「合柿」考
「ござる乃座」で萬斎さんがシテをなさった「合柿」、萬斎さんはプログラムで
以前はシテを悪者と思っていたが、品質が運悪く悪かった、と解釈されていると
書いていらっしゃいますが、見ていてもなかなか複雑な話だなぁと言う感じが
しました。
萬斎さんの解釈で行くと、本人の知らないうちに不良品を押し付けらたバイヤーが
いつも通りに売った客から散々クレームを受けて信用なくした、みたいな感じで
しょうか。
彼がそれまできちんとした商売をしていたのか、例えば同業者や柿の仕入れ先
とか仲買(があるとして)に不義理をしていて、そう言う仕返し?を受ける下地が
あったのか、若しくは本当に運悪く外れ商品を押し付けられたのか。
或いは柿販売は新参者で(説明が今ひとつとプログラムにあったので)なので、
まだ本人にちゃんとした商品の見極めができないのにつけ込まれたか。
いずれにしても、甘くない柿を甘いと売った男は、本人の意思に関係なく、
言い訳を聞いて貰えぬまま、客たちに「騙された」と怒られ、恐らくこれが1人
2人ならそうもないのでしょうが、ドドっとグループだったために益々嵩に
掛かって逆襲され、叩かれた挙句、柿の籠をひっくり返される(仮店をめちゃ
めちゃにされた象徴)と踏んだり蹴ったり。
騙そうとして騙したのが賢い客に見抜かれて逆襲された、と言うのなら、まだ
客の味方になって普段の狂言らしく笑い飛ばせますが、どうもこの曲は最後の
「かきづくし」の謠の寂しげな風情もあって、柿売りの男に同情したくなります。
状況は違いますが、ふと、ちょっと気が利かない対応をしたばかりに、いきなり
キレた客にボコボコにされる駅員を連想しました。
無論駅員は正論を言い、柿売りは客に迷惑をかけたのですからややずれてるとは
思いますが、ちょっと努力し、気を遣いあえば、互いに必要以上に不愉快さや
誤解を解く機会はあった筈。
世間の世知辛さというか、yesかnoかしか許容しない、また誤解したままで
敢えてわかり会おうとしないのが、逆に現代の風潮に近いのかとかもとか
と妙に現代風な不条理劇的な部分をも拝見した曲でした。
余り積極的にかかる曲でないのは、そんなやるせなさが理由かも。
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