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2019.02.24

さいたまシェイクスピアシリーズ「ヘンリー五世」を観る(3回目)

さいたまシェイクスピアシリーズ「ヘンリー五世」を観る(3回目)
久しぶりに同じプロダクションを3回観ました。
やはり染み方が違う、いや、単に好きなだけ(笑)

チラシに写真のような小さい「深谷ネギ」案内を発見。
私はどうせ「このさいたま芸術劇場で」と口上おっしゃるくらい
なのですから、最初から「ネギ」は「深谷ネギ」って言えば良い
のにと思ってましたが(笑)
アペマンタスでアントニーでハムレットの方が見に来られてました。

いくつか変更はあって、鋼太郎フォルスタッフの登場が下手で見た
時は上手客席通路だったのに、上手で期待して待っていたら下手
客席通路だったり、初めの口上の最後に、歌舞伎ばりに「隅から
隅まで」が付いたり、ネギの他におにぎり食べる兵士がいたり、
フランス皇太子とエクセター公、フランス王の間のテニスボールの
やりとりの段取りが変わっていたりしました。

見慣れた事で、戯曲だけより、また新国立版では気づかなかった
ポイントにいくつも気がついて面白く見ました

★大司教が「宗教界」から献金するから安心してフランスを攻撃
しろと言う
教会が戦争しろと言うのも不思議な話ですが、多分教会も王家の
支持が必須でしょうから、このあたりは多分winwinなのでしょう

★歌舞伎に二枚目がやったシチュエーションを後から三枚目が繰り
返して笑いを取る「おうむ」と言うやり方があるのですが、それと
全く同じ事をシェイクスピアもやってました

ヘンリーが有名な「突破口へ!」と先頭に立って突撃したあとに、
ヘタレなピストル一味が同じように「突破口へ」と言いながら
彼らは後退りしていました

★因みに、逆バージョンもあって、ピストルがフランス人と戦って
追い詰め、金貨で取引しようとするが、互いに何を言っているか
判らず通訳を通じて話をするシーン。
話が通じず、うんざりしてるのですが、これがラスト前になって、
ヘンリーがキャサリンを口説くのに侍女に通訳させるシーンと
完全に対。
片や無名の一兵士同士の戦い、片や国王による敗戦国の王女との
やりとりとスケール違い過ぎますが、通訳する役をする役者さんが
2場面とも同じなのも面白い対でした。

★戦闘シーンにヘリコプターや機関銃の音が流れるのは、実に蜷川
さん風。
因みに骨組みゴツゴツのセットはちょっと新国立のと似てますが
奥から出てくる感じが新感線っぽい。
アフタートークによれば、「ライバルは新感線」だったそうで、
新感線と違うのは、剣が金属製で、ガチャンガチャンと言うのは
効果音ではなく、そして扱いを間違えると本当に怪我するそうです

★常に隣の国とは仲が悪い、と言うのは、今も昔も同じ。
因みに、先日「女王陛下のお気に入り」と言う映画を見てきましたが
やっぱりフランス(ルイ14世時代)とイギリス(アン女王時代)は
戦争してましたね(苦笑)

★ヘンリー王は「王は安眠できない」と嘆いていますが、そう言えば
マクベスも不眠を嘆いていました。

★毎回、つい笑ってしまうのが、エクセターの叔父上のモバイル
金庫(笑)
ウィリアムに金貨を渡すためにヘンリーはエクセター公に手袋を
差し出すと、ちゃんとエクセター公、手袋の付け根に金貨を仕込んで
いる。
まあその場で報奨与えるのは王様あるあるなんでしょうが、そこ
から出すかと。
そう言えば、今回の廣田さんエクセター公は、ヘンリーの結婚が
決まると、ついもらい泣きしちゃうのが良いですね。
パパを嗣いで即位したとは言え、やんちゃしていた若様がやっと
結婚で、お守り役も一安心でしょうしね。

