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2007.05.19

「能楽現在形 劇場版@世田谷 『鐡輪』」を観る

世田谷パブリックシアター。
10周年記念ということで、4月も3人のシテをお呼びしての
「翁」があったばかりですが、今度は「能楽現在形」ユニットの
企画として、「鐡輪」を宝生、喜多、観世の三流のシテを
お招きしての<競演>。
「能楽現在形」初の能楽堂外企画でもあり、また世田谷
パブリックシアターおなじみの三方橋掛の能舞台をどう使うかが
とても興味深い公演でした。

さらに毎回公演後にシテ方を交えたポストトークが行われるという
のも楽しみでした。

初日の今回は宝生流の金井雄資さん。
申し合わせが伸びたのか、開場が10分、開演も5分押しました。

まず舞囃子の「乱」
シテは辰巳満次郎さん。力強い舞でした(くらいしかわからない・・・)
ただ、波に揺られながらの舞のところでは、舞台にも水色で青海波の
模様がライティングで照射され、それがシテの装束に照りかえって
不思議な雰囲気でした。
貼り出してあったタイムスケジュールよりちょっと長かったかも。

休憩をはさんで「鐡輪」
天井から注連縄が下りてきて、左右の橋掛の手すりが途中で切れる
ようにずらされたなと思ったら、3本の橋掛のそれぞれの間のV字の
ところに一段低くステージがしつらえらえているのが見えたなと
思ったら、なんとそこが右のV字スペースに地謡が、左のV字スペースに
囃子方が座りました。

まず萬斎さん演じる神官が出て語るのですが、いつもより神官の装束が
豪華、っていうか、白の狩衣風上衣に紫の指貫(たぶん八藤)に烏帽子。

シテは橋掛のさらに右奥の舞台の一番奥に横に渡された特別な道
(奥橋掛とでもいいましょうか)を右から左にいったん歩き、さらに左の
橋掛から登場、生成になっての出は予想通り、ま正面から。
舞台前端にしつらえられた祈祷台?へ向けてまっすぐ出てくるのですから
正面からみていたらそれは相当迫力があったことでしょう
途中稲妻が光ったり雷鳴がしたりの効果音が、あまり下品にならない
程度にあってなかなか凄味が。なによりも、幸弘さんの笛がすると
全体不気味な雰囲気が盛り上げられていました。
どうも映画「陰陽師」とか見ると後シテと清明の怒涛の戦いっていう感じが
しますが、能では清明の祈祷に負けた後シテは、思いを遂げられずに
ひっこむだけ。祈伏された訳ではないから、また出てくる可能性も
あり、動的な戦いが表面に出てこない分、内に籠った情念が逆に
不気味な感じもしました。

終わって10分休憩をはさんでポストトーク。
シテ方はあとから登場で、萬斎さん、幸弘さん、広忠さんがそれぞれ
洋服に足袋(笑)姿で登場。幸弘さんが「(ズボンのすそが短いから)
足袋との間の足首が見えるのが変だ~」と言ったら萬斎さんは
「だから長いパンツをはいてきてるんですよ」とにこやかに。
すぐさま幸弘さんが「足が短いわけじゃないんだ」と突っ込んだのには
大笑い。この後もとにかく幸弘さんの不思議ワールド(単なる脱線か?)に
会場爆笑の渦(特に交通違反をした時の話は・・・)。広忠さんがまるで
司会者のように時間を気にしつつ、ひたすら脱線する幸弘さんの発言を
かわしながら進行しようとするのがまた(一応司会は芸術監督の萬斎
さんだと思っていたのですが)面白く、この3人の仲の良さを感じました。

途中から金井さんが参加。日経新聞の記事にもありましたが、やはり
囃子方、地謡が通常の能舞台より広い舞台の上、同じ舞台の上で
なく、少し離れた橋掛の間という位置からだったので、心細かったという
話とか、これは広忠さんが「敦」の演奏の時にも言っていましたが、
鏡板を後ろに、天井からの屋根に囲まれた能舞台で演奏しているのと
全く違う環境で演奏すると、自分の演奏について、改めて考え直す
機会になるとかいろいろお話が出ましたが、やはり一番客席が
うなずいていたのは、広忠さんが萬斎さんに言った「やはりあなたが
清明やるべきしょう」というひと言だったかも・・・

トーク開始がすでに21時をまわっていたこともあり、終了は予定を大幅に
(またも)オーバーして21時35分となりましたが、大変面白い企画でした。

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