「臨場 劇場版」を見る
何はともあれ、キャストが凄かったです。
高嶋さん演じる管理官・立原と対立する神奈川事件の管理官役の段田安則さん、
冤罪を着せられた挙句自殺した青年の父親で、巡査役の平田満さん、無差別
殺人の被害者の母親役の若村麻由美さん。
段田さんと平田さんが対峙する唯一のシーンの迫力に、つい「おお、つか芝居と
遊眠社!」と勝手に盛り上がってしまいましたし、(段田さんは公演中の「温室」と
言い、「国民の映画」以来、どうもヒムラー的な役柄が多いのが気になりますが)
「白い巨塔」やオンエア中の「トッカン」ではきっちり化粧を決めてのマダムが
お似合いの若村さんが、眉も薄く「スッピン?」と思うくらいの地味な化粧での
内野さんとのシーンは、舞台顔負け、気迫の芝居でしたし、ドラマ版同様に荘田
由紀さんが看護師役で出ていて、「踊る〜」で言う「リンク」が面白かったです。
しかし誉めておけるのはここまで(笑)
そもそもドラマの映画版はたいていアウト。
なんで金払って見せるのか、大画面で見せる価値ある映像か、と大抵思っていて、
だったら見に行くな、ですが(笑)まあ今作は内野さんが出ている、それだけで
見に行き、最初からテレビのスペシャル版を金払って見るつもり程度でいたので、
余り腹も立ちませんでしたが、予想通り、テレビを大画面で見せただけで、無駄に
重厚、無駄に長セリフ、ついでに倉石の病気も無駄でした。
裁判中の例の通り魔事件に、あと10分遅かったらおそらく巻き込まれていた筈の
人間にとって、冒頭シーンの生々しさはかなりの圧迫感で、確かにこれはテレビ
ではやりにくいとは思いましたが、ラスト前の教会のシーンが長すぎ、柄本佑
くん演じる「犯人」が3発くらい撃たれているはずなのにやたら最後までゾンビ
みたいに元気だし、元気と言えば、ハサミ(そもそも佑くんいつから持っていた
んだ?)腕に刺されながら、出血ピタリと止まって?真剣白刃取りみたいに
刃を握って平気、その後(多分「犯人」保護後)何事もなかったかのように検死
してる倉石さん、あなたはサイボーグか(笑)
だいたい検死以前に当事者として事情聴取だろうし、その前にあれだけルール
破りしてたら謹慎じゃないのかと。
テレビでは確かに出しづらい問題を扱っている以上、無駄な要素は排除して
真っ向勝負して欲しかったのに、無駄に予算と規模を確保できる映画がやりがちな
蛇足だらけ。
シンプルでスリリングだったドラマシーズン初期が懐かしいです。
そして何よりラストシーンを見る限り、内野さんによる「倉石の臨場」はこれで
終わりのような感じがします。
「臨場」自体が継続してももう内野さんは出演されないのでは。
まあ私には内野さんあっての「臨場」ですから、主演が変わったらまず見ない
ですけど。
それに若村さん演じる母親が、なぜ孃があの現場にいたか理解したシャッター前の
シーン以外全く救いがなかったのも今ひとつでした。
柄本くん演じる「犯人」が今回どうなったのかははっきりさせて欲しかった。
世間では絶賛だった「悪人」も私には相当後味悪かったのだけれど、こちらも
後味の悪さだけはヒケをとりませんでした。
チャペル中での血なまぐさい殺人シーンはやっぱりロケは無理でセットだろうなあ、
とか、死亡推定時間を狂わせる細工をできる医者が、鰻屋に素手で入るだろうか、
とか、細かい事がやたらと気になりました。
大きなフィクションをリアルに見せるには、小さいところはリアルを徹しないと
全部が嘘に見える気がしました
何より平日夜とはいえ、観客20人ちょっとはさびしい。
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