★ラストちょっと前に、勝敗判らず、ついにヘンリーが戦争ルールを
破って人質を殺せと命じて、恐らくこれでフランスは死者が増え
ダメージ強くなったのでしょうが、考えると、「子午線の祀り」
でも、勝ちを焦った義経が船戦のルールを破って、漕ぎ手を射殺せと
命じて、形勢決定づけるのと似てますね

ヒーロー、意外にいざというとき冷酷です。

いやしかし、今更ですが、「クリスピアン」の「少数の我ら、幸せな
少数の我ら」な有名なのをはじめとして、あれだけ演説セリフを
削ってるのに、桃李ヘンリー半端なく喋るなぁと感心しました
フランスに攻めに行くかどうか御前会議で喋り、フランスからの
使節をぐうの音も出ないほどやりこめ、先頭に立って進軍を促し、
援軍の来ないことを嘆く部下を鼓舞し、一兵卒とガチンコでやりあい、
そして敵の娘を口説く。

しかしこのヘンリーくんは欠点がない分、遊んでいた頃のハルくん
程は面白くなりません。
多分桃李くんも、セリフと殺陣に埋め尽くされ、ひたすら大変だった
のでは(笑)
逆に言うと、ヘンリーを鏡にして、様々な身分の人たちの個性が
輝く芝居として見ると別の意味で面白かったです。
例えば急にしっかりしちゃったヘンリーと対象的に空回りしまくる
フランス皇太子。
大言壮語と根拠のない自信に半分くらいまで笑って見ていると
最後の最後に「長生きなんてするもんじゃない、恥をかくばかりだ」
みたいな、突然悟りきったようなセリフを吐くギャップ。
まあ「四世」の時は、ハルだって、パパに「パーシーの息子とうちの
ハルと逆だったら良かったのになぁ」とか愚痴られてたんですから
似たようなものですが。

また口説かれるキャサリンにしても、一面、純情な青年に見せかけ
られているけれど、節々に「結婚の申し入れを受けてくれると思う
けど」とか「一緒に暮らす事になるのは目に見えている」とか、
強気系独り言を言われ、結局は勝者の論理で相手の弱味につけ
こまれて言うことを聞かせれてる。
僕ってこう見えて、腕っぷしは強いんだけど、女性と面と向かって
とか苦手でさ〜とかギャップ見せて安心させたりするのも、「四世」で
「お前たちの事は分かっている」と、遊んでるのは作戦だと白状して
るくらいだし、散々フォルスタッフとつるんで追い剥ぎだの悪さ
しまくってたハルくんがそんな純情な筈はない(笑)。
曲者ハルくん全開で、キャサリンを獲得し、交渉においても全条件
思い通りにさせてるんですから、キャサリンちゃんこの先、大変。
まあ、すぐヘンリーに死なれて、息子は王様にできたものの、
後半生幸せとも言えず、リチャード二世に嫁いだお姉ちゃん共々
イギリスに散々な目に合わされるのですが、ヘンリーに死なれてから
事実上二番目の夫にした人物との息子の息子が成長して、ヘンリー
五世の息子、ヘンリー六世を殺したリチャード三世に対し、正統な
後継者として登場し、リチャード三世を倒す、リッチモンド伯
ヘンリーになるんですから、全く家系図ぐちゃぐちゃですね(笑)

「徹底勉強会」で予告された、ヘンリーの名演説はことごとくあっさり
処理されてしまう、戦いシーンがやや長い、叫ぶだけの役者が散見と
いくてかがっかりポイントもありましたが、やはり正直「新国立」
版より盛り上がれました

蛇足ですが再放送中の「軍師官兵衛」、今日の放送分で、家康に
つく事を決めた、桃李くん演じる長政が、蜂須賀から嫁いでいた
正妻を離縁するシーンをやっていて、桃李くんて、ザ・二枚目ですが
いざとなると冷酷になると言うキャラがハマるタイプですね
(「孤狼の血」も割とそう言うキャラ)
いや面白かったです

しかし、「ヘンリー八世」阿部さんとして、絶対その次になる
「ジョン王」誰がやるのか、実は今から気になって仕方ありません(笑)
個人的にはおすすめ俳優さんはいるのですが…

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