文楽「天変斯止嵐后晴」を観る
新作という部類に入ると思うのですが、文楽でこういうのを観るのは
初めてでした。
春先だったか、萬斎さんの「解体新書」にゲストで出演された
勘十郎さんが「東京でもやるかも~」と予告されていたものでしたし、
ちょうど夏に能楽堂と能楽師を使った「りゅーとぴあ能楽堂シェイク
スピアシリーズ」でもこの「テンペスト」が取り上げられていて、様々な
古典芸のアプローチを使ってのシェイクスピアの一環ということで、
楽しみに伺いました。
(夏にあった萬斎さんの「法螺侍」も元はシェイクスピアです)
普段2部制の文楽が今回は3部ということで、ただでさえ、入れ替えが
大変だと思うのに、今回、この「天変斯止嵐后晴」がかかる3部の前の
2部の終演が18時を10分近くまわっていて、一応18時半開演という
ことで、イヤホンガイドを確保、軽食食べる時間に、化粧室タイムと
怒涛のようにばたばたして、着席したら、案の定開演でした。
たぶんですが、この作品、生粋の文楽ファンには受けが悪いかも。
台詞が固いんですよね。現代語に近い割に。
しかも音楽もいつもと雰囲気が違うので乗りづらい。
特にジャズセッションみたいな三味線と琴のかけあいみたいに
なった冒頭の嵐の音楽は、いつもの「ツツツン~シャシャシャン~」
に「さればなんとか・・・」と渋いお声が被る文楽の出だしと比べたら
音量だけがすごくてなんだかな~って感じになりそうでした。
でも、なんたって人形芝居ですから、人間がやる時に一番難しい
筈のエアリアル(劇中ですと英理彦<えりひこ>)の扱いが全然
楽。重力ゼロ、空中滑空も問題なしですし、急に消える、急に登場するのも
全然OK。
(しかし今回、英理彦の足遣いさんは大変だったでしょうね。飛ぶシーンが
多かったので、英理彦の両足のくるぶし握って、胴体と離れないように
走り回っていました)
登場人物をかなり減らし、また、順序も入れ替えて、話をわかりやすくし
舞台上でも原作ならエアリアルの仕業の後ろに常に必ず登場している
プロスペロー(今回は阿蘇左衛門)を省略しているとかで舞台をすっきり
させていました。
何より、エピローグも含めてかなりシェイクスピアのセリフをそのまま
使っているとことがあってうまく消化しているなあと感心しました
途中、道化役扱いの珍才(ステファノー)が主・アロンゾーと一緒に
遭難して助かったシーンでは、防水機能付き(遭難してるので
必須機能)携帯電話を持ち出して、電卓機能でお酒の残量の計算を
させてみたり、泥亀丸(キャリバン)に、春太郎(ファーディナンド)の
強さを「白鵬か、朝青龍か、住大夫か」と言わせてみたりのお遊びも
まあ、この二人の扱いが最後しっかりされてなかったのはちょっと
残念ですけれど。
金閣寺の上に載っているのとそっくりの鳳凰が出てきたり、ペリカンと
白鳥?のラインダンスが出てきたり、背景の南国の森の中に
ラフレシアが描かれていたり、いつもの文楽とはずいぶん違う趣向に
違和感を感じられた方もいたかもしれませんが、個人的に人形芝居の
強みを生かしたシェイクスピアの一演出方法としての面白さ、そして
何より文楽の大夫たちは、シェイクスピアのセリフも読みこなし、文楽
として聞かせるだけの底力がおありになるというのが、一番強く
感じました。
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