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2018.11.02

「マリー・アントワネット」(笹本/昆版)を観る

「マリー・アントワネット」(笹本/昆版)を観る
「マリー・アントワネット」(笹本/昆版)を観る
帝国劇場
初演も見ました。
期待してた割にちょっと肩透かしだった記憶があり、かなり間を
開けたのは、多分「満を持して」の再演だろうとまた期待して見に
行きました
登場人物もキャストもほぼ一新されて、ある意味別の作品でした

特に前回マルグリット役だった笹本さんがマリー役に「ご出世」(笑)
昆さん笹本さんのお二人、「レミ」「サイゴン」では同じ役をやって
いましたし、二人のMAは実は同質な裏表と言う事かも知れません

2幕は幕切れ前までは良かったです
アントワネットの脱出が失敗し、処刑される結末は分かっているのに
異様な緊張感がありましたし、マルグリットの最後の切札は、そう
きたか、と言うどんでん返しでした。
しかし幕切れに意味なく全員出てくるのは安直に過ぎ(笑)。
緊張感ぶちギレ。

さらに1幕はもっとすっきりせず冗長。
回想を挟むため、時系列が崩れるのですが、導入の状況提示が曖昧で
(夏の「騎士物語」もそうでしたが)、特にアントワネット登場
シーンで「1784年パリ」とスクリーンに出、アントワネットがフェル
ゼンに「パリにお戻りに」と言い寄りますが、この年表示があとは
一度も出ないため、効果が薄く、また、それが処刑まであと何年か
とか言うカウントダウンにもならないので中途半端。
その時点アントワネットが嫁いでどれくらいだかもフンワリで、
結婚生活をどう感じていたかもセリフでは語られず、立ち位置が
不明なまま首飾り事件に巻き込まれ、アメリカ独立戦争をテーマに
した豪華?(珍妙な)衣装に大枚をつぎ込むうと言う愚を犯す部分も
前提なしなので、騙されてお気の毒、感ゼロ、軽薄全面に見えて、
観客側としては同情さえできないまま進むのはなかなか痛かったです。
アントワネットを「ベルばら」目線で見る下地があるため、それを
否定するスタンスなら、もっと徹底的に「今回のアントワネットの
キャラは違う」と明確にしておかないと、かと。
と言ってマルグリットメンタルに立てるかと言うと、彼女も市民や
オルレアン公にあっけなく裏切られるため、観客は誰のメンタルにも
寄り添えない宙吊り状態
どうしろと(笑)

笹本さんの場合は童顔が抜けきれないため、その甘えた感じ、或いは
身の程以上の地位に就かされてしまったアンバランスを必死に飾る
事でカバーしようとする危うさが、役者ご自身の「大人の女性役」
へのチャレンジと二重写しになるのは、配役の妙ですが、惜しむ
らくは笹本さんは資質としての「賢さ」を隠しきれていないので、
ここはがッと振り切ってしまった方が見ている方はすっきりはした
気がします。

また2幕後半になると突如覚醒し、母の強さと国民への配慮が急に
できるようになるのも心情語らずくるので、マルグリットがアント
ワネットを庇う行動以上に繋がりが分かりにくい感じでした。

あと蛇足レベルで言うと、1幕幕切れのアントワネットの髪の毛の
中途半端な形と長さが途中のマイク音飛び共々妙に気になりました(笑)

その他の役者さん
この手の役はたいてい、と思っていた、オルレアン公役が吉「野」
さんでなく、吉「原」さんだったのを一幕休憩時間に気がついたの
ですが、バルジャン役や去年の「ビューティ・クイーン・オブ・
リナーン」のような善人役よりはるかに迫力があって2幕は勝手に
盛り上がりました(笑)
と言うか、心情に寄り添えない以上、キャラクターに楽しみを見い
だして見た、と言うのが実際かも。

古川さん、駒田さん、坂元さんは見る度にこの手の役でややお気の毒。
ルイ16世役の 佐藤さんは、ビジュアル含めて正直「エリザ」の
フランツ・ヨーゼフより何倍もピッタリで、しかも素人が聞いても
それと判る超難曲を流石にさらりと歌われていて、完全一人異次元
でした

昆さんマルグリットは大熱演ですが、どうしてもソニン嬢の「1789」の
ソレーヌ役のイメージと役柄強くダブりまくるのが、やや不利だった
気がします
しかも今回そのソニン嬢もWでキャスティングされてますし、
「1789」と公演のインターバルが短すぎですし。

「エリザ」も主人公の死で終わりますが、トートと言う存在のおかげで
カタルシスとは言わないまでも、落としどころはありましたが、
こちらは誰も幸せにならない結末で、そこがこの作品のスルメ的
魅力?でもあり、しょっちゅうは再演されにくい原因かも知れません

間をあけて花總/ソニン版も観る予定なので、日程進んでの深化とか
キャストによる印象の違いが楽しみです

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