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2011.12.11

「解体新書その拾九」を観る

またまた野田学先生を発見(笑)、そしてお久しぶり、「国盗人」初演のクラレンス
公兄・今井朋彦さんも。
やはり俳優さんには「語り」は興味あるジャンルなのでしょうか。
リーフレットには平家(平曲)「与一」と狂言「那須与市語」の詞章がびっしりと。

今回のゲストに今井検校をお呼びしている芸術監督ドノの意図の中には、「語り」と
言う俳優に必須のエッセンスを体現されている方であると言うのは勿論ですが、
来年6月に同劇場で芸術監督ドノ主演で上演される井上ひさし作品が「藪原検校」で
ある事と当然無関係であろうはずもなく、「その話」がどこで出るかと思って
いたら、いきなりレクチャー冒頭にゲストの薦田先生が気を利かせて話題を振って
下さってました

直前までの「狂言劇場」の舞台装置のままのため、いつものように後ろの機材が
見える事もなく、また舞台はいつもはリングのように照明装置で囲ってありますが
今回は照明で四角い枠を明るく照らしていました。
舞台上には、恐らく検校の演奏時に使うと思われる赤い毛擅で包まれた一畳台の
一回り小さい台が予め置かれていました、

萬斎さんは黒紋付きに袴姿。

今回は通常の「だらだら(失礼)鼎(対)談」→「パフォーマンス」と言うやり方
ではなく、ちゃんとした?流れで進行しました。

★〜19:35分
音大の薦田先生による「平家」についての基礎知識レクチャー
「平家」の歴史、琵琶の種類などの基本的知識。
生徒代表・野村萬斎くんの質問コーナー付き(笑)

セットの関係で椅子がなく、二人は立ったまま。
薦田先生は、琵琶法師が語る物を「平家」と呼称されたいらしいのですが、家系と
しての平家一族についても、また文字化された読み物も「平家」と言われるので
区別がつかなくてお困りのご様子でした
また、平家は文学ではなく音楽であるとも。
私は琵琶法師は琵琶のみ演奏されるのだと思っていましたが、彼らは琵琶は勿論、
笛も吹けば歌も歌うのだそうで、時代が下ると、三味線や琴、日本風の胡弓も
演奏したと言うのも驚きでした。

★〜20:15
金屏風が後ろに置かれ、狂言劇場で使っていた「吊り注連縄」がスルスルと下りて
きて、いよいよ今井検校による平家「那須与一」。
生まれて初めて琵琶による平曲を生で聞かせて頂きましたが、びっくりの連続。
琵琶はそんなにじゃんじゃんかき鳴らさず、また語りは登場人物による声色の
使い分けはなく、盛り上がるところは長く、声も高くなっていました。
リーフレットの文字を追いながら聞きましたが、一行に数分かかる箇所があれば
抑揚なくサクサク行くところありと変幻自在、予測不可能、緊張感溢れる舞台
でした

★20:15〜30 休憩 セット転換
赤い台はハケて屏風が大型の六曲一双(多分)ものに。

★20:30〜45 萬斎さんによる「奈須与市語」

細かい菱模様?の浅黄っぽい色目の長裃に腹開きに茶っぽい色を使った、渋い
藍色の熨斗目に装束を改めた萬斎さんによる語りアイ「奈須与市語」

「奈須〜」何回か拝見いますが、今回非常に劇的かつ判りやすく感じたのは、
前の平家が実に静かに哲学的とも言えるスピードと雰囲気だったからか、萬斎
さんが敢えてそうされたのか判りませんが、少なくとも数日前に「狂言劇場」で
拝見した万作さんのとは明らかに違う印象でした。
特に今回たまたま、膝でががっと進む目線の先の席に座っていたので、その
迫力に圧倒されました。

★20:50〜21:45
椅子が3脚出て、やっと?通常の「解体」スタイルに。
背広姿に着替えた今井検校、薦田先生、また大急ぎで再度黒紋付きに着替えた
萬斎さんによる鼎談、と言うより、萬斎さんの「平家」感想と、検校への質問
コーナー(笑)

検校は伝統芸能ならではの質問の範疇を軽く越えてくる萬斎さんの質問に戸惑
われつつ、時に一言ビシッと、時に思わぬユーモアを交えてお答え下さっていま
した。

今回初めて知った事が非常にたくさんありましたが、中でも私はてっきり平家、
と言うものは例えば清盛パパの「殿上闇討」から「大原御幸」まで平家の盛衰
全部が残っているものと、つまり今「平家物語」として知られているものは平曲を
元にし、全部が語られ手居るのだと思っていましたが、現在最高位の検校である
今井検校が7曲伝承されているのみと言うのには驚きました。
全曲語っていらした方は明治の初めに亡くなられているのだそうです。

また、平家の学習法は、まず文章を覚え、次に節を覚え、最後に琵琶を習うとか、
録音機器の功罪、平家に限らず能などスピード時代に逆行するように、昔の方が
速いスピードだったらしい、とか、「三重」と言う一番の聞かせどころについて裏声を
出さずに高音域を発声するのが検校の矜侍であるとか、また伝統芸能共通の
後継者問題など様々な話題が出ました。
時に薦田先生が絶妙な補足解説や萬斎さんの質問の意図を噛み砕いて検校に
お伝え下さるなど、絶妙のサポートをして下さり、解りづらい「平家」の世界が
非常に判りやすく伝わってきました。

客席からの質問コーナーで(以前心理学の先生ゲストの時かにもありましたが)
質問ではなく、自説を演説してしかも勝手に怒りだして出演者を困惑、客席を
白けさせたオジサマがいらしたのが今ひとつでしだが全般的には非常に興味深い
内容でした。、

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