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2009.09.05

「狂言ござる乃座42th」を観る

国立能楽堂。

まずは「蝸牛」
裕基くんの太郎冠者に萬斎さんの山伏は、最後の「あ〜めもか〜ぜもふ〜
か〜ぬ〜に〜でざかまうちわろう〜」のところの息の合い方が見事で、先日の
「舟渡聟」の万作&萬斎さんの息の合い方もでしたが、さすが親子の一言。
一世代下もどうやら大丈夫みたい。特にパパが楽しそうでしたねえ。
主は遼太くんで、結果的に萬斎さんが一番年上と言う状況はなかなか新鮮
でした。
しかしこの曲は何回見てもラストが「ハーメルンの笛吹男」に見えて仕方なく、
しかも今回、従いていくのが二人とも子どもなだけに余計残酷にも見え、
「ポピュラーな『蝸牛』」と侮れないなとつくづく。

訳わからないと言えば「月見座頭」は「川上」を遥かに上回る不条理さ。
拝見するのは、横浜三渓園(野外、強風で徳利が何度も倒れ最悪でした)、
世田谷パブリックシアターでの「狂言劇場」に続いて3回目だと思いますが
今回、萬斎さんが初めて座頭に挑戦、上京の男は石田さんがなさいました。
ポイントは上京の男の豹変。
真逆の行動ながらどちらも彼の欲望から出たに違いなく、人間の行動が常に
一つの信念に貫かれているなんて嘘っぱちと告発している気がしました。
残された座頭のつぶやきは、果たして一人と気づいているのかいないのかが
微妙ですが、気づいていたと解釈する方が、座頭が気の毒でない、というか
人間観察においてある境地にたどりつけている方が見ていてほっとできます。

上京の男が座頭の杖を投げ捨てるところで、杖が予想以上に転がってしまい、
珍しく正面に落ちて、階に立て掛けるようにして止まってしまいました。
立ち上がる座頭が杖を探す仕草がすぐにあるのでヒヤリとしましたが、
後見の月崎さんがすかさず切戸口に入り、代わりの杖を見事なタイミングで
萬斎さんの前に置き、萬斎さんも何事もなかった様に拾って幕に入られ
ほっとしました。
階に物が落ちるハプニングは初めて拝見しましたが、後見の存在意義が
発揮されました。
ちなみに直ぐに次の曲が始まるタイムスケジュールだったので、落ちた杖は
最後の「附子」の終了後に「附子」の後見の竹山くんが引いて入りました。

その「附子」、全く珍しく、万作&万之介のベテラン兄弟が太郎&次郎冠者に
扮する貴重な配役。
何が違うでもないのですが、引きぎみの次郎冠者が最初に砂糖を口にする時の
おそるおそるした感じとか、二人で桶の附子を取り合いする時の、扇の余りに
リズミカルなタイミングが何とも絶妙でした。

「月見座頭」以外は普及公演でもよくかかる曲でしたが、一方は若い配役での
清新な舞台、もう一方は大ベテランの二人による無駄を廃した「軽みの芸」を
楽しませていただきました。

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コメント

かのこさん、こんにちは。

4日は竹山くんが『附子』が終わると鬘桶を片付けないまま奥に入ってしまいまいした。どうするのかなと心配して見ている人が何人もいました。しばらくして切戸口から再登場して片付けました。大ベテランの『附子』がとても良くて、ああ終わったと思わず引っ込んでしまったのかなと思いました。

投稿: susie | 2009.09.06 21:53

susieさま
あららら~入れるのを忘れたって、蓋開けて舞台先に置きっぱなしなのに?
やっぱりこの顔合わせだと緊張してたんでしょうかしら(^^ゞ後見も勉強することはたくさんあるのでしょうね!

投稿: かのこ | 2009.09.07 06:17

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