« 「伊右衛門」カフェ | トップページ | 「くいだおれ」閉店の日 »

2008.07.08

「繻子の靴」(ハイライト版)を観る(聴く?)

京都・春秋座。
ハイライト版で2時間20分休憩なしでした。
(フルバージョンは約3時間半との情報)
<劇場のある大学の入口には、七夕飾りが>
Shunju_za_2

<学生向けのポスター。学生は1000円って、萬斎さんが出るのに
 映画より安い!>
Shunju_poster

無敵艦隊を誇る時代のスペインを舞台に騎士・ドン・ロドリック(萬斎さん)と武将
?夫人・ドニャ・プルエーズの地上では結ばれない悲恋、と言うのがベースなの
ですが、物語は岩波文庫上下巻、一冊が500ページを超える大作。

これを新しく翻訳された渡辺先生ご本人の演出による朗読劇でした。
(「朗読オラトリオ」とネーミングされていましたが、まあ普通のドラマ
 リーディングに少し舞台照明や音楽処理がされた感じでしょうか)

とにかく長いので、さすがに口上で(ナレーション)処理される部分も多いの
ですが、聞いていると後半が特に強烈らしくて、クローデルの日本趣味の
反映でしょうが、スペインの騎士の筈のロドリックが日本に漂着して、
日本画を学んで絵師になるとか、歌に百人一首が出てくるとか、日本人
だからかでしょうか、こちらが妙に苦笑してしまうようなところもある
荒唐無稽ぶり。
さすがに和歌に西洋風メロディを付けて歌われるのは聴いてる方がややこっ
恥ずかしかったですが…)


萬斎さんの朗読は相変わらず声が本当に独特。そういえば冒頭で
ヒロインがロドリックの魅力を「声」と言うセリフがあったので、この配役と
大いに関係している気がします。
またロドリックのセリフに恋や関係を「苦い」と表現しているところがあって
こちらは見事に「わが魂~」の実盛のセリフとシンクロして聞こえてしまい
ました(「わが魂」見過ぎ)。

何より、万作さんと萬斎さんが、並んでほぼ同じ黒のシャツにパンツ姿
という洋服で、狂言以外の演目で共演している、というのがとても新鮮
というか、珍しく、また貴重でした。

でもお二人の表現スタイルはやはり普段通り真逆。万作先生は涼やかで
アイ狂言の語りのような、穏やかな中に芯のあるお声で、萬斎さんは
共演の役者さんの誰よりもメリハリある抑揚で、ロマンティックな騎士を
演じていらっしゃいました。
(なんとなく「ハムレット」風に聞こえてしまいます)

ハイライト版ということで飛びとびな感じは確かにありましたが、共演の
役者さんたちもみなさん素晴らしくて特にドン・カミーユを演じた吉見さんは
おみごと!でした。

ただ肝心の山場、ロドリックとプルエーズとのやりとりのシーンのロドリックの
セリフに「あれ」やら「それ」やら「これ」という代名詞が多く出て来すぎで
(翻訳調と私たちが感じるもの、まさしくこれです)、何が何を指して何を
言っているのか、正直、かなり集中して聞きましたがわからないところが
出てきてしまったのが残念(何しろ、声でしか表現されないのですから)
でした。

そういえばまた「内濠十二景」のサブタイトル同様、またまた二重の影が
出てきたりしてましたっけ。
名前がどれも似ていたり、人間関係が最初わからなかったりしましたが
大河ドラマ的な面白さを感じました。朗読だけでこれだけ表現できる
というのがすごかったです。

|

« 「伊右衛門」カフェ | トップページ | 「くいだおれ」閉店の日 »

「舞台一般」カテゴリの記事

「野村萬斎」カテゴリの記事

コメント

かのこさま

はじめまして。
萬斎さん絡みでこちらを発見してから、ずっと拝見しているのですが、今回の公演では、思い切って関東から遠征したので、思い切り次いでに初めてコメントを出しています。

「万作さん、萬斎さんの異流試合共演なんて今度いつ観られるかわからない!」と逡巡が長く、決心したのが遅かったので、結局、最終日、8日の長丁場版に行きました。
こちらにコメントされていることに、大きくうなづくことが多かったので(ロドリックの魅力は「声」、関係が「苦い」とか、翻訳調が・・・などなど)こちらに書き始めてしまったのですが、私も、かのこさまが「フルバージョン版」で言っていた、萬斎さんの>声についての考え方や役へのアプローチの仕方がまるで違うと実感>が気になっているので、少し感じたことを・・・
萬斎さんの場合は、なんか、自分を楽器のように使っているのでは?!と・・・。どんな風にしたら、どんな音(声)が出るかを知っていて、それをどういう旋律(役?)に合わせたら、どんなに響くか・・・という中で感情表現がついてくるような・・・。
対して、新劇系の役者さんの場合、やはり感情ありきで(スタニライフスキィ式ですか??)声の演技をしているんだなぁと。
もちろん、萬斎さんも胸に手を当ててとか、感情から来る動きもされていましたが、大きく感情を爆発させる時は、足を踏ん張ってお腹の力いれて(いわゆる腹のそこから声を出す体勢)等の動きが多くて、身体全体で声を駆使しているように見えました(後方の席からですが・・・)。
でも、どの役者さんも素晴らしく、難解(というか、圧し掛かるキリスト教思想世界に感情移入できない?!・・・)でしたが、遠征した甲斐がありました。
万作さんの涼やかな高めのお声も聖人らしくて素敵でした。

劇場のこととか、まだまだ語り足らない(苦笑)のですが、長くなりましたのでこの辺で。
これからも、レポを楽しみにしています。

投稿: 柑子 | 2008.07.10 14:25

柑子さま
はじめまして、そしてコメントありがとうございます。
コメント読ませていただいて、こちらこそそうか~と気が付くことが多かったです(^^)/
でもあれって芝居にするのも大変そうだし、と言って
全部朗読っていうのもたぶん大変そうですよねえ。
でも自力で黙読が一番続きそうもないですけど(苦笑)

投稿: かのこ | 2008.07.11 07:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「伊右衛門」カフェ | トップページ | 「くいだおれ」閉店の日 »