「五月文楽公演(夜の部)」を観る
文楽は私には、歌舞伎、能、狂言と比べると最近になってから行くようになった
伝統芸能です。
大夫や人形遣いの芸を楽しむ、と言う部分もありますが、最近私なりの
楽しみ方は(つまり見に行くか行かないかの基準)は、歌舞伎だと一部分しか
演じられない作品の他の場面が演じられる事がある事、また歌舞伎で通し、
と言ってても、たいてい省略される場面が、飛ばされずに上演される事があると
言うところ。
また、役者が揃わないとなんだかなぁとなってしまう歌舞伎と違って、人形は
ビジュアルづがっかりする事がないのも文楽の良いところ。
今回の「新版歌祭文」も、おみつを簑助さんが遣われる、と言うのもありますが、
歌舞伎だと「野崎村」しか上演されないと言って過言ではないのが、後に続く
油屋の段と蔵場の段が上演されると言うのを楽しみに伺いました。
簑助さんのおみつも可愛い女子の嫉妬心を素敵にしてましたし、お染も可愛いし、
何より今回は勘十郎さんが珍しく悪巧みする番頭役で、あれっと思いましたが、
始まってみれば首を振り、足を思いきりピョンピョンさせ、躍動感溢れる悪役を、
それはそれは楽しそうに、なさっていて結局場をさらっていきました。
「野崎村」のラストは歌舞伎と違って花道がないので、劇的ではなかったですが、
3場やることで全体の流れが見え、また登場人物が実に魅力的に活躍しているし、
お得意の「お家の重宝の紛失の名刀」も登場してのドラマ構造はなかなか。
最終的にはお染久松の心中(別々に自殺ですが)になりますが、近松ものほど
耽美的にならず、どちらかと言うと社会のシステムの不合理さがじわじわ伝わる
感じがしました。
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