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2007.07.15

「国盗人」千秋楽を観る

最終公演を前になにかまた調整があったのか、開場が10分
遅れ、開幕も5分押し。開場待ちしていたら、グッズも最終日と
言うことで力が入っていましたが、中でも「コシノジュンコデザイン」
とふれこみの「悪三郎家猪家紋入り特製手ぬぐい」が予定より
みなさんの財布のひもが固かったのか、いきなり

『3本買えば1本には萬斎さんの直筆サイン入り』!!

になっていました。
やっぱり3兄弟だから3本なのか?(笑)しかし千秋楽にこの作戦は
ちょっとずるい・・・(笑)初日に買っていたので買いませんでしたけど。

立ち見の方も5~6人出た盛況でしたが台風の影響でか、来られなか
った方もいらしたようで、空席もポツポツ。

客席にはもうおなじみ?河合先生、そしてプレビュー初日に続いて
コシノジュンコ先生も。

プレビュー初日には仕掛けの多さ、深すぎる読みにこっちがついて
いけず、逆に目くらまし的衣装などに気を取られてかなりひどい事を
書いて「書き過ぎ」とお叱りも受けましたが、この日は本当に普通に
見ることができました。

やはりテンポが良くなったのと、逆に見せるためのポイントのセリフや
リアクションが中央前をメインとした位置でクリアに演じられるように
なったというのが大きかったように思います。
一週間ぶりに見た中では、病弱な一郎王がよろけるのを支える王妃が、
手を貸そうとする左大臣を振り払うという動きが入って、「みなと和睦を」
なんていうのが嘘っぱちだとあからさまに判るとか、あるいは歩きながら
しゃべっていた悪三郎の「私が謙虚な性格で良かった」というセリフが
中央で語られるようになったり、心理を表すところに、笛の音が入ったりと
いうような違いが見えました。

何より、ギャーギャー事を起こしながら自分の手中に権力を収めようと
する悪三郎のキャラクターは、杏を口説くにしても会議で主導権を
握ろうとするにしても、「大芝居を打っている」感があることで、周りが
あっさりだまされる面白さがあるわけですし(空涙とか)そのへんの
「大芝居」の気配が、実に面白く見られました。
その分、いよいよ権力を手に入れ、守りに入った時に母にさえ疎まれた
ことで、突然これまでの所業に自身で怖気を感じるというあたりのもろさが
腑に落ちた気がします。
それにしても私には、この芝居の中で唯一悪三郎自身が実際に
手を下した(原作では手を下したのは部下)王子暗殺のあたりから、
どうも悪三郎には、いわゆる「良心」の呵責が目を覚ましていたように
昨日の芝居では感じられました。
最後の死については、「やっと誰かが暴走してリセットボタンを押せなく
なった自分の動きを止めてくれた」という安心感すら感じてしまったのは
千秋楽ならではのセンチメンタリズムでしょうか。

役者陣の個性がずいぶんしっかり発揮されていたのも今回印象的
でした。壊れ気味の大森ヘイスティングス左大臣、悪三郎とは対照的な
善人、忠臣、そして最終的に対立することになるライバルと、「善」を
象徴する形で登場し続けた、「静」と「知」の今井さん。特に今井さんと
萬斎さんと二人の「準備(用意だった?)はできたか」のユニゾンは
毎回私の中では最高の楽しみでしたので、これが聴けなくなるのは
ちょっと残念。
萬斎さん目当てで見にきた方の中にも、きっとこの公演で今井さんの
印象が強く残ったのでは?私など帰宅してすぐ、今井さん出演の
「HR」と「秘太刀馬の首(最終回のみ突然出演)」を見直してしまい
ました(「新選組!」は別の意味でインパクトが強すぎる・・・)

カーテンコールは5~6回はあったでしょうか。
河合先生、コシノさんも舞台に上がって挨拶されていました。
でも、座長の挨拶でもあるのかなとか、花吹雪が舞うとかあるかと
思ったので(せめて座長兼演出家なんだし挨拶くらいは・・・)ミュージ
シャンのライブとか、蜷川さんの千秋楽とかに比べると意外にあっさり
終わったな~という印象でした。
カーテンコールの白石さんの登場のところに、笛で薄く「タイスの瞑想曲」が
流れていたのが美しかったです。(こうした笛に限らず、囃子方って
本当になんでも音にしちゃうんですねえ)

あと地方公演がありますが、その前に萬斎さんは本業?に戻っての
アメリカ公演があるとの事。
悪三郎からいきなり狂言で、しかも海外公演というのもなかなか凄い
スケジューリングですが、そういうものを踏まえてまた地方公演が
(劇場の構造で変わらざるを得ないところもありますから)どう変わる
(変わらない。いや、たぶん変わるかな)のか、見には行けませんが
興味津々です。


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コメント

かのこさま、お疲れ様でした。こんなに思い入れの深い舞台は初めてで、しばらくは何も手に付かない状態が続きそうで怖いです。「オイ王」は素晴らしかったけれど蜷川さんの作品、「敦」も美しかったけれど狂言チームのみの作品、「ハムレット」も、「間違いの狂言」もと考えてみて、萬斎さんの想いをほぼ完全に反映させた舞台ってやはり「国盗人」が初めてだったように思います。その分、確実に忘れられない舞台になりました。

投稿: 松風 | 2007.07.16 22:34

松風様
かなり思い入れの強い作品になられたようですね。
個人的には本人の解説聞かないと判りづらいというのも
徐々に面白みが増えて楽しいというのはありますが
でももうちょっと「一度見ただけでも面白さが分かる
舞台の方が、人には勧めやすいかも!(^^)!
地方公演は諦めてます。
何しろ今月は他に歌舞伎座、コクーン、パルコにトラムと
あれこれ手を出しているので・・・(*_*)

投稿: かのこ | 2007.07.17 23:00

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