« 国立劇場横の「伝統芸能情報館」の「役者絵の世界Ⅱ」展が凄い! | トップページ | 今月の「100分で名著」は「平家物語」 »

2019.05.21

「MANSAI◎解体新書 その弍拾九~『発酵』~ジャパンカルチャーと言う文化変容」

いつぞやの回と違って(笑)、定時に開場し、定時に始まり、ほぼ
定時に、久しぶりにちゃんときれいにまとまって、タイトルに添う
落としどころにたどり着いた、安心回、でした(笑)

ダンサー/振付師のTakahiroさん、宮内庁雅楽師の山田さんと言う
二人のゲストと萬斎さんとの息も、話の方向性もうまく噛み合い
ヒヤヒヤはらはらせずに済みました(笑)

ゲストの自己紹介からそれぞれのパフォーマンスと、歴史その客観
的分析があり、また、リズムと身体表現と言う三者が共演して持つ
パフォーマンスについて、互いにリスペクトし、疑問や認識を共有
する事で、歴史の中で地層のように堆積し、少しずつ形を変えながら
継承されていること、位置付けの相違点などが明確に伝わって
きました。

何よりゲストのお二人、それぞれ客観的に自らの立ち位置を理解され
魅力的に伝達する言語化能力に非常に長けておられました。
例えばダンスだけを刺すと、知っているようで4つのジャンルを
定義を持つなど知らずにいたヒップホップについて知ることができ
単なる町の落書きにしか見えないグラフィティにも意味があるなど
初めて知りましたし、全く知らない「坂系」アイドルの曲の振り
付けには、音より言葉の意味から発想したものが込められている
など、ご本人の説明があるとなしでは全然興味度合いが違いました。

また一方メイン顧客の特性から「菊のベール」に覆われてなかなか
知ることのできない雅楽も、「7年かけ、色々な先生によって
たかって教えてもらった」とか「10連休はさる事情で大忙し」で、
「秋には二大ライブが予定されている」など、堅い世界がちょっと
身近になる言い回しは面白く、また山田さんが雅楽師を目指した事に
萬斎さんが関わっていたとか、「萬斎さんもよくご存知の、源博雅
さん作曲の作品は非常に多いので、よろしくお伝え下さい」とか
明治に雅楽師が宮中晩餐会の演奏のために洋楽器も担当するように
なり、そこから洋楽器に転向、近衛氏などのように、日本のオー
ケストラの設立に関わるようになった方がいたとか、信長が多額の
寄進をした事に感謝し、幕には織田木瓜紋をいれてあるなど、
本当に興味深くお聞きしました。

「呂律」に「野暮」「楽屋」など雅楽由来の言葉がたくさんあるの
にも驚きました

また、ダンスのヘッドバンキングと、雅楽の抜頭の共通点、いわゆる
ムーンウォークと摺り足と、雅楽の「還城楽」の類似と言う事で
三人三様、動いてみたり、山田さんによる、洋装での神迎えの
パフォーマンスを暗い中で、萬斎さんとTakahiroさんが小さい声で
話をされているのも何だか随分面白く、最後は山田さんの篳篥に
よる「神送」の演奏にあわせて、萬斎さんとTakahiroさんがパフォー
マンスをされましたが、何だか萬斎さんのは太極拳みたいでした(笑)

惜しむらくは、時代の地層的な堆積へのアプローチの深さに比べて
日本の「大陸のどん詰まり」という特性による地理的アプローチが
萬斎さんの「まとめ」にしか出てこなかった事くらいで、ぜひ今回の
ものは対談として文字化して頂きたい充実した内容でした。

|

« 国立劇場横の「伝統芸能情報館」の「役者絵の世界Ⅱ」展が凄い! | トップページ | 今月の「100分で名著」は「平家物語」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 国立劇場横の「伝統芸能情報館」の「役者絵の世界Ⅱ」展が凄い! | トップページ | 今月の「100分で名著」は「平家物語」 »