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2024.06.30

「六月大歌舞伎」を観る

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テレビ的には、獅童jr.sの初舞台ばかりフィーチャー
されていましたが、本来は時蔵、と言う大名跡(および
萬壽、梅枝)襲名がニュースになるべき公演。
まあ、注目されて来てみたら萬屋三代凄い、となるなら、
それはそれでよいのですが。

昼は「妹背山」の「三笠山御殿」
襲名興行らしい豪華配役で、新・時蔵さんお三輪に、
萬壽さん淡海、松緑さん鱶七に、七之助くん橘姫。
更に「ご馳走」の豆腐買いおむら兼、劇中襲名披露
ご挨拶で仁左衛門さん(これ目当てに行ったようなもの)、
橘姫付き侍女に芝のぶさん
そして、御殿の場名物(笑)の通称「いじめの官女」に、
萬屋一門の立役人が8人がずらり勢揃い。
言われてみれば、歌六、又五郎、錦之助と言うベテラン
勢、中堅の獅童、歌昇、種之助、萬太郎、隼人と若手
まで、萬屋(歌六家と又五郎家は播磨屋に戻っていま
すが)、いや「小川さん家」一門、いま立役人材が
大豊作なんですね。
これが楽しそうに(笑)新・時蔵のお三輪をいたぶるの
ですから、まあ見応えと言うか笑いが炸裂しました。
ただし、ここが盛り上がり過ぎて、本来一番盛り
上がるべき松緑さんの鱶七さん登場以降が、ちょっと
迫力減じて見えてしまったのが惜しまれます。

また、せっかく七之助さんがなさっていた橘姫の、
この先にやってくる活躍部分もみたかったです。
(因みに9月の「秀山祭」では、玉三郎さん&松緑さんの
「花渡し/吉野山」がかかるとの事)

夜の部はその萬屋ボーイズ結集の「八犬伝」から
「円塚山の場」
五人男の「稲瀬川」的顔揃えのみ、なので、登場人物が
誰かわからなければ面白みはさっぱり、でしょうが、
個人的に「八犬伝」は大好物
特に米吉くんの毛野の美貌が、2役の濱路を凌いで
いたのが印象的でした

「山姥」は萬壽さん襲名披露演目となっていますが、
新・梅枝、陽喜、夏幹のちびっこニューフェイスズが
舞台の注目をすっかりさらっていました

萬壽さんと長年コンビを組んできた菊五郎さんも顔を
揃え、賑やかな演目でした

それにしても、以前のような、「襲名口上」だけの
一幕をやらずに、すべて劇中での口上にしたのは、
萬屋さんの意図かどうか判りませんが、最近は襲名も
ずいぶんコンパクトになりましたね

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2024.06.29

Welcome back.横田さん!

文学座公演「オセロ」初日を拝見しました。

「鎌倉殿~」以降、2年あまり休養取られていた
横田栄司さんが、遂に舞台に復帰されました

私が最初に横田さんを拝見したのが、約20年前、
さいたまでの「タイタス〜」
今回はその同じシェイクスピアの「オセロ」、
しかも
タイトルロール、正直、復帰作にしてはハードかなと
思いましたが、勿論杞憂でした。

チケットも公演が追加された程で、新聞には、初日
完売したとか
劇団公演では、座員だった内野さんの「モンテ・
クリスト」以来だそうですが、因みにその「モンテ・
クリスト」、同じく座員だった長谷川博己さんの
本公演デビュー作で、天王洲アイルで観た記憶が
あります(懐かしい)

そして「オセロ」です。
サザンシアターに響き渡る、懐かしい横田さんの低音
ボイスは最高でしたし、鵜山さんの演出、浅野さん、
石橋さんなど、手垂れの役者さんたちとの息のあった
やりとり、劇団公演ならではの一体感で、休憩挟んでの
3時間もあっと言う間でした。

デズデモーナ役の俳優さんはまだ座員歴の浅い若手の
方だそうですが、たちい振る舞いも、歌も見事でした

来週末までの東京公演ののち、数ヵ所地方公演も
あるようですが、まずは無事に千秋楽を迎えられる
事をお祈りしています。

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2024.06.28

舞台「未来少年コナン」は結局、今井さんの一人勝ち!

