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2019.09.14

NTL「リチャード二世」を見る

Richard2

TOHOシネマズ日本橋

例のスクリーン落下?の工事のため、暫く他館に振り替えになって
いたNTLが日本橋に戻ってきました

勝手な思い込みでしかありませんが、NTLは日本橋で見ると何となく
落ち着きます

さて、人物としても、また、シェイクスピアの戯曲の中では知名度も
高くないながら、車椅子を多用し、実に不健康で(誉め言葉)、
折れそうに華奢な内田くんが自意識の強さと王としての適性の無さで
自滅していく主人公をクールに熱演(笑)した、蜷川さん晩年随一の
名演出が印象に残っている「リチャード二世」

これをどうやって2時間以内に収めるのか、30歳くらいの設定だった
はずのボルドー公を、なんであの「リア王」俳優さんが演じるのか、
謎だらけで拝見しました

結論、つまりは「超訳」
スポーツとかで使う用語で言うなら
「エクストリーム」が当てはまる、ノンストップ、細かいところは
ほぼぶっ飛ばして、リチャードとボリングブルックのガチな駆け
引きの部分をクローズアップ。
窓なし扉なしの逃げ場のない箱型セットの中で、本水や土、血のりも
準備された、まるで「ハブとマングースの戦い」(喩えが古い上に
動物虐待(苦笑))のよう。どちらかが消耗するまで戦わせているような、
見ている側も息苦しくなる仕掛けでした。

勿論、五幕五場のセリフを最初に持ってきている事から、この仕様は
「牢獄」なんでしょうが、この芝居、リチャードの素敵な「下へ、
下へ…」のセリフがあり、また息子の命乞いに親がドアを叩き
まくって宮廷に乗り込むとかあるので、このセットでやるのはかなり
無理が。

まあ、何より、リチャードとボリングブルックに年齢差を付ける
意味が分からない。
二人に年齢差がある上での王位の争いには簒奪と言うニュアンスは
弱くなって、そりゃそうだろう、歳なんだし、となるし、悲劇性
とか、同年代の二人の、運命の分かれ目とか、対比の構図的な
面白さが分かりにい気がしました。

何よりこの「リチャード二世」、意外にも家族についての描写が
多くて、前述の親が懇願に出てくるオーマール、ボリングブルックに
してもやんちゃな息子、「ヘンリー四世」で活躍する未来のヘンリー
五世について語るし、同じく「四世」前半で活躍するホット・スパー
ことヘンリー・パーシーも親子で登場するほか、何組もの親子の
物語が交錯するのが面白いのに…

王冠が笑うほど安っぽかったのと(森新太郎さんの「エドワード
二世」も似たかんじ)、リチャードがそんな王冠ですらなかなか
手放さないのとか、勿論、序盤の手袋の投げつけ合いとかはまあ
面白かったですが、ベン・ウィショーとか内田くんとか見ている
刷り込みのせいで、個人的にはずっと「何か違う!」と思い続けて
いました。

俳優さんに責任はないけど、多分本場では古典すぎてオーソドッ
クスな演出では最早誰も振り向かないのかも知れませんけど、
変化球すぎて、わたしにはもう一つ乗れないままとなりました

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