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2012.01.28

「新春名作狂言の会」を観る

新宿文化センター恒例の茂山家と万作家の1月開催合同公演。
舞台には注連縄。
まずはこれも恒例の両家ツイントーク。
万作家はいつも通り萬斎さん、茂山家は例年千三郎さん(一度事情で茂さんだった
か)でしたが、今回は逸平さん。
まず逸平さんが登場、西と東の違い、人間性の違いを(笑)味わってくださいと
早速場を笑わせる。
何でも、西はバッパラパーで東はちゃらんぽらん、ほら実際萬斎さんがまだ来て
ない、ウソです(笑)と、もう明らかにテンションは漫才。更に二人で喋ったあと
引っ込んで装束を付ける間、萬斎さんが一人で場を繋いでくださる贅沢(笑)と
もう笑いも喋りも止まりません。
まず茂山家の「千鳥」の解説をさらっとして「ではHONDAでおなじみの萬斎さん」と
呼び入れ。

萬斎さん「HONDAのFitです」と受けておられましたね。
そして茂山家の「千鳥」は酒屋と太郎冠者が仲良し、25分くらいで良くかかる曲、
ちなみに明日も明後日も「千鳥」なさるとか。
ただし、太郎冠者が語っている「津島祭」には太郎冠者が見せたような山鉾巡行は
ないので、こればかりは流派に伝わるうちに誰かがうっかり付け加えたのかも
とか。
一方萬斎さんによれば、万作家の「千鳥」は35分くらいの大曲で、酒屋はずっと
意地悪だし、謡いながらの動きが多いので、演じるにも手強い曲なのだそう。
2月にどこかで(越谷です)「千鳥」をやるので、良かったらそちらも見て下さ
いとしっかり宣伝。
これで申込み急増かも。
しかし一番笑ったのは、逸平さんのお子さんが、流派の「千鳥」を習う前に
萬斎さんの出演する「にほんごであそぼ」の、萬斎さんが万作家の流儀でなさった
「千鳥」の「♪チリチリやチリチリ〜」を耳から覚えてしまった事だとか。
逸平パパがお子さんが微妙に違う謡いをしていたのを聞いて驚いて理由を聞いたら
「にほんご〜」が原因だったのだとか。萬斎さん「それは困りますね」と苦笑

そしてこれも恒例、二人でそれぞれの流儀で同じ小舞を同時に舞うコーナー。
今回は「チリチリや〜」に因んで「宇治の晒」
謡は同じでしたが、あるところでは萬斎さんが逸平さんを待ち、違うところでは
逸平さんが萬斎さんを待ったりと、緩急が随分違いました。
逸平さんは、茂山家の小舞は必ず座って、扇を広げるところから始まるので、
万作家の小舞が、立ったまま始まったのに一番驚いていらっしゃいました。
ここまでで逸平さんはトトトっと上手に入り、萬斎さんが「鬼瓦」「弓矢太郎」
をさらっと解説。
主に「弓矢太郎」の途中に出てくる「殺生石」と玉藻前のエピソードの説明でし
たが、狐の執心が強くて石で人が死ぬのを「単に那須温泉の亜硫酸ガスのせい」と
おっしゃり、陰陽師の名前をわざわざ「安倍泰成です、清明ではありません」と
言っていらしたのが可笑しかったです。

いよいよ演目
まず「千鳥」
太郎冠者は千五郎さん、逸平さんが主で正邦さんが酒屋。
萬斎さんの説明を聞くまでもなく、以前に茂山家の「千鳥」を見た時に「これは
絶対和泉流より面白い」と思ってましたが、やはり抜群。
特に千五郎さんは表情が豊かで素晴らしい。

しかし更に爆笑してしまったのが、次の万作さん大名の「鬼瓦」
この曲、以前見たときに正直中途半端と言うか「で?」なイメージだったのですが
万作さん大名の「どこやらで見たような」が、もうツボ入りまくりで、萬斎さんが
説明時に「若い者がやってもちっとも面白くない」とおっしゃっていたのが納得
できました。
そして最後が必ず萬斎さんがシテでかかる「弓矢太郎」
萬斎さんが「狂言には珍しい二部構成。全員一旦幕に入りますが終わったのでは
ないです。後見を置いておきます」とおっしゃってましたが、確かに歌舞伎風に
書けば前半は「石田内天神講の場」、後半は「天神森の場」。
可笑しいのは、怖がりを防衛するために強がり扮装をするのがデフォルトで、鬼の
扮装をしてきた太郎と、その太郎を怖がらせる為に鬼の扮装をしてきた当屋が
鉢合わせして両方びっくりして失神しますが、太郎の方が先に状況を把握して
最後に当屋と当屋サポートにやって来た講中メンバー皆を脅かしてリベンジに
成功する、鮮やかな逆転構造。
太郎は鬼が出ると聞かされて行って出た訳ですからまあ想定通りですが、当屋は
自分以外には鬼は出ない設定で行って、想定外に鬼が出たので余計びっくりした
気がします。

久しぶりに拝見しましたが、萬斎さんのおっしゃる「狂言の演劇性」を確かに
感じる事ができ、楽しめた2時間でした。

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