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東京芸術劇場

「ねじまき鳥クロニクル」に続いて、インパルさんが
日本の作品をもとに仕掛けた舞台「未来少年コナン」。
原作は宮崎駿さん最初の連続テレビアニメだそうですが、
そもそも「名探偵」以外にコナンがいたことを知らず(笑)
前回「テラヤマ」で懲りたくせに、結局今回も予習
せずに見ましたが、今回は、コナンとラナと言う
主役らしい設定がはっきりしていたので、完全に
判らなくても、舞台を理解するにそこまで差し支えは
なかった気がします
(気がしてるだけで、本当は色々見逃してるとは思い
ますが)

とにかく際立っていたのは、インパルさんらしい身体
表現と美術の美しさ。
冒頭は10分近く、何の説明もなくテーブルを囲んでの
議論の果てに何か壊滅的な出来事が起きた事が暗示
されるや、紗幕が張られ、海中のシーンに転換、
コナン役の清史郎くんのワイヤーワークはかなり高度
でした
後半にもう一度、コナンとラナが海底から浮上する
シーンもすごく、また背景の巨大な海草の動きが、
そこまで複雑な仕組みではないはずですが、海底
らしく、かつどこか昭和のアニメっぽいレトロ感が
よかったです

何より、ラスト前、全面に照明に当たるとキラキラ
反射する素材が貼られた、長方体を斜めに、ドア
ストッパーのような形に切った立体2つにコナンと
ラプカをそれぞれに乗ったまま、舞台を縦横無尽に
動きながらの対決シーン。
不安定に動く立体の上で絶妙にバランスを取りながらの
お二人も凄かったですし、照明が当たって反射した
光が舞台背景に当たって作り出す、不規則で予測の
つかない、不気味でもあり、スケールの大きさも
感じる反射の造形が見事でした。

ハリウッド映画のヒーローのように、主役はあらゆる
危機を乗り越えて生き延びるラストでしたが(笑)
結局はラプカ役の今井さんの身体性、存在感が全てを
凌駕する迫力でした

原作を知らないので、今作がどこまで原作通りなのか
判らないのですが、同じ宮崎駿さんの作品を歌舞伎で
観た「ナウシカ」も、現代文明による地球環境の破壊
への危機感を鮮明に描いていましたが、舞台を観る
限り、この作品でも地球に対して人間がいかに危険な
破壊者になりうるか、と言う焦燥感、危機感に満ちて
いて、そのあたりが宮崎さんの作品のベースにある
ものなのかも、と感じました。 
二枚目の写真は、カテコ後、場内アナウンスで全体に
撮影許可が出た、ラストシーンセットです。
海に関わるイメージに支配された舞台なのに、ラストの
セットからそれが全く連想つかないのも、なんか不思議(笑)

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2024.06.24

映画「碁盤斬り」を見る

元ネタは落語で、仇討ちの話らしい、と言う以外の
予備知識なしで見ました

何しろ監督が「孤浪の血」や「ひとよ」「彼女が名前を
知らない鳥たち」などダークな作風で知られる白石
和彌さんなだけに、時代劇となれば、三池さんの
「十三人の刺客」みたいな事になるのかなぁ、とかなり
用心して(笑)見ましたが、良い意味で裏切られ、
杞憂でした。

前半はどう見ても悪役風情(笑)満々な金持ち商人・万屋
源兵衛役の國村さんが緊張感をいや増しで、簡単に
誰もが血を見そうでしたが(笑)そうはならず、
逆に
誰のせいで柳田が陥れられたのか、万屋に陥れられて
コトは終わった後、仇討話が始まっているのか、
とか、万屋が敵か味方かが判るまで時間をかけすぎ
とは思いました。
逆に本命の仇、斎藤工さん演じる柴田兵庫の登場が
遅すぎて、話の構造をつかみにくかったです。
けれど、最近流行りの経済ネタや、解りやすくしすぎな
ライトなテイストとも無縁。
ワイヤーアクションやCG満載、ゲームや漫画の世界観
再現、な、パラレルワールド的な作品とも一線。
と言って昭和の「水戸黄門」的、手あかのついた勧善
懲悪ののとも全く違う、新しい時代劇のスタンダードを
感じました。

