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2011.12.24

今年の「萬斎さん納め」は

今年の「萬斎さん納め」は名古屋野村家の小三郎さんの又三郎襲名披露と銘打った
「やるまい会東京公演」。
襲名披露公演と言う事で、公演内容が非常に豪華で充実していたため、上演時間が
秋の万作さん傘寿記念公演を凌ぐ、4時間!

萬斎さんは「翁」の特別演出「鳳凰風流」の「鳳凰」と、万作さん、裕基くんと
三代での「蝸牛」の主の役。
「鳳凰」なんて見たことがないので、どうなるか全く予測がつきませんでした。

思えば今年は万作さんの傘寿記念公演でも「翁〜火打石風流」を拝見しましたし、
(三番叟が萬斎さん、火打石が万作さん)、神奈川芸術劇場での「三番叟」でも
「子宝」と言う小書きがあったりで、偶然ですが随分色々なバリエーションの
「翁〜三番叟」を拝見した事になりました。

まずその「翁」

翁の大夫は観世宗家・清和師、千歳は清和師のご子息・三郎太くん。
確か三郎太くんは万作さんの傘寿記念公演でも千歳で出演され(翁も清和師)、
面箱被キだった裕基くんと良いバランスでした。(同い年くらいかな)
三番叟の又三郎さんは深緑に松と鶴柄の装束。
万作さんが狂言後見に、また地謡に四郎さん、昌司さんがいらっしゃって、萬斎
さんを含めて親戚4人が勢ぞろいされてました。
そう言えば本舞台に人が多すぎる(笑)のか、三番叟の装束直しが橋掛にはみ出す
のを初めて見たかも。

今回面箱は同じく被キと言う新・又三郎師の長男で今年10歳の信朗くん。
信朗くんは半年前に名古屋での襲名公演でも面箱を演じていらっしゃったよう
ですが、小柄な手でゴツい面箱を捧げ持っている、その左手がやや下がっていて、
見ている方がちょっとヒヤヒヤしてました。

翁は普通通りでしたが、さて三番叟出るあたり、大鼓の初動でいきなり広忠さんが
膝でやや出、左から右に身体の向きを変えながら何度か打ち、また膝で下がり
ながら定位置に着く不思議な型をされました。
どうやらこれが大鼓の「打掛」の小書き。
元は秀吉の前で「翁」を演じた時に、大鼓方が遅刻して、決死の思いで大鼓を
打ちながら入ってきて「我が家の流儀」と言いはったったのが伝わったのだとか。
三番叟は橋掛での舞い有り、烏跳びが二回あり(付の舞)、かなり長い揉の段の
後、面箱との会話に「田歌節」が加わり、 鈴を渡すと面箱幕より退場。

ここでいよいよ、萬斎さんの「鳳凰」登場。
朱に藤の花?の摺箔の着付けの上に朱の長絹、黒っぽい女面(そこが狂言!)を
かけ、鳳凰の天冠にはお約束、瓔珞が何本も下がり、とにかく「超派手」な女子
っぷり(笑) ちゃんと何となく小柄に見えるから、これも凄い。

鳳凰はめでたい三番叟を見に降りてきたと語って、葛桶を置いて笛柱前あたりに
直られる。
更に今度は福の神のような扮装で周の始祖(だったか)后稷と呉の●(どうしても
漢字が変換できない。以下同)子までやってきて、2人?も鈴を手にし、なんと
三番叟を含めて3人で鈴の段を踏むと言う凄い事に。
だからなのか、名古屋野村家がそうなのかわかりませんが、鈴の段、万作家に
比べるとかなりスローテンポでした。
その間、萬斎さん鳳凰ピクリともせず!ご見物。

その後、三番叟、后稷、●子と鳳凰4人?揃っての舞いがあり、鳳凰が入り、后稷、
●子、最後に三番叟が入って漸く大長編(笑)90分の「翁〜三番叟」が終了しました。

流石に疲れたので、次の一調、狂言 仕舞はパスして外にランチへ。

1時間程休憩して、プログラム上では2度目の休憩の後の「蝸牛」に。
これが、万作さん、萬斎さん、裕基くんの親子孫三代共演の豪華版。
萬斎さんは珍しく主(あるじ)で、白/灰/金茶の段熨斗目に、黄緑の長裃。

前半ちゃちゃっと登場して笛柱前あたりに直るあたりまでは穏やかな顔つきで
いらしたのが、裕基くんの(どうやら風邪気味)太郎冠者が気になるのか、かなり
ヘビーな山伏役の万作さんが気がかりなのか、後見でもないのに、どんどん
表情が厳しくなっていったのにはちょっと苦笑。

しかし孫とおじいちゃまの「でんでんむしむし〜」のリズムの見事なシンクロ具合、
また、名古屋野村家公演を見慣れた方には、非常にシャキッと背筋の伸びた
裕基くんの動きが新鮮かつ驚きだったのか、万作家公演でもないくらいの大きな
拍手が沸きました。
そう言えば裕基くん、かなりバッサリ髪の毛切って(刈ってと言うくらい)ました。

公演最後は又三郎さんシテの「木六駄」
襲名披露公演の特別かも知れませんが、主がまだ子方の信朗くんだったのには
びっくり。
また、万作家では歳暮に奥丹波の叔父方へと言いますが、今回は「久しく便りが
ないのでお見舞いに」行く設定でした。
あとは大きく違いはなかったですが、又三郎さんの酔いっぷりの見事さは素晴らし
かったです。

そんな訳で今年も色々萬斎さん舞台拝見しましたが、見納めも、とても珍しい
ものを拝見でしたし、素晴らしかったです。

唯一惜しむとすれば、襲名披露公演と言う事で、普段余り狂言とかご覧になら
ないお知り合い(お付き合い)筋も結構いらしたのか、「翁」終わるや否やの
爆竹拍手、携帯バイブ鳴っても止めずに放置、演者出てきてから更なるの携帯
いじり、特に「翁」上演中の私語もあって、マナーはかなりひどかった事。

演者さんが素晴らしかっただけに本当に残念でした。

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コメント

かのこ様
寒くなりましたがお身体はいかがですか?
風邪等ひかないようにお気をつけくださいね。

それにしてもマナーが悪いですね。
演者さんには聞こえてないと思っているのでしょうか?
そうだとしたら大間違いですね。
以前、萬斎さんがバイブの音も聞こえていると言っていました。
携帯は電源を切るべきだと思います。
しかし早いもので確か明日ですよね万之介さんの一周忌はもっと万之介さんの舞台を見たかったなあと思っています。
来年の福岡公演は三番叟です。
楽しみです。

投稿: chiko | 2011.12.25 00:07

chikoさま
そうですねえ。万之介さん年末に亡くなられたのでしたね。正月の公演ではお亡くなりになった事実は伏せて「都合により代役」を何回か立ててから、確か松も明けてから発表になって、今年最初の「狂言座」の宝生のロビーに写真が飾られていたのを思い出しました。

福岡での「三番叟」。期待ですね!!ぜひ感想などお聞かせください。

投稿: かのこ | 2011.12.25 07:46

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