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2009.04.11

「能楽現在形〜『望月』連続公演第二日」を観る

宝生能楽堂。

広忠くん吠える。
今日の一番の印象はこれでした。正直前半寝かかっていたのが覚醒した
のは広忠さんの掛声でした。

宝生流と言う事で、前回の観世に比べたら地味になるのは予想していて、
確かに前半ツレの謡い方も入り方も随分地味。
子方も出の謡が弱々しく、また私の座席の場所によるのかも知れませんが、
前半は全体に囃子方の音量に演者の声がかき消されていて、大丈夫夫
かしらと余計な心配をした程。
その中で広忠さんの声はシテをけしかけるようで、まさに「吠えて」ました。

しかし後半、子方の羯鼓の舞あたりから演者の方も気合いが満ちてきて、
シテが獅子舞で出る頃には、パワー爆発。

危うげだった子方も鞨鼓のあたりから元気になり、ラスト前はイキイキ。
今回の獅子は赤頭、扇は一枚(前回は2枚だったような)、袴は白の大口で
被っていた着物の中に獅子頭を外して残し、体を後ろに引いて立ち上がれば、
子方と袴の色が揃って志が同じであると判る感じがしました。
子方が狭いスペースを走り込んでワキの笠を飛び越え、ワキの肩を掴んだのには
びっくりでしたし、やはり能とは思えない劇的な物がありました。

金井さんは「劇場版」でも何度か拝見していますが、真面目でどっしりとした
迫力。獅子を外した時は、もちろん直面なのですが、怒りが満ちていてすごい
形相でびっくりしました。
欣哉さんは声がますますお父様に似て来られましたが、前回の殿田さんの
ワキよりやや印象が薄かったかな。でも笠を置いて入る姿に美しさを感じました。
万作さんのアイは堅実。柱に重なって「討とう」のところの表情を見そびれたのが
惜しい!
囃子方では広忠さんは勿論、幸弘さんの笛の装飾音符は数限りなく、成田
さんの小鼓と広忠さんの大鼓がピタリと合った瞬間はぞわっとしました。

観世のものが「謡」「鞨鼓」「獅子舞」という芸を見せる感じだったのと反対に
すべてを後半に、溜めた力を爆発させた「望月」でした。

その前に萬斎さんの「法師ヶ母」。
前にも拝見してますが、今回はより能がかった印象でした。
しかし「美人じゃないって言ったじゃん」と拗ねまくる妻に「あれは冗談で言った
だけだから、帰ってきてよ」と必死にフォロー入れていたのが笑えましたが
「あらそうなの、だったら帰ろうかなあ~」って誉められるとあっさり前言撤回
しちゃった高野さんの奥さん、可愛すぎ。
そうそう萬斎さん、髪の分け目が七三に戻っていて、やはりアイの時と
使い分けているのかしら。次回どうなるかと観察続行(笑)

次回は喜多流、友枝さん。
楽しみです。

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コメント

かのこさま
やっぱり能楽進行形は、凄いですよね。観世も良かったけど、とにかく全体に迫力が違います。それと、見所の質が高い…、と言うと失礼かな??? 宝生は、地味だしあまり好きではないのだけど、今回も子方の情けなさに唖然として、しばらく眠りました。鞨鼓の踊りの時は、席の関係で、殆ど見えないし、広忠さんが「吠えた」頃からやおら起きてしっかりと見ました。確かに、前回と違って大口をはいていたし、大柄なひとの良さが出ていたようでした。赤頭だし、扇も1枚でしたね。袴の色を揃えて、一心同体という感じとは、気づきませんでした。さすがはかのこさまですねぇ。
子方のことだけど、宝生って、誰かいないのでしょうか。前も、Tという子方がひどくてうんざりしました。舞台できちんと座っていられないのですよ。ワキのOさんに寄りかかっちゃっていたんです。ちょっと呆れました。
それはともかく、今回の企画は、各流派の違いが分かるし、競い合うし、考えていたよりずっと面白かったです。(ちょっと空き席が目立ちましたが・・・。)
14日が、す・ご・く・楽しみですね。お囃子の方も…。
マスミ

投稿: マスミ | 2009.04.12 01:27

マスミさま
子方というのは求めて輩出されるものでもないので
なかなか難しいものがありますよねえ。
シテ方のお子様方だけではとても対応できないし
演目によってはかなり演技力を求められるので。
でもこの子方のありようが意外に大きいから難しい
ですよねえ。

14日、とにかくどうやって仕事を終わらせて能までに
入るか、今から心配してます
(たぶん萬斎さんの「景清」には間に合わない・・・)

投稿: かのこ | 2009.04.12 11:32

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