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2019.06.15

「オレステイア」を観る

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新国立劇場
タイトルロールは確かに生田くんですし、4時間15分後の4幕(!)の
ラストは生田くんの叫びで終わりましたが、途中は、ほぼ「神野
三鈴祭」(笑)でした。

この女優さんも長らく拝見してますが、時々、見た目のたおやかさ
とは裏腹の、とんでもない肉食系の役柄の時があって、そう言う時は
肉食系最強(笑)大竹しのぶさんも真っ青の振り切れぶりなのですが
今回はまさにそれ、凄み炸裂でした。

横田さんアガメムノン/アイギストスも素敵で、鋼太郎さんが映像に
半分魂を売った今(笑)、いよいよ横田さん無双、と長年ファンと
しても嬉しい限りなのですが、一方、本来観客が思い入れするべき、
生田&音月/オレステス/エレクトラコンビの影は薄くなるばかり(笑)

そもそもオリジナルの「オレステス」ではなくて、彼(ら!)の
親殺しは現代の法的規範に照すと有罪か無罪か、と言う理詰めの
二次創作的な作品で(最新「悲劇喜劇」に戯曲掲載)神託と人間、
国家運営の関係、神々と人間、その間にいる存在を含めた登場人物
たちの、なんとも不可思議で、理屈に合わないけれども滅茶苦茶巨大な
スケールと、肉親の情や、ダメと言われても言うことを聞かないヘタレ
神々や、人間の愚かさのギャップを同時に味わうのが、このあたりの
物語の楽しみかただと思っていたのに、家族間の殺人(特にアガメム
ノンがイピゲネイアを捧げ物にした)についての生身の愛憎物語に
集約させてしまったために、丁度5月に観た、コクーンの「ハムレット」
同様、壮大なギリシャ神話世界が極端に矮小化。
そのため、ギリシャ悲劇サイズのお二人の折角の熱演も微妙に構造
からズレ、はみ出している感じが勿体無かったです

逆にこの皮肉めいた作品テイストに馴染んでいたのは司会進行(違う)
予言者カルカス役の下総さんくらいでしょうか
(因みにカルカスの娘が「トロイラス~」のクレシダ嬢で、これを
起点に二つの作品の世界がほぼ被る)

更に言うと、横田さんが演じたアガメムノンと言えば蜷川版「グリー
クス」の平さん、アイギストスと言えば鋼太郎さんを思い出して
しまいますし、横田さんも「トロイラス~」でアキレウスとヘクトル
両軍の将を演じているなど、作品と登場人物と役者さんのイメージが
強くあり、尚更、無駄に現代解釈化しない、古典をそのまま上演
しても、アガメムノン→イピゲネイア、クリュタイムネストラ&
アイギストス→アガメムノン、オレステス&エレクトラ→クリュ
タイムネストラ&アイギストスの親族殺人の連鎖の悲劇は、十分
現代的な意味合いがあり、十分問題提起の価値があった筈。

この魅力的なキャストでこの微妙にオタクっぽさと執着を感じる
変化球投げるのは正直勿体無かった。
生田くんにしても、前半殆ど見せ場なく舞台にいるだけで(後から
あれが幼少期だった事が解ったんですが)、新感線舞台の大阪や
長野はあったのに、東京だけが来年に回ったのはこれのためだろうと
期待していたのに、これもかなり期待外れ。
三島ができる人なだけに、もっともっとセリフを聞きたかったです

映像を取り入れ、実際の時間をデジタルで投影して、ギリシャと
今の地続き感を見せる演出とかは確かに面白かったですが、衣装の
時代に統一もなく、まあ目の前で横田さんの熱演を見られただけで
良し、とします。

時間は長いし、リピートはないかな

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