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2009.02.03

鎌倉能舞台40周年記念「乱能」を観る

国立能楽堂。
<お土産にいただいたハンドタオル>
Rannoh

噂には聞いていた「乱能」と言う物を初めて拝見しました。
歌舞伎で言うと「俳優祭」みたいなものかも知れませんが、囃子方は参加され
役回りを入れ換えてするのが見所。
全席自由席と聞いて恐る恐る出向きましたが、ギリギリでも割に見易い席が
運良くポコリと空いていて、たっぷり6時間楽しませて頂きました。

噂ではかなりウケ狙いの演目もあるとお聞きしていましたが、詞章忘れてたり
危うくなって「天の声」や裏、更に目の前の「本職」からヘルプが飛んだり、
自分の台詞に笑ってしまったり、飴が撒かれたり、中には地謡座からデジカメで
撮影なさる方もいらっしゃいましたが、全体的には、意外に?「ちゃんとした」
演目が多かった気がします。

何より能装束など、我々素人がいきなり着たら、単なるコスプレになってしまう
でしょうし、何より装束に着られてみっともない事になるに違いないのが、
そこは普段からいる世界、囃子方のシテ装束姿も普通に様になっていましたし、
囃子をなさる主にシテ方も、中には一声ごとに笑いを誘ってしまう若手もいらっ
しゃいましたが、概ね皆さん気合の入った演奏でした。

印象に残ったのは「邯鄲」の観世元伯さん、「猩々乱」の萬斎さん&広忠さん、
最後に登場の山本家総出の「石橋 大獅子」など、私ごとき能素人からしたら、
相当なかっこ良さでした。(みなさん、面でお顔が見られなかったのが残念!)
観世さんは一番目だけに、この曲がお笑いに終わってしまったら後が大変だったと
思うのですが、笑いパートは他ににお任せして(一噌さんのアイは格別でしたし、
鵜澤さんの巨大子方はパワー満点でした)、コツコツと作り物の柱にぶつかり
ながらも舞われ、キチンと子方を軍配?でコツリと叩くのも忘れず、何より箱枕
ジャンプイン?もほぼ見事にお決めになってました。

次は深田&高野の万作家コンビの「小袖曽我」。
流石は万作家、舞の方は大丈夫だったのですが、これは囃子方が大変で、
特に大鼓担当は途中で貫太先生が見るに見かねて?切戸口から登場しての
ヘルプが。多分舞っていた二人は終わるまで何で見所が沸いていたのか
判らなかったかも。
最後までしてから「笑い止め」で舞納めたのが、狂言方ならではでした。

次は派手さ一等の「土蜘蛛」。糸出しまくり暴れまくりのシテ、最後には色や
金色のまで飛ばして大立ち回り、気持良かったでしょうが、屋根近くまで
絡みついた糸の片付けが大変そうでした。

次は狂言「蚊相撲」。
シテ方がなさると何か軽く笑えなくなる重みが出るのが何とも笑えましたが、
何より長かった!30分くらいの曲のはずがあちこち寄り道して45分くらい
かかってました。
また習われたお流儀が山本家だからか、万作家だと主自身が巨大団扇で
扇ぐのを太郎冠者がされたりしたのが興味深く、翻って考えると狂言なら
こうして、普段見ているのとの違いに思い至りますが、能はオリジナルを
十分判ってないので、判っていたら面白い筈のところが笑えなかったかもと、
こうしたお楽しみ企画もオリジナルが判ってこそで、もっとちゃんと見なく
てはと改めて思いました。
(しかし「蚊相撲」は途中脱線→端折って進行したらシテから「何か途中
飛んだような」と声があったのは笑えました)

舞囃子を挟んで一調に万作さん登場、「勧進帳」は囃子共々余裕で、
これで場がキリっと締まりました。

もう一曲挟んでいよいよ個人的に一番楽しみにしていた萬斎さん、広忠さんの
「猩々乱」。
予想通りお二人とも余裕のレベルで、特に萬斎さんはちゃんとやりつつ、
酒瓶に頭突っ込んだり、前の広忠さんを蹴りそうな勢いで足を上げたり、挙句
飲みすぎて寝てしまうと狂言ならではの要素も忘れず入れ、思わず「萬斎さん
ってやれるならシテ方もやりたいのかもなぁ」と想像してしまいました。
広忠さんも演じている途中で、大鼓に拍子の取り方を教えたり余裕寂々、
華やかな一曲でした。

