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2008.10.12

「ボストン美術館浮世絵名品展」を見る

江戸東京博物館。
見事な保存状態と噂の高いボストン美術館の浮世絵の里帰り展がいよいよ東京へ
巡回と言う事で早速伺いました。

Boston_edotokyo


正直、私はここの展示室は照明や天井の高さのせいか、何となく全体の印象が
くすんだ感じで、しかも美術館として閉じていないので、外の音が入り込み、
どうも美術品をじっくり展示する環境としては今ひとつと感じていたのですが、
やはり今回も作品は確かに美しかったですが、作品の表現を引き立てる個別の
照明、ゆっくり鑑賞できる幅のある展示スペースや理解の助けになる解説にも
工夫が薄く、例えば先月あたりの太田記念浮世絵美術館の、やはり同じく里帰り
展だった「ベルギーロイヤルコレクション展」や去年の「アルバートパーク
コレクション展」の、じっくり鑑賞できる雰囲気、また以前千葉市美術館で
あった「鳥居清長展」の圧倒的物量、町田市の版画美術館や松涛美術館など
での浮世絵展に比べて、なんとなくメリハリがなく、鮮やかな写楽も通りいっぺんで
行きすぎてしまいそうな雰囲気でその魅力を十分感じられず残念でした。

確かに作品は凄い。
春信の漆黒、余り普段鮮やかだなぁと思わない湖龍斎の衣装柄の描き込み量、
北斎の朱や紫など国内コレクションでは褪色してしまっている物が鮮やかさを
保っていて目を引きました。
勿論個人的には国芳。
国芳にしては珍しい?三枚続きの美人画(しかし背景の梅があっさり早描き風
で妙)や、美人画なのに、目立つのは、縦の格子窓から入る光の影をリアルに
床に描いている部分と言う、拘るところはそこ?と突っ込みたくなる着眼点の
ズレ、また東都シリーズの煙の上がり方は「近江のお兼」と同じで無駄に?洋風。
と有りがたくも曲者揃い。
そしてあちこちのコレクションにある「讃岐院、眷族をして為朝をすくふ図」と
共に出ていた、「鬼若丸の鯉退治」が強烈にして、実に国芳らしいすさまじさ。
三枚続絵の初期作品だそうですが、画面殆どを覆う水の渦巻きに、あり得ない
濁った朱色の鯉の姿が絡み付き、上から押さえ込みに係る鬼若丸の乗っている
地面との位置関係がぐちゃぐちゃ。
ま、個別の表現より全体で漂わす妖気が何よりの魅力ですが。
ちなみに、広重作で出ていた「源頼光一代記」が、まるで広重らしくなく、どち
らかと言えば国芳っぽく驚きでした。
また広重には「見立座敷狂言」と言う、役者が座敷で芝居をしている(舞台裏
)様子が天井を抜いて上から見ている角度で描かれているものがあり、面白く
見ましたが、どうしても上演作品が解説にある「菅原伝授〜」と判らず残念。
こう言うものにイヤホンガイドがないのが惜しい。

ま、なんだかんだ言いながらすっかり楽しめましたが、やっぱりもう少し展示に
工夫が欲しいです。

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