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2019.02.11

さいたまシェイクスピアシリーズ「ヘンリー五世」を観る(1回目)

さいたまシェイクスピアシリーズ「ヘンリー五世」を観る(1回目)
さいたまシェイクスピアシリーズ「ヘンリー五世」を観る(1回目)
大アクション&スペクタクル巨編、でした(笑)

アクション念頭に置いてとの事で、実に若い座組で、ベテランの
間宮さん、廣田さんは大変そうでした(笑)

【以下演出ネタバレしてます】
さて、まず冒頭
前回の「四世」との繋がりを示す工夫がされていました
いまは懐かしい「四世」ハル&フォルスタッフの映像が流れ、スク
リーンが上がると、今度は「四世」ラスト間際、ハルがフォル
スタッフに引導を渡すシーン、上手奥から下手手前に行進してくる
桃李ヘンリー王一行に、客席から鋼太郎フォルスタッフが登場して
くる一連が、脇の役者は殆ど入れ替わりましたが、蜷川さん演出
通りに再現されていてもうのっけから泣きました。
そして奥に連れ込まれたフォルスタッフから一瞬で、鋼太郎さんは
口上役になって再登場されました。
鋼太郎さん出演が口上役だけでないのも嬉しかったし、こう言うのが
シリーズの強みですね

蜷川さん演出はラストもで、ヘンリーが新しい治世について語る
シーンは、舞台を奥まで深く使い、舞台上下手に街灯のような照明を
いくつも並べられたものは「四世」の冒頭で、ヘンリー四世パパが
語るシーンと全く同じでした。

そうそう、客席には、その四世パパを演じられた木場さんが見に
こられていて、まるでパパヘンリーが息子ハルの成長と活躍を確認
されているように見えてしまいました。

全体にかなりセリフはカットされ、有名なハーフナーやアジンコートの
演説のセリフでさえ、朗々と語るよりはスピードとスペクタクル
重視
「5倍の敵」とか「聖クリスピアンの日」とかの名セリフも
さらっと。
どちらかと言うと、殆ど策略と陰謀、殺しあいばっかりやっていた
「ヘンリー六世」を彷彿とさせる、男の子大好きな、血湧き肉踊る
アクション系がメインで、矢がバサバサ飛んでくるのは、黒澤さんの
「乱」や歌舞伎の「義賢最期」風でしたし、中には、つかさん芝居を
彷彿とする階段落ちまでありました。

しかし、明快アクションもの、イングランド万歳ものと見せながら、
見ていると、常に松坂くんヘンリーは悩んでいるんですね
最初はフランスに相続権主張できるか、つぎは王は臣下の全ての
責任を負うのかなどなど。
更にフォルスタッフの死は「ナレ死」なので、ヘンリーが知って
いるか判りませんが、フォルスタッフやピストルと共に、ハル時代の
ヘンリーの遊び仲間バードルフを処罰する事になるのを軍法に従って
処罰していくのを上から見下ろしているシーンは、とても印象的でした。

とは言え、終盤には手袋の替え玉事件や、フランス王女の口説き
シーンなど楽しいシーンもあり(まあ、松坂くんが「顔は良くない」と
言うのはいくらセリフにしても説得力ゼロですが(笑))、中盤の
残虐なイメージを和らげていきました

キャストですが、松坂くんは「四世」ハル同様、ちゃんと数年で
『できる奴』に成長していて、特に王の義務についての独白は
戯曲よりずっと印象に残りました
長セリフはまだ流石に息が切れてましたが、良かったです
雰囲気が「ムサシ」の頃の小栗くんに似てきましたか?
また、新国立版と違っていて良かったのは、フランス皇太子が
ヘンリーと同世代の若者な事で、溝端くん、頑張ってました
ヘンリーの使者として遣わされたエクセターとテニスボールで
キャッチボールしながらのセリフは、面白かったですが、脳トレ的に
大変なのでは?(笑)

ラストで妹?との結婚に沸き立つヘンリーと対照的に、顔や身体を
怪我し、車椅子で登場するところ、勿論戯曲に指定はないけれど
敗者の残酷さを象徴していました。

横田さんは、半年前にネギ背負って走っていたのと同じ方とは思え
ない威厳を示し(笑)(出番ちょっと少なめ)、鋼太郎さん口上は
「劇場」の部分に「ここ、さいたま芸術劇場」を入れるなど、工夫を
されていました

さて、鋼太郎さん演出になってから、キャストには文学座メンバーが
減り、AUNの役者さんが増えましたが、今回で言うと、AUN以外の
役者さんに何人か印象的な方がいらっしゃいました

まずは何度も使者にやってくるモントジョイ役の大河原さん。
つか劇団出身との事ですが、とにかく顔つきが実にシェイクスピア
芝居向き(笑)で良かったです。
10人以上のイングランド側に剣で囲まれるシーンは大変そうですが(笑)

イーリーの司教として幕開けし、ブルターニュ公爵として長セリフで
幕切れに登場した原さん、反逆を企てたとヘンリーに断罪される
トマス・グレイ役の橋本さんの顔つきもそれぞれ印象的でした。

勿論ネクストメンバーも活躍。
鈴木くん堅山くんはヘンリーの兄弟役、堀くんはフランス皇太子の
腹心(と言うか遊び仲間風)でしっかり役柄を演じていました

しかしこれを見ると、もう一度「ヘンリー六世」を見たくなるのは
絶対で、何しろ、今回敗れたフランス王の別の息子が、「六世」で
ジャンヌダルクによって復権するシャルル七世と言われれば、もう
目の前には、大竹さんと長谷川くんの姿が見えますし、ヘンリーが
直後に亡くなったと言われれば、直ぐさま、(新国立版ですが)
岡本くんリチャードが、アンを口説くシーンを思い出してしまい
ますしね。

それにしても作品の位置付けもありますが、後ろに蜷川さんを感じ
させる、と言うか、リスペクトしつつ、バトンを受け取った鋼太郎
さんが先に進めたと言う印象が深い今作。
名実共にシェイクスピアシリーズが引き継がれたな、と感じました。

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