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2011.09.25

「ござるの座45th」を観る

国立能楽堂

3月のチケットが本当にそのまま使えるのかちょっと心配しながら能楽堂へ。
(もちろん大丈夫だったんですが)

約1年ぶりの「ござる」、そう、去年のパンフレットには、「ファウスト」で共演された
ばかりだった勝村さんが「タンゴ」をネタに爆笑エッセイを寄せられていたのを
思い出しました。
(今回は先日KAATで「朝鮮人参稲妻」松羽目作られた杉本博司さんでした)

また前回の写真を見ると、「のぼうさま」映画撮影のために長髪の萬斎さんに
「盆山」でカツカツと笑っていらっしゃる万之介さんが。
1年って早いけど色々変わりますね。

今回は「僧」がテーマ。

まずは後ろの地謡に若手をズラリと並べての万作さんの小舞「通円」
これ、ただ地謡を聞いても笑えますが、元ネタの能「頼政」の対応部分と比べると
更に笑えます。
手元に金剛流のですが詞章があるので、参考にちょっと引いておきます。

シテ「宇治川の先陣我なりと、名のりもあへず三百余騎」
地謡「くつばみを揃へ河水に、少しもためらはず、群れいる群鳥の翼を、並ぶる
   羽音もかくやと白波に、ざつざつとうち入れて、浮きぬ沈みぬ渡しけり」
シテ「忠綱、兵を下知していはく」
地謡「水の逆巻く所をば、岩ありと知るべし、弱き馬をば下手に立てて、強きに
   水を防がせよ、流れん武者には弓筈を取らせ、互いに力を合はすべしと、
   ただ一人の下知によって、さばかりの大河なれども、一騎も残らずこなたの
   岸に、喚(おめ)ひて上がれば味方の勢は、我ながら踏みもためず、半町
   ばかり覚えず退って、切先を揃へて、ここを最期と戦うたり」
地謡「さる程に入れ乱れ、我も我もと戦へば」
シテ「頼政が頼みつる」
地謡「兄弟の者も討たれければ」
シテ「今は何をか期すべきと」
地謡「ただ一筋に老武者の」
シテ「これまでと思ひて」
地謡「これまでと思ひて、平等院の庭の面、これなる芝の上に、扇をうち敷き、
   鎧脱ぎ捨て座を組みて、刀を抜きながら、さすが名を得しその身とて」
シテ「埋もれ木の、花咲く事もなかりしに、身のなる果ては、あはれなりけり」
地謡「跡弔い給へおん僧よ、かりそめながらこれとても、他生の種の縁に今、
   扇を芝の草の蔭に、帰るとて失せにけり、立ち帰るとて失せにけり」

いや〜比べてみると本当に良くできているのが解ります。
万作さんは抹茶色の羽織、袴、中は紺の紋付きで、柄杓と茶碗を持って、まさに
写実の素晴らしさと語りの明晰さを実感しました。

続いて「薩摩守」
これまでに余り拝見した記憶なし。
世間知らずの僧を遼太くん、船頭を萬斎さん、僧に知恵を授ける茶屋を石田さん。

要はお金を持ってないので船の渡し賃を払いませんよ、と船頭に言う言い訳
「薩摩守だから」→忠度(ただのり)→ただ乗り、と言う洒落で洒落好きの船頭を
言いくるめなさいよ、と親切に茶屋が教えてくれたのに、落語で言うところの
肝心のサゲを忘れてしまったというオチ。
「岡太夫」とかだと最後の最後に思い出すんですが、これ最後まで思い出せない
ところがキモ。
ま、遼太くん僧が思い出せないままなのを残念そうでもなく割とほったらかしにして
終わってしまったので、観客も置いてけぼりを食った感じはしましたが。

それにしても遼太くん、顔が小さ過ぎるのか、被る笠の顎紐が凄いボリュームに
なっていてちょっと笑えました。
でも姿かたちも含めて、もうすっかり一人前の狂言師ですね

続いて石田さんの施主を相手に裕基くんの「魚説法」。
先日の「船ふな」同様、口先三寸で大人を言い負かす、小賢しい(誉め言葉)
少年をそれはそれはしっかり演じていました。

休憩を挟んで、萬斎さんが大好き「小傘」
今回は立衆がたくさんで賑やかな舞台でしたが(勿論尼は石田さん)、まあ萬斎
さん俄坊主と高野さんの新発意との組み合わせ、顔を向けるタイミング、くるっと
回るタイミングが見事にシンクロ。
共に溢れる「ニセモノ」感で「なぁもうだぁ〜」とやるだけで笑いが込み上げて
来ました

今回は萬斎さんの表情をかなりしっかり拝見できる席だったので、より一層楽し
ませて頂きました。

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