「冬物語」初日を観る
唐沢さんが「コリオレイナス」のマザコン武人に続いて、厄介な瞬間湯沸器的
妄想嫉妬王と言う難役どう見せてくれるか、また横田さんのポリクシニーズ、
長谷川さんのフロリゼルと魅力的配役での奇想天外ロマンス劇、楽しみに
してました。
サンスポ、報知、スポニチに初日情報でていますが、サンスポ、蜷川さんの
「蜷」字が私のパソコンでは文字化けしてます(苦笑)
唐沢さんは雛人形の様な整った顔立ちにガウンスタイルの衣装、長い髪が、
全く例え方は誤解を産みそうですがまるで宝塚の男役の様に美しく、そして
非常に繊細に、前半は嫉妬、そして後半は後悔と贖罪の感情、何より「失った」
愛妻・ハーマイオニへの貫いた愛情の深さ、誠実さを見せて、しかもこの役者
さんが持つ清潔さが見事に作用して、非常に愛すべきレオンティーズでした。
唐沢さんと言うと「白い巨塔」や「コリオレイナス」「マクベス」のような転げ
落ちる英雄のイメージが最近多いようですが、個人的には今回が一番素敵
でしたし、泣かされました。
横田さんのポリクシニーズは(横田ファンは上手を取るべき!私は今回は下手で、
何回も他の役者さんに隠れてしまって残念しきり)、前半の爽やかさも良かった
けど、後半のわからず屋オヤジっぷりが(あんな大きな息子のいる役は初めて
見ましたし)、椅子とか蹴り飛ばす所が何か鋼太郎さんそっくりでうっかりニコ
ニコしてしまう位でした。
しかし何より凄かったのは年齢自由自在の田中さん。
ハーマイオニでもパディータでも相手が唐沢さんだろうが長谷川くんだろうが
全く違和感なし。
そしてハーマイオニの裁判シーンでの毅然とした弁明台詞は決して叫ぶ訳でも
ないのにヒタヒタと響いて聞き入りました。
ただ、これは演出の問題ですが、パーディタとハーマイオニを一人で演じると
困るシーンがあるのをどうするかと思ってましたが、やはり処理としては、りゅ
ーとぴあの方がスマートで、ラストの驚きは大きかったかも。
また「時」を七つ面的処理させていましたが、これは背景に流れる音楽共々
ちょっと消化不良気味かな。
ポーライナの藤田さん、カミローの原さんもしっかり脇を支えて安心でしたし、
廣田さん、大川さん、鈴木さん、清家さん、新川さん、手塚さんなどいつもの
メンバーもいらしてがっちりした舞台でした。
瑳川さんのオートリカスは初日だからか息切れしてて結構大変そうでした。
そうそう主な出番が2幕しかない長谷川くんが、1幕の裁判シーンあたりに貴族
役で(台詞はなし)出てましたが、口紅を注して、常に小指だけが立っていると
言う不思議な出で立ちで逆に目立っていてちょっと笑いました。
音楽は大好きなエニグマ風(私が一番聞いていた「2」あたりに雰囲気が酷似)
が印象的でした。
オートリカスを交えて転がる、2幕の劇的なエンディングへの流れが、喜劇と
悲劇の繋がり方が唐突な分、まだ今ひとつスムーズでなかったのが惜しまれ
ますが、象徴的に登場する紙飛行機、シンプルなラインに色と材質で変化を
付けた衣装など視覚的にも美しい舞台でした。
しかし、なんでシェイクスピア、肝心の感動の両王の再会シーンをやらずに
家臣たちの会話で済ませてしまったのかなあ・・・。
初日は4回カーテンコール(蜷川さん出ず)、22時5分終了。
しかし田中さん、恐るべし。
| 固定リンク
「舞台一般」カテゴリの記事
- NHK教育「ハートネットTV」に松岡和子さん(2021.07.22)
- 東宝が「レミゼ」チケット転売対策に出た(2019.04.04)
- 「ジーザス・クライスト=スーパースターinコンサート」チラシで(今更)判った事(2019.03.21)
- 「メタルマクベス〜disc2」を観る(2018.10.07)
- 二つの三人芝居(1)「出口なし」を観る(2018.09.20)
「蜷川さんの舞台関連」カテゴリの記事
- 井上さん版「オセロ」は蜷川さんアイテム総動員のスペクタクル系舞台(2018.09.20)
- 2017年年間「Best」&「残念」(演劇編)(2018.01.02)
- 「アテネのタイモン」を見る(千秋楽)(2018.01.01)
- 原美術館に「蜷川実花〜うつくしい日々」展を見に行く(2017.05.18)
- 「待つ2017」を観る(2017.05.16)
この記事へのコメントは終了しました。




コメント
かのこ様
こんにちは。初日ご覧になったのですね。さっそくのご感想、参考にさせていただきます。
私は日曜日に観劇予定です。
松岡さん翻訳の『冬物語』に、過去の上演記録が掲載されていますが、さっと見たところ、ハーマイオニーとパーディタの1人2役は、1970年のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー、トレヴァー・ナン演出でジュディ・デンチが演じたくらいでした。最後の奇跡の演出とあわせて、そのあたりを見るのも楽しみです。
蜷川さん演出の舞台は美術もとても美しく、今からワクワクしています。
上演時間などの情報もありがとうございます!
