「英国王のスピーチ」を見る
今年のアカデミー賞最優力候補作品の前評判高い作品ですが、個人的には
チラシをみかけた時から、長らくラブストーリーの、それもコメディ系映画最強の
相手役役者に甘んじてきたコリン・ファースさんが遂に遂に祝主役!祝一流
作品!と密かに公開の日を楽しみにしてきたので、公開早々伺いました
いや実を言えば、アカデミー賞は日本時間の明日午前から授賞式。
この映画が作品賞、悪くも主演男優賞など賞を一つでも取ろうものなら、午後
から「賞取った映画なら見よう」と客が押し寄せるかも、見るなら発表前に、と
言う算段もあり。
しかし映画館は既に前評判人気で、初回開場前に満席、初回終わって出て
きたら、2回目も満席の盛況でした
しかし泣きました。
連日の涙腺が緩んで大変です。
タイトルにある「スピーチ」シーンがクライマックスなのですが、その、つまりは
全く動きがなく、マイクを挟んで立つジョージ6世(コリン・ファース)と
ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のアップと、ところどころに挟まれる、その
ラジオ放送に聞き入る国民たちの姿が写されるだけなのに、そこに至るまでの
王の苦労と努力が報われて徐々にスムーズになっていく様子が伝わるし、また
なまじ流暢でない分、逆に気持がこもり、威厳と格調のあるスピーチになって
いくところが感動的でした。
更にスピーチ前にはまだおどおど自信なさげだった王がスピーチが終わり、
放送ブースから出てきた時には歩き方一つにも、表情にも余裕と自信が
感じられて、スピーチを通じて「真の王」になったのが伝わってきました。
またライオネルが受ける役者のオーディションに使われたのは「リチャード
三世」の冒頭(だからラッシュは手を屈曲させてしゃべっていました)、王が
録音させられた朗読は「ハムレット」の第四独白、またライオネルの家で
「シェイク」と呼ばれていた遊びはなんとシェイクスピアのセリフ当てと
(「マクベス?」と聞くと「(「テンペスト」」のキャリバン)」と答えたりと、英国
映画らしく、シェイクスピアがあちこちに散りばめられていたのも面白かったです。
(しかし何て知的なゲーム!)
そしてここにもまたまたヒットラー。
ジョージ六世はまさに大陸にヒットラーと言う怪物が出現した時期であり、映画
内でも、王の戴冠式のニュース映画の後に流れていたのがヒットラーのアジ演説。
それは時代背景でもあり、方や演説の天才、方や吃音で悩む王と言う対比で、
王が「演説が上手い」と呟いたセリフが印象的でした。
(それにしても「わが友ヒットラー」「コラボレーション」そしてこれも、全くこのところ
ヒットラー絡みの物語によく接します)
音楽もモーツァルトなどクラシックがふんだんに使われていて、中でもスピーチ
シーンに使われたベートーベンの7番(第二楽章)は感動に更に余韻を加えて
いました。(なんでイギリスの音楽家の曲を使わなかったのか、という気は
ちょっとしましたが)
しかし数年前の「クイーン」とか「ヴィクトリア女王」、「エリザベス(1世)」
「ブーリン家の姉妹」と英国王室は実に良く映画の題材になっています。
古い方はともかく、「クイーン」は現女王の話だし、この映画の主人公は現女王の
父君の話。そのあたりの距離感が日本とはちょっと違う気がしました。
多分アカデミー賞を取るとは思いますが、そうでなくても私の中で今年5本の指
には間違いなく入る映画になりそうです
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