映画「影踏み」を見る
主題歌「僕ここ」の入った「HOME」発売した98年あたりから、5年
くらい、かなり熱心な山崎まさよしさんファンでした
「月キャベ」ロケ地の学校のある中之条は、ファンには今で言う
所謂「聖地」で、ロケをした旧小学校校舎での限定ライブのために
山ほど「びあ」を買った記憶があります(笑)
(当時はまだネット申込がなく、申込むには「ぴあ」誌綴じ込みの
専用ハガキが必要でした)
その後、演劇に興味が移って長らくご無沙汰でしたが、そんな訳で
篠原組、群馬ロケでの山崎くん主演、しかも大好きな横山秀夫さん
原作作品と聞いて、懐かしさもあって見に行きました
原作を未読で行ったため、前半、北村拓海くんの役をぼんやり年の
離れた弟だと思っていて、同じ顔で髪の毛の黒く、眉毛の太い第三の
人物が回想シーンに登場した時は、しばらく「?」になり、入学式の
写真のあたりで漸く、その「仕掛け」に気づきました
そもそも監督/キャストを見た時に、「まさか、また『月キャベ』の
ヒバナ的仕掛け?」と言う(正しい)邪推をする、あるいはヒント
だと理解すべきだったかも(笑)
まあ知らずに見たおかげで、映画ならではの仕掛けを楽しめた、
とも言えるので、これはこれで良かったです
刑事や被害者でなく犯罪者自身が追うと言う特殊な設定の分、爽快
感とか、社会正義とかとはない、不思議な手触りの作品。
何しろ、証拠を掴むのに真夜中、本人が鼾をかいている横に忍び
入ると言う、イリーガルな手を使うのですから、ヒヤヒヤしつつ、
司法サイドの登場人物が明らかに真っ当じゃない人ばかりなので
どちらがマトモか、見ているこちらの感覚が狂ってきました。
二組の双子が一人の女性を軸に接点を持つと言う、確率的にかなり
低い偶然が物語の核として出てきて、主人公に起こった過去の2つの
「事件」の真実の追跡と現在の事件が絡み合って描かれてる重層
的な展開で、見た目の地味さより情報量全然多くて、結局ずっと
「手に汗握る展開」でした。
大竹さんが凄みを帯びていたのは言うまでもありませんが、
「ひとよ」の佐々木さん同様、滝藤さんが落差の激しい役柄を演じ
「分けて」いて、パワー炸裂でした
(滝藤さんは同じ横山さん原作の映画版「クライマーズハイ」で
やはりかなりインパクトの強い役をなさってました)
それにしても「台風家族」にしても「ひとよ」にしても、これに
しても、生々しい人間の感情が迸るストーリーは、令和では無論
なく、平成でもなく、更に前、昭和の匂いが漂う世界の中にこそ
似合うのは皮肉ではあります。