというのにはびっくりしました。

萬斎さんの拵えは最初が鬼瓦模様の灰色の肩衣に小格子、丸紋入りの
狂言袴に脚絆、盗賊のときはそれにオレンジの頭巾、大きな鬚、派手な
唐織という、「悪太郎」などと同じスタイル。実は頭巾の下は出家姿で
唐織の下には墨染の衣も着ていました。
そしてやはり万作さんの菩薩姿が大変美しかったですね。
白地の長絹に上に真っ白な蓮?の造花を飾った天冠、紋入りのオレンジの
大口袴だったように思います。ああいう姿での舞は珍しいのかなと
思いながら拝見しました。

ただ稀曲ということで、持ち物を与えた後、鬼丸に盗賊生活の悪を諭す
話をする部分で万作さんが2か所くらい台詞が出てこず、御簾(地謡座の
右、離れたところ)からプロンプが出ていましたが、かなり長いセリフ
だったので仕方ないところでしょうか。

笑いの部分がれいの「れいろくざん~」くらいしかなく、まただいたいが
あまり褒められた事しかしてないような人たちが主役というのが多い
狂言で、仏のありがたさを知らせる説法っぽいストーリーが珍しく
感じられました。

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