「コラボレーション」を観る
紀伊国屋ホール
久しぶりの加藤健一事務所芝居。
うっかり本多劇場に行きそうになりました(笑)
実在の人物が登場する物語や芝居や映画、何か大好きです。
どうもこの春は先日の「わが友ヒットラー」からこれ、3月の三谷さんの「国民の
映画」(今、山手線渋谷駅品川方面ホームに巨大ポスター出現中)まで、ナチス
関係の芝居が重なっていて、いろいろ考えさせられ続けています。
今回のこの作品は「ばらの騎士」などで有名なリヒャルト・シュトラウスと、歴史
評伝で知られるシュテファン・ツヴァイクが主人公。
二人の交流と、ヒットラーの反ユダヤ主義と言う歴史が二人を別つ悲劇を描いた
物語。
ツヴァイクと言えば「マリー・アントワネット」の伝記(評伝)でしょう。
遠藤周作さんの小説も、また何より池田理代子さんの「ベルサイユのばら」も
彼による評伝が下敷きと言うのは有名な話で、私もツヴァイクと言う名前は
マリー・アントワネットとセットで覚えていました。
物語は二人の出会いから、歴史が二人を裂き、シュトラウスの戦後の述懐まで。
二人はオペラの台本作者と作曲家として意気投合するが、やがてヒットラーの
反ユダヤ主義が台頭、ユダヤ人であるツヴァイクの方がシュトラウスへの影響を
気にしてシュトラウスを避けようとするが、ドイツ人であり、純粋な芸術家である
シュトラウスは、ツヴァイクが感じる危機感を理解できず、またユダヤ人である
嫁を守るためにナチスの音楽局総裁に就く。
結局シュトラウスとツヴァイクによるオペラは初演以降上演禁止となったばかりか
ツヴァイクが恐れた通り、シュトラウスからツヴァイクあての手紙はナチスの検閲に
かかり、ナチス将校(加藤さんの息子さんの義宗さん)にシュトラウスは疑いを
かけられ、問い詰められる。
結局ツヴァイクはブラジルに亡命、やがて秘書と薬物自殺を遂げた事をシュト
ラウスは知らされる。
芸術を愛すると宣うヒットラーが(ヒットラーはワーグナー好きだったし、
「わが友~」では自分を「芸術家」と呼んでいた)ユダヤ人である、と言うその
一点だけでツヴァイクを始めとする多くの人々が才能を断たれたと思うと、
泣けて泣けて仕方なかったです
加藤さんのシュトラウスも勿論良かったけれども、福井さんのツヴァイクがとても
素晴らしかったです。
また塩田さん、加藤忍さん、加藤義宗さんのヒンケルも怖い美男子ぶりが
魅力的でした。
しかしヒンケルが語るヒットラーはどうしても生田くんのイメージだし、その
ヒンケルの衣装は当たり前ですが東山くんが演じたレームそっくりでした(笑)
流れたシュトラウスの曲も良かったし、シュトラウスとツヴァイクの家が客席に
対して斜めに、ずれて配置され、それが奥に手前に上手くずらして使っていた
セットも秀逸でした。
そもそもオペラに疎いので、シュトラウスとツヴァイクが組んで作品を作った事
自体知らなかったですし、また作者が名作「ドレッサー」や「戦場のピアニスト」の
ハーウッドで、プログラムによれば、彼がこの作品と一緒にフルトベングラーの
苦悩を描いた作品も書き、上演したとあって、これも見てみたい気がしました。
そう言えばセリフにシュトラウスがゲッベルスに命じられて当時ドイツと同盟
関係にあった日本のためにも曲を書いたとか。
シュトラウスと日本にそんな繋がりがあった事も実に不幸な背景を考えると複雑な
気分になりました。
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コメント
私もきのう見ました(ソワレを)。加藤健一事務所のお芝居って、気になりながらもなかなか行けないんですが、見逃さないでよかった。
なんだか様々、大人の芝居、という気がしました。台詞が伝わるのはもちろん、遠くから見ていても、全身が希望に溢れていたり悄然としていたり、その一瞬の姿に胸をつかれる、というか、台詞の余白にも味がある、みたいな・・・。
そして、加藤義宗くんを全く知らなかったので、びっくり~。健一さんの息子さんだったとは。加藤忍さんも、前に見たのは椿組の野外芝居ですから、おおっ、てなものでした。(あら、出演者の半分は加藤姓・笑)。
同じく、来月は「国民の映画」を見るんだ、と思い(私は「わが友ヒットラー」は未見)、「ヘッジ・パードン」のチラシを凝視したのでした。
投稿: きびだんご | 2011.02.27 10:20
きびだんごさま
やはり紀伊国屋ホールロビーでご覧になりましたか、「ベッジ~」チラシ。
私もほとんど挙動不審な人になってじ~~~っと前に
立ってました(笑)
しかしカトケンさんは本当にすごい
私が最初に見たのが「審判」ですが、あれ以前からずっと第一線。凄すぎる。
投稿: かのこ | 2011.02.28 06:13