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2010.04.29

「万作狂言十八選」を観る

国立能楽堂
萬斎さんの「花子」は、先般再発売された最初の写真集の表紙になっているので
肩脱ぎに扇を翳したポーズの姿に馴染みはありましたが、実際に拝見したことが
なく、またこれを歌舞伎舞踊に仕立て、大コメディ化した「身替座禅」は中村屋
さんによってしばしば舞台にかかるので、是非狂言のを見てみたいと思っていた
ので、楽しみに伺いました。
見所に「ファウスト」共演の若村さんらしき方をお見かけする。

まずは万之介さんの「無布施経」
これ、以前に茂山千作さんのを拝見したのが、未だに強烈な印象に残っているの
ですが、やはり万作家であれば、住持は万之介さん以外考えられませんし、まさに
期待通り?でした。
しかし、相手が約束した事を忘れているのを思い出させ、それも払ってもらう
とか返してもらうとかの催促となると、あまりあからさまでも言い出すこちらが
ケチくさいと言われたくもないがこの機会を逃したくもない、と言う状況は
誰しも心当たりがあるもので、特にその手の話には記憶力が鮮明なタイプの私
には、あの手この手と住持が苦労するさまはなかなか見につまされました。

休憩を挟んでいよいよ「花子」
萬斎さんはベージュ地にグリーンの露芝模様の素襖に烏帽子、万作さんの肩衣は
水色に菖蒲柄、石田さんの着物もオリーブ色と、舞台は爽やかな色合い。
後半萬斎さんは、華やかな朱の織のものに、紫とも茶とも見える地に鉄線の様な
白い花や、前半の露芝など植物柄を華やかにあしらった豪華な素襖を肩脱ぎにし
烏帽子を外した、キリリと色気を感じさせる(写真で良く見ていたのと同じ)
姿でした。

浮気の相手のところに行く言い訳を捻りだし、奥さまを納得させて出かけると
言う、まあ実に下世話な話を真面目くさってやっているギャップがおかしい前半、
実は太郎冠者と入れ替わっている奥さま相手に、こっそり会いに行った花子との
ラブラブデートの様子を延々と自慢するのを見る後半。
まあ、デート話を面と向かってするのは恥ずかしいから、顔を隠している布は
取らなくて良いからと、そこにいるのが太郎冠者でなく奥さまだと確認しな
かった夫の、出かける前ほど用心しなかったのが甘かった訳ですし、妻が悪気や
嫉妬、猜疑心から持仏堂に入ったのではない分、夫のダメさ加減数倍増し。

面白いと思ったのは、笑いが身上の狂言にも拘わらず、この演目の見所は
夫の間抜け具合を笑うと言うより、1時間近い上演時間のうちの後半30分くらいを
占めるシテによる男女二役、謡と舞での演じ分けにある事。
萬斎さんは、舞台上では普段余り息も上がらないし、汗もかかないようにお見
受けしますが、今回は「節分」以来久しぶりに汗と少しばかりの息切れをなさる
程の大熱演でした。
シテの謡は、狂言には珍しく、かなり艶っぽい内容でしたが、それでも単に
笑いを取る、と言うのでない感じがしたのが、かえって面白かったです。

蛇足ながらその間、舞台上の他の2人、太郎冠者も奥さまもピクリともしない
のも驚きでした。

「釣狐」以来、久しぶりに緊張して拝見した大曲、堪能させて頂きました。

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