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2011.06.29

映画「テンペスト」を見る

シェイクスピア、と言われると見ずにはいられません。
しかも主演は「女王女優」ヘレン・ミレンさん。
演じるのは、本来は男性である「テンペスト」のプロスペローを女性に書き換えた
プロスペラ。

映画館はシェイクスピアだからか、やたらと年齢層が高い。
男性を女性に書き換えた事がどれだけ効果を発揮したのかは良く判りませんが(苦笑)

何しろ監督が強烈(やりすぎだけど)な視覚効果で殆どのけぞった「タイタス
(・アンドロニカス)」を撮ったジェーン・テイモア監督ですから、今回も強烈。

ホラー映画かと思わせるオドロ系演出、エアリアルの描写(全身白塗りは
日本の大駱駝艦風)には視覚効果を使いまくり、エアリアルの見せる幻想は
まるで「陰陽師」(笑)
貴族の服装はクラシックな長袖詰襟なのに下っ端賄い方の服は何故か50年代
ヒッピー(死語?)風に音楽はロックと言うアンバランス。
舞台となる「絶海の孤島」は赤土むき出しでやたらと暑そうと、実に自由奔放。
まるで「ハリーポッター」「ロードオブザリング」や「ライラの冒険」などの
ファンタジー映画のようで、逆にこれが舞台向けに書かれた戯曲だとはとても
思えず、「芝居だったらどうやって登場させてるんだっけ?」と何度も思った程。

ただ、描写がぶっ飛んでいてもセリフはガチガチのシェイクスピア(字幕監修は
松岡和子さん。パンフレットにはお約束のように河合祥一郎先生が寄稿)のため
あちこちで映像はスピーディー、セリフはダラリダラリとバランスが妙な事に
なっていて、ちょっとだらけたかも。

また、エアリアルとキャリバンのインパクトが余りに強くて、肝心の人間たちの
ドラマが希薄になった気がしました。
アクセントにしてはキャリバン喋り過ぎだし、どうもこう「被征服民族」を侮蔑
したようなセリフが目立つのも、「ヴェニス」同様余り感じの良いものではない
ですね。
キャリバンが被支配層から脱しようとしないのも今の感覚だとちょっと馴染め
ないし。

それと日本人の感覚によるためと思いますが、ミランダが余り美人じゃないのが
ね〜(笑)
日本人なら「絶海の孤島の美少女」と言われたら、もう少し楚々とした可憐な
女優さんをキャスティングしそうですが、どうも見る限り、美女を見慣れたファー
ディナンドが、いくら島に一人ったって、魔法かかってても、一目惚れするには
もうちょっと美人じゃないとなあ。
ディズニーのアニメ「美女と野獣」の時も思ったのですが、彼我ではちょっと
物差しが違う気がしました。

とにかくエアリアルが自由自在なのと、嵐や森のリアルさは映画ならではですが
もう一息時代らしさ、古風さがあった方が違和感はなかったかも。
見ませんがオペラでは歌やセリフはそのままで、設定や衣装は超現代、と言う
演出がしばしばあり、そのアイデアが演出の腕の見せどころだとも聞くのでこれ
くらいの事であれこれ言うのは了見が狭いのか・・・・

ミレンさんが支配者らしいエゴあり、子への愛情ありの複雑なプロスペラを
キリッと演じてカッコ良かっただけに、もう少し全体に統一感があったらな〜と
感じた2時間でした。

とにかくキャリバンがリアル過ぎて喉元にひっかかる感じがするのが最大の
問題でしたかねえ・・・

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