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2008.01.23

「能狂言と現代演劇による『葵上』」(記録映像)を見る

「パルコパート3 能ジャンクション」の一つとして知られ、21歳になった
ばかりだった萬斎さん(当時は本名の武司名義)と、還暦を迎えられた
ばかりでバリバリと意欲的な活動をされていた故・観世榮夫さんが
共演された1987年(21年前!)の舞台。
萬斎さんが初めて狂言以外のパフォーマンスに出演した事、何より当時
の空気にふさわしい、前衛と伝統の融合、所謂ポストモダンの不思議な舞台
だったと言う事が、一枚の赤みの強い舞台カラー写真から窺えるだけで、
パッケージ化はおろか、放送も見たことがなく、ファン歴の浅い私には
「幻の舞台」でしたが、今回京都の京都造形芸術大学の公開講座で全編を、
演出を担当された渡辺守章先生のトーク付きで拝見してきました。

これは3月に、同じくかつて萬斎さんも出演されたシリーズ「當麻」を、
同大学の劇場でキャストを変えて再演するにあたり、意義を見直すと言う
位置付けで、また同大学の舞台芸術研究の学生にとっては特別講義の一環
だったようで、学生も多く参加し、私もちょっと学生気分に浸りました。

そういえば会場となった大学付属の劇場で、前に榮夫さんと萬斎さんが
共演され、同じく渡辺先生演出の「内濠十二景~あるいは二重の影」を
拝見したのを思い出しました。

<神殿風にそびえる大学正面>
Zoukei_daigaku

<イベント入口への案内>
Aoinoue

さて内容ですが、しかし何しろ前衛と伝統の融合、ですから説明するのが
凄く厄介ですが(毒)、一時間ちょっとの作品で、武司青年演じる現代の
事故死しかけの若者(+語りや巫女なども兼ねる)と、榮夫さん演じる
六条御息所の生霊との一種壮絶なやりとりが、真上と時折真横からの
ライトに照らされた舞台の上で演じられていました。
舞台は客席の真ん中を貫通した、花道に近いイメージで、両側に幕、真ん中
あたりだけが少し幅が広いと言う特殊な形(ファッションショーのイメージ)で、
しかも一面に赤いビロードの上にビニールが張ってあるためにライトの
照り返しがまた不気味さと言うか幻想的な雰囲気を醸し出していました。

榮夫さんは非常に力強い存在感、さらにこれは渡辺氏に指摘されて気づき
ましたが、舞いながら自身で全編謡っているのは、かなりの技量を要する
ものだそうです。

そしてもちろん萬斎さん。
先日の「狂言座」の「越後聟」でも目の当たりにしたその身体能力の高さと
集中力の見事さがここでは若さも加わって、更に凄いレベルで発揮されて
いました。
細い舞台の上でまるで体操の選手のように決めた3連続バク転、さらに生の
舞台を見た人が一番印象的だったと言う、天井から吊るされた白いロープに
身体を巻き付けての逆さ釣り、それも結構長い時間その状態を保った後に、
バッとでなく、まるで蛇がとぐろを徐々に緩めるようにゆるゆると床に
横たわるあたり、相当苦しい筈なのを感じさせない美しさでした。
勿論今と変わらぬ独特の声で明晰に語る源氏物語(円地訳)や「葵上」の
謡が耳に残りました。

渡辺先生からは上映前に舞台上演までの経緯や、構成などの詳しい解説が、
また上映後には質疑応答もあり、上映時間を含めて2時間ほどの講座
でしたが、大変興味深く拝見しました。

どうも僅かに関係者しか持っていないと言う貴重な物だそうですが、これは
是非ともパッケージ化して頂きたいです。

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