舞囃子、一調を挟んで能「融」。
シテが何故か直面でしたが、こちらも囃子皆さん本気モード。大鼓担当の味方
さんが途中で大鼓をお稽古風景で良く拝見する、箱と扇子(正式名称知らなくて
すみません)に持ち変えてなさり、最後はまた何事もなかった様に大鼓に持ち
変えていらしてびっくりしました。
狂言最後はワキ方メンバーでの「菌」(万作家だと「茸」と表示)。
殿田さんの行者はワキ方そのものの威厳で、普通に茸死滅しそうな感じでしたが、
茸役の演者さんの実名で「メタボ対策によさそうな」とか「そんなへっぴり腰
じゃワキ方は勤まらんぞ」と後輩を叱咤する一幕もありましたが、やはり真面目な
感じになるのが面白かったです。

最後は山本家総出の「石橋 大獅子」。
合計4匹獅子が登場、タイミングは微妙にずれたりはしましたが、迫力は満点。
ワキをなさった東次郎さんは直前登場された殿田さんそっくりの威厳でした。

滅多に顔を拝見できないシテ方のお顔が拝見できましたし(特に笑顔なんて)、
良い意味でちょっと能が身近な感じがしたりも。
先ずはもう少し能をきちんと見なくては。

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コメント

かのこ様

レポ、どうもありがとうございます! とても詳しく雰囲気が伺えうれしかったので、思わず、仕事をさぼって書いています。

「乱能」三役で入れ替えるっ??って、すご~く興味があったのですが、平日だし長時間だし・・・と諦めました。かのこさんのレポで機会があれば観てみたいなぁとあらためて思いました。
萬斎さん、何かの本(?)で「狂言師でなかったら、何になりたかったですか?」に、「外交官」と並んで「お能シテ方」と答えていたような記憶があるのですが(不確かです、すみません!!)・・・。素敵だったでしょうね~

投稿: 柑子 | 2009.02.03 14:16

かのこ様
楽しい経験ができたようで、羨ましい限りです。この企画を知ったのがぎりぎりで、既に完売でした!残念でした。でも、予想通り(?)かのこ様のコメントで、大体の内容がわかって、嬉しかったです。感じたことは、やはり能楽の三役は、シテ方に憧れがあるのだろうなぁという事でした。野村家で、ただ一人四郎さんがシテ方となっていますが、そのお陰で?御子息の昌司さんもシテ方としての道が歩めるのですものね。昔からの狂言師の家柄の人で、観世流の:シテ方になっている他の人もいますから、やはりみなさん憧れているのかな?と思っていました。そんな日ごろからの想像を、解明できそうで面白そうだったのになぁと…。まぁ、とにかく興味のある企画ですよね。コメント、本当に有難う御座いました。マスミ

投稿: マスミ | 2009.02.03 22:16

柑子さま
コメントありがとうございます
たぶん能はもっと見ていたら「あそこが違う」
「あれは今回だけのもの」とわかったかと思うので
ちゃんと伝わっているか心配ですが・・・(^^ゞ
でもシテ方は面でお顔を見たことのない方もいらしたし
囃子方の皆さんはいつも素顔しか知らないので、逆に
装束つけてしまうとどなたか全然わからないしで
そのあたりがものすごく興味深かったです。

投稿: かのこ | 2009.02.04 07:43

マスミさま
囃子方、狂言方のパワーはシテ方に伝わったと思うし
同じように、シテ方のなさる囃子もみなさんすごく
本格的で(小島さんの太鼓など姿もすごく決まってました)
たぶんシテ方の皆さんも囃子好きの方はいそうですし、
まえに萬斎さんがおっしゃってましたが、芸大に
行っていたり、国立能楽の研修所に通っていると
他の役のものも習われるみたいなので、できる方は
多いのかもしれません。
私は見たことがありませんが、「吹取」という狂言では
萬斎さんは笛をご自身で吹かれるみたいですし。

投稿: かのこ | 2009.02.04 07:47

楽しそうで良かったですね
私も一度だけ乱能を拝見した事がありますが楽しいですよね

ところで囃子の大鼓の味方さんってシテ方の味方玄先生ですか?
大鼓がお得意なんでもしや?と思いまして
大鼓って手が非常に痛くなるんですよね~(+_+)
体験講座で打たせていただいて、打ち方が悪く、手のひらが紫に腫れた事があります


投稿: バル | 2009.02.04 22:04

バルさま
コメントありがとうございます。
大鼓されていたのは、味方健先生でした。
後ろに息子さん(玄さん)がいらして、箱と大鼓を
ささっと入れ替えていらっしゃいました。

投稿: かのこ | 2009.02.05 08:00

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