勿論、見た目穏やかながら、火が付けばただではすま
なさそうな、草彅さんの佇まい、ドラマ「蛍草」と
同じ貧乏武家の孝行娘がぴったりの清原果耶さん、
前述の國村さん、更に柳田の知り合いで、切れ者の
妓楼の女将役の小泉今日子さんなど、それぞれの役が
みなさん生き生きとしていてました
ただ、柳田の仇討ちと、万屋から紛失した50両と、
謎解きが2つあり、ちょっと欲張ったかな、と言う印象。

また個人的にもう1つ言えば、「ボビー・フィッ
シャーを探して」のチェス同様、碁のルールがわかって
いたら、より踏み込んで理解できたかも知れません
(碁は将棋以上にルールが理解できてない)
因みに「カジノ・ロワイヤル」のポーカーも、最初
殆どルールわからずに見ていたですが、何しろ10回
以上見たので、それで逆に覚えました(笑)

白石さんの時代劇、また見てみたいです 

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2024.06.17

「五月文楽公演~ひらかな盛衰記」を観る

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去年12月に続いて、もう2回目になる、「シアター1010」
での文楽公演。

演目は、歌舞伎では「源太勘当」と「逆櫓」くらい
しかにかからない「ひらかな盛衰記」。
私の文楽の楽しみの大きな一つのポイントは、こう
言う、歌舞伎では一場面ばかりで、全体が掴みにくい
演目を、通しに近い形で上演してくださること。
歌舞伎で演じられにくい演目には、傾向があって、
人間がやるには重力や体重があると演じにくい動きが
ある、とか、動物や妖怪系のものが芝居に重要な役割を
果たす場面がある、とかが原因になっている事が多い
のですが(当然、文楽由来の作品に多い)、今回も
そうでした。

「飼い猿」(本来は「額」の絵らしい)が一緒に踊る
とか、旅の半ばで亡くなった女主人を、道端の竹
(「笹」引きの段、と言ってますが、あれはどう見ても
「竹」)に乗せて引いて行く場面があり、どちらも
生身の人間では実現の難易度の高そうで、更にそれが
見せ場でもあるだけに、歌舞伎でやらないのも納得。
(まさかいきなり、人間を人形にすりかえるのも興ざめ
ですしね)
無理目の中では、「廿四孝」の「狐火」と、
「先代萩」の
鼠あたりがギリギリでしょうか

そして、物語も全体の筋を知らない分、目新しさもあり、
とても面白かったです。

歌舞伎や文楽の女子キャラがアクティブなのはお約束で、
今回も上記の、笹引をするお筆ちゃん(遣うのは人間
国宝、和生さん)、最初はしれっとお姫様のおつきの
脇役、みたいに座ってるだけ(まあ和生さんが遣って
いる時点で脇役はありえない事は明らかですが)と
「油断」させておいて(笑)、状況がどんどん悪化
するにつれて、出てくる健気さが愛しい(笑)
さらに呆気なく危機に瀕する(横死する)貴人、混雑
した雑踏での子どもの取り違え(「三人吉三」的)、
「実ハ」の作劇による複雑なキャラクター設定、
一方で安定の?敵役・梶原さん、と、楽しめるポイ
ント満載で、最近かなりはまった「妹背山」のように
暫く繰り返し観たくなりました

遠い、と尻込みしていた北千住ですが、アクセスも
席の感じも、見え方も、休憩時間の過ごし方にも、
まあまあ慣れてきた事もあり、より違和感なく見られる
ようになってきた気はします