投稿: Mickey | 2009.01.16 12:16
いつも楽しく、かつ参考にさせて頂いてます。
「感動の再会シーン」私も何で!?と思いましたが、一緒に見てた人間は全員(4人)思ったようです。やっぱりドラマチックな展開を期待しちゃいますもんね。
上手の方が良かったですか・・・
今回、横田さんはキーマンですからね。貴重な情報、ありがとうございます。私はセンターで見てたものでその辺はよくわかりませんでした。
けっこうシンプルな舞台でしたが、それだけに役者さんの持ち味が生きてくると言うか・・・「表裏源内蛙合戦」とはまったく違う舞台でしたね。
投稿: ぷるっぴ | 2009.01.16 21:19
Mickeyさま
確かにパーディタとハーマイオニが似ているという
のもありだと思うのですが、だったら村祭りの
シーンでパーディタを初めてみるポリクシニーズ
もっと驚くべきなんですよねえ。
ナン演出舞台はジュディ・デンチですか!
最新作が来週から公開の「007」シリーズでは最近
ずっとボンドの上司のMを演じていらっしゃてて私の
中ではこわもて女性上司のイメージが強くなりすぎて
とてもハーマイオニには・・・(笑)
どうぞ舞台、楽しんでいらしてくださいね!
そして感想もぜひお聞かせください。
投稿: かのこ | 2009.01.17 09:34
ぷるっぴさま
横田さんファンとしてはやっぱり上手かな~
下手だとハーマイオニと語らうシーンの表情が全然
見えないんですよ(*_*)
それに最後の登場シーンもポリクシニーズは上手客席
通路から登場でしたし、何より最後の奇跡の対面の
時もその驚きの表情がレオンティーズとハーマイオニの
陰で見えなかった・・・・
でも今回は出番は決して少なくないけど、唐沢さんの
静のパワーが見事だと思いました。
横田さんともども彫像のようなビジュアル堪能させて
いただきました!(^^)!
投稿: かのこ | 2009.01.17 09:38
かのこ様
『冬物語』、ラストの大団円で春の息吹きを感じさせるような、心の温まる舞台でした。唐沢さんのレオンティーズと横田さんのポリクシニーズ、息があっていましたね。お二人とも長髪がお似合いで、きれいでした。
シチリア王の嫉妬の理由が戯曲からは理解しにくかったのですが、目の前で親友と妻が恋人同士のように無邪気に熱いまなざしを交わし指を絡ませているのを見れば、レオンティーズの邪推も頷けるというものです。また、「(二人が)唇を重ねている」というレオンティーズの台詞も戯曲で読むと?なのですが、今回の演出のようにハーマイオニーが、魚の頭(ポリクシニーズが被っている)に唇を寄せるのを見ると、これも納得でした(でも、なんで魚なのでしょう?)
蜷川さんの舞台はセットや衣装も楽しみの1つです。今回のセットは、シチリアは赤、ボヘミアは青を基調にしたテンペラ画の趣を持つシンプルなものでしたが、宮殿にでもなれば、牢獄にもなり、村祭りの会場にも溶け込んでいて、観客の想像力も刺激するいいセットだと思いました。
ラストの「奇跡」のシーンですが、以前見たエイドリアン・ノーブル演出のRSC公演ではハーマイオニーの像が客席に背を向けて立っていたため、観客はその場に居合わせた人々の驚愕の表情を見ることによって奇跡を感じるというものでした。今回はオーソドックスな感じでしたが、レオンティーズの驚きと喜びあふれる様子には涙を誘われました。かのこ様のおっしゃるように、私も今までの唐沢さんの舞台では今回の役が一番好きです。
今回、左ブロック通路側の席でしたが、ポリクシニーズがハーマイオニを見つめる甘い表情が良く見えました。通路をはさんで斜め前に鈴木杏ちゃん、そのお隣は吉田鋼太郎さんが観劇されていました。カーテンコールになると、吉田さんはまっ先に立ち上がり「ブラヴォー」と叫んでいらっしゃいました。後輩達へのエールのようでした。
長々とお邪魔して、申し訳ありませんでした。
投稿: Mickey | 2009.01.19 17:50
Mickeyさま
吉田さん、杏ちゃんとなると、「ムサシ」本読み
(本あるのか?)でもあったのでしょうか(^.^)
にしても確かになんでマミリアスの衣装も、かぶり物も
鯉のぼりなのかな~と私も思いました。
それにしてもレオンティーズって三幕2場に退場してから4幕いっぱい、松岡さんの翻訳本にして80ページばかり
、ポリクシニーズも2幕3幕、4幕1場出番がなくて、こちらは75ページ、それぞれ16年間を示すもの何もなしで再登場する、その間をどう感覚的に埋めているのかすごく
興味があります。
投稿: かのこ | 2009.01.20 08:08