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2011.05.07

「よこはま万作萬斎狂言の会」を観る

横浜能楽堂。
今日は万作家の舞台で初めて本公演「デビュー」の演者さんがお二人。
お二人とも国立能楽堂の養成所の8期生だそうで、深田さん、高野さんの
「後輩」になりますね。
また昨年末に亡くなられた万之介さんについて、万作さんがしみじみ語られた
「万作芸話」、そして冒頭の萬斎さんの解説後、なかなか一曲目の「粟田口」が
始まらないと思ったら、萬斎さんが切戸口から再び登場されて「ハプニングが
ありまして、大名の烏帽子を忘れたそうで、もうちょっと前に気がつけばなん
とか成るのですが、こうなっては仕方ありませんので、父の大名の烏帽子をなし
で致しますのでご了承下さい」と言って再度引っ込まれると言う、ごく珍しい事も
起きた、色々な意味で印象深い公演となりました。

まずは萬斎さんの解説。
「粟田口」はともかく、「花折」については、主にその新メンバーのご紹介で
立衆頭を初役で遼太くんが勤められるなどあり「平均年齢30歳前後の若い立衆で、
色々色々気になって仕方ない」とおっしゃってました。

で、上記のお詫びに再度登場されて「粟田口」
確かに万作さんの大名は烏帽子なしでしたが、素人にはそう言われなくては判り
ません。
「後輩」の前で高野「先輩」が身体を張ったすっぱを披露されてました。

休憩を挟んで、「よこはま」恒例の万作さんの「芸話」
まずは東北との関わり、今回の烏帽子忘れについての「分析」、そしてこれまでの
印象的な?忘れ物として、中尊寺で「舟渡聟」をやるのに、駅に着いた頃に肝心の
髭を忘れたのに気づいて、地元の美容院から練習用のウィッグを借りたか買い
受けたかして細工して使ったとか、パリ公演では脚絆を忘れて、地元で布を購入
して、公演団長の喜多実師に同行されていた実師の奥様が裁縫された、とか、
なかなか普段聞くことのない「失敗談」をお聞きしました。
そしてメインは万之介さんのお話し。
万之介さんはアメリカに狂言を教えに行った学生時代に本格的に狂言役者として
やって行こうとお決めになったとかで、特に晩年の、洒脱な万蔵師の芸風を受け
継がれたそうで「萩大名」や「謀生の種」のシテ、また「悪太郎」の伯父などが
際立っていたと万作さんからは見えたそうです。
先般の「狂言座」に寄せられた文章で、みなもとじろう氏(演劇評論家)に
「墨塗」(万作さんはお好きでない曲らしい)が絶賛されていた話もされて
いました。
基本があり、その上に自由さや洒脱さがある、と言うのが芯のお話でした。

最後が「花折」young ver.。
確かにお二人、見慣れぬ演者さんがいらっしゃり、紹介されていた、養成所生と
お見受けしましたが、お二人とも声がとても良く、舞もしっかりされていて、
遼太立衆頭の元、若い兄ちゃんたちが、公園の花見がダメなら、外から飲みだけ
やるか〜に、立入禁止と言っていた、やや年上の公園の担当者が、「ま、いっか〜」
と押しきられたみたいな(喩えが砕けすぎか)勢いが前面に出たなかなか爽快な
「花折」で、確かに萬斎さんが「ちょっとベテラン」に見えました。

そう言えば、万之介さんをこの曲の住持役でも何度か拝見しましたっけ。
改めてご冥福をお祈りします。

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コメント

私も、「よこはま万作萬斎狂言の会」行ってきました。まさかの烏帽子忘れハプニングにはびっくりな上に、お詫びに再び登場する萬斎さんとなかなか出くわさない状況にある意味貴重な体験をしたなと思います。「花折」は萬斎さんの解説がストーリーではなく、演者の話メインだったので、きっとデビューする2人はいるし立衆頭・初の遼太君もいるし、心中はしっかりとやりきれるのかどうか心配だったんでしょうが。デビューした2人の方は声も謡も舞もしっかりこなしていて、これからどんな狂言師になっていくのか大変楽しみです。また、万作さんのお話を聞いていたら、万之介さんの狂言を色々思い出してしまいました。お話を聞いていくうちに、やっぱりもう二度と万之介さんの狂言が見れないことがさびしいな~と思うと同時に、あの万之介さんの洒脱な演技をぜひ継承していって欲しいな~と思いました。

投稿: 華菜 | 2011.05.07 23:34

華菜さま
本当に、万之介さんの芸風は万作家ではちょっと雰囲気違っていて、これからはあのふうわりとした空気を味わえないというのがとても残念ですね。
しかし、言われなければ烏帽子ないことなんて素人の私には判らなかったと思いますが。

投稿: かのこ | 2011.05.08 11:08

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