昼の部なら、帰りに下層階で買い物や飲食ができ、
利便性も抜群で、隼町にはないメリットも多いし、
隼町だと距離的になら足を運ばなかった層にもアピール
してそうで、これはこれで悪くはないけれど、やはり
青年館同様。アウエイ感は否めません
しかも肝心の国立劇場リニューアルについては、
相変わらす見透したってないとか。
施行者が決まる前に閉めてるのがどう考えてもおかしい
恒例の歌舞伎観賞教室も、荒川や調布での開催。
この渡り鳥公演がいつまで続くのか判りませんが、
ナショナルシアターがこんなに滞っていていいはずは
なく、さっさと建て直しを改修に変更して、再開に
向けて動き出して頂きたいものです。

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2024.06.12

青年座公演「ケエツブロウよ~伊藤野枝、ただいま帰省中」を観る

紀伊国屋ホール

最近、ストレートプレイだけでなく、ミュージカルにも
活躍の場を拡げてめざましい、那須凜さんが主演、と
聞いて、青年座の本公演を初めて拝見しました

同じ題材に扱う作品は、過去にいくつもあります。
小説なら瀬戸内寂聴さんの「美は乱調にあり」、
舞台でいえば、宮本研さん作の「美しきものの伝説」
「美しき~」は、文学座のものなども見ましたが、
個人的には役者と役の年齢に近かったからか、さいたま
ネクストシアターの第二回公演が印象的です。
読売新聞演劇大賞で蜷川さんに最優秀演出家賞も
もたらした同公演は、松田くん(大杉にあたるクロポト
キン)、深谷さん(野枝)、堀くん(辻にあたる幽然坊)、
土井さん(神近にあたるサロメ)で、第2回公演にして、
今から見ても配役が素晴らしく適切すぎ

最近では吉高由里子さん野枝と瑛大さん大杉、稲垣
吾郎さん辻、松下奈緒さん平塚での単発ドラマ「風よ
嵐よ」、舞台でも「劇団チョコレートケーキ」の
「一九一三年」も(再演)拝見していますので、題材
にはそこまで目新しさはありません

しかも、彼女について残されている事は、平塚から
引き継いだ「青鞜」にしても、大杉をめぐる込み
入った人間関係も、今の常識範囲でもなかなか理解
不能なので(当時なら余計に)、お芝居を見ても、
その自己中な言動にイライラするだけかもと心配
していました。

しかしこの作品は、家出(勘当)同然に福岡から上京
したはずの彼女が、実は「夫」や子を連れて実家に
何回か帰省していた事を踏まえて、その期間なの日々と
その変遷を描く、と言う、ちょっと違う切り口でした

東京での、多分、戦闘モードを絶えず強いられている
生活と違って、故郷では野枝も普通の家族らしい時間を
持てたでしょうし、親きょうだいも口で厳しい事を
言っても、みな野枝を心配し、所謂世間並の幸せを
期待しながら、破天荒な野枝と「家族」を受け入れて
いる様子が、逆に描かれていない東京生活の過酷さを
想像させました

凜さんの野枝はやや力みすぎて、彼女の良さが最大
には引き出されていないように感じましたが、炸裂
するパワーには目が釘付けになりました
ニコニコしていると穏やかな表情なだけに、ギャップが
凄かったです
語り手も担う、妹・ツタ役の松平さんの佇まい、
一族の中心人物である叔父役の横堀さんの度量、
最初に野枝の考え方に真っ向から対立する、祖母サト
役の土屋さんの安定感は、厳しさにフワッと巧まぬ
笑いを含めてもいて、さすがでした

気になったのは読みにくいタイトル。
海鳥である「かいつぷり」のことらしいのですが、
セットが野枝実家の居間だけで、全く海を感じさせる
アイテムも、なにかしらのメタファとしての、かいつぷりも
印象的に登場しもせず。
「伊藤野枝、ただいま帰省中」だけで全然問題なかった
気がして、わかりにくく、覚えにくいタイトルが
逆効果なだけだった気がしました

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