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2011.08.15

「第17回能楽座自主公演〜茂山千之丞追善/東日本大震災復興祈念」を観る

萬斎さんが「明治のイングランド」から本業に「復帰」されて初のお舞台。
本当に久しぶりに能楽堂で能/狂言を拝見。

能楽座と言うのは、流派東西を問わない能楽師の団体?のようですが、公演を
拝見したのは初めてでしたが、本当に豪華な顔ぶれでした。

最初の能「景清」は間に合わず、次の狂言から拝見。
茂山家の「悪坊」
千五郎さんをシテ(悪坊)、あきらさん(千之丞師長男)が旅の僧、千三郎さんが
宿屋。
話は「悪太郎」に似ていましたが、伯父ではなく、謂わば旅先で絡まれた旅の僧が
寝ている間に自分の装束と悪坊の衣装を取り替える。
千之丞さんの、いや悪坊の酔っ払いっぷりが堂に入っていたのと(同じことを
何度も聞くのは酔っ払いの常)、あきらさんのビビりっぷりがかなり笑えました。
僧が脇差しの代わりに置いていったYの字の上の部分がUの字になった道具は
「禅僧が座禅の時に首置きに使う『じょろう』(女郎?)と言う道具」と言って
いましたが万作家の曲では見たことがありませんでしたし、最後の千五郎さんの
手つきは何かの意味があるのかちょっと判りませんでしたが、万作家の狂言を
見慣れるとどうも自由過ぎに見える茂山家の狂言ですが、今回は比較的きっちり
している気がしました。

万作さんは萬斎さんらを地謡に唐傘を使って小舞「祐善」を、萬さんは「名取川」の
独吟をされました。

休憩を挟んで能「羅生門」
有名な渡辺綱と羅生門の鬼の話なのでとても判りやすかったですが、何と言っても
出演者が凄い。
羅生門の鬼を玄祥さん、対する綱を閑さん(この曲、ワキが大活躍なんですねぇ)、
頼光をご子息・欣哉さん(お互いワキ同士ですから余り同じ舞台で拝見する事が
なかったので更に感激)、単なる立衆で殿田さんと森さんがご出演と言うのも
豪華。

囃子方もベテランが揃い、地謡も中堅どころがズラリ。
(しかし、小鼓方の方、手がとても震えていて、音は良かったですがやはり
かなり弱く、若手の方がされていた大鼓にかき消されている部分があって残念)

しかし余りにもオールスターキャスト過ぎか、冒頭の全員揃っての謡が、皆さん
マイペース過ぎなのか、それぞれのお声がそれぞれに聞こえてきてちょっと苦笑。
頼光と綱、保昌のやりとりが配布の詞章とかなり順序が入れ替わっていたりしま
したが、シテ方の流儀によって差異があるもののようです。

綱が「じゃあ羅生門に木札を奉納してくる」と去る(中入りする)と、頼光、保昌、
立衆も幕に入り、替わってアイ登場。
今回は萬斎さんと高野さん(渡辺綱の下人役)で、二人で「どうやらご主人は
羅生門に行くらしい、我々もお供をせずばなるまい」と片方(萬斎さん)が言うと
もう一方(高野さん)は「急に腹痛」と逃げ出し、結局「ご主人にはお一人で
行って頂きましょう」と逃げ出す。
お髭のない、狂言装束の萬斎さん、お久しぶりでした
(黄緑に波頭柄の肩衣、茶の小格子、灰色の網代に丸紋入り狂言袴に脚絆に杖)

アイが去ると一畳台、布を巡らせた屋根付きの作り物(板屋とか言うのかな?)が
出て据えられ、鬼対応装束のワキ登場。
黒い毛に角?と思ったら兜の象徴なんですね、金と黒の市松の大口にオリーブ系の
法被と言う勇ましいお姿。
門に札を納めると、能には珍しく、肘先まで見える茶色のリアル手(笑)がヌッと
出て、ワキの兜をむしり取る。
ここからワキvs.シテのガチンコバトル。
能なので流石に腕は落ちませんでしたが、なかなかの迫力で、シテが鉄杖をぶち
まけたら、舞台に止まらずに滑って、脇正面前の白洲にストンと落ちました。

時間にして50分ほど、ストーリーは分りやすい現在能だったので、素人にも楽しめ
ました。

それにしても配られたリーフレットの表紙に会場が「国立能楽堂」と印刷されて
いて、上から「宝生能楽堂」とスタンプで(下の字を隠さずに)押していたのは
ちょっとスタッフ失敗でしたね…。
細かい人名とかはしっかりチェックしても得てしてこういう箇所を見逃しがち、
と言うのは、制作の仕事もやる身には「ありがち」と同情はしますが、せめて
シールに印字して貼るとかして下の字は隠したかったですね…惜しい。

とは言え、久しぶりの能狂言、堪能させていただきました

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