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2024.12.22

新国立劇場演劇研修所第18期生公演「ロミオとジュリエット」を観る

Romijuri

新国立劇場(小劇場)
今まで研修生公演は、見たことがなかったのですが、
今回、河合先生翻訳版「ロミジュリ」を、岡本健一
さんが演出されるとあって、見てきました。
萬斎さんの「解体新書」と同じような、高さのある
正方形舞台を、四方から客席が囲む形で、小道具は
「刀(に見立てた、リレーのバトンのようなサイズの
金属筒)」と「薬瓶」くらい

ひたすら叫び、走り回る俳優さんたち
間近なだけに耳も目も疲れましたが、見ながら、
蜷川さんのネクストシアターの旗揚げ公演「真田
風雲録」を思いだしました

研修所出身者を新国立主催舞台で拝見する事はよく
ありますが、伝芸系研修生と違ってその先で芸を
磨く師匠への弟子入りして学ぶ制度がある訳でも
なさそうなので、よくわかりませんが、この中から
広く活躍する俳優さんが登場されることを期待してます

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「血の婚礼」を観る

ImmhallKonrei

栗山さん翻訳作品には最早常連の、谷田さんお目当てに
水道橋・IMMホールへ

ホールの存在は何とな~く知ってはいましたが、
お笑いやライブ用で、エンゲキをやる会場としての
認識が全くなかったので、GoogleMAPで探しました(笑)

仮設風の建物でしたが、中の座席は予想よりはよくて、
見やすい傾斜は兵庫県立に似ているかも。
ただしロビーは狭く、特に2階には立つスペースのみ。
ACTのロビーっぽい

「血の婚礼」自体は結構よくかかる演目らしいのですが、
私は初見。
スペインの作家の作品と言うだけで、もう濃そうだな、
と予測がつきましたが、その通りで、身内と知り合いで
固まった狭い社会での、内向き内向きな愛憎劇でした

観た雰囲気がギリシャ悲劇風だったのは、やはり
栗山さんの演出だから、でもありますが、特に決闘
からの一連がメタファ表現する(戯曲指定)ところが、
使者の報告で表現するギリシャ悲劇に似ていると
感じた一因かも知れません

さて、トップクレジットは、レオナルド役の中山
優馬さんでしたが、どう見ても、誰がなさっても、
実質的主役は、「花嫁の母親」(レオナルド以外には
役に固有名詞の名前がない)ですが、他の登場人物も、
どこか一筋縄ではいかない人々ばかり。
花嫁は最終的に元カレに走り、花婿はレオナルドと
決闘して、二人とも死んでしまう
花嫁の父は、神経質な母親の神経を逆撫でするような
脳天気な発言ばかり
レオナルドのストーカー気質は言うまでもないですが、
何しろレオナルドの現在の妻は、花嫁の従姉。
源氏のひかるの君にとっての藤壺→若紫、と同じく、
レオナルドはひょっとすると、諦めきれなくて、
従姉に面影を見いだして妻にしたのかも
(結局我慢できないが)

それにしても、レオナルドが変な気を起こさなければ
穏便に運んだというのに、自分の行動を土地柄のせい、
自分のせいじゃない、みたいな事を言っていて、
全く理解不能。
ふと「ハムレット」で、ハムレットがレアティーズ
との仕組まれた剣の試合の冒頭で、レアティーズに
謝罪する
「ハムレットが悪いのではない、ハムレットの狂気が
そうさせたのだ」
と、屁理屈(笑)言うのと、かなり似ている気がしました
結局、双方の親が残される、と言うのは「ロミオと
ジュリエット」風ですが、と言って、大公がいない
ので、両家が和解する(した)かはあやしい。
何とも息苦しさ満杯の(誉めている)お芝居でした

そしてやはり冒頭からラストまで、母親役の秋山
菜津子さんから目が離せませんでした。
花嫁役の伊東蒼さんもレオナルドに徐々に心を乱
される様子を熱演でした

ちなみに後で書きますが、同じ日、昼に演舞場で
「朧の森に棲む鬼」を観たのですが、新・時蔵さんが
魅力的に演じた作品の肝であるミューズ、ツナを、
2007年の新感線版で演じていたのが秋山さん。
何年経っても意思のあるカッコいい役の似合う役者
さんだとしみじみしました

その大感激、「歌舞伎NEXT~朧の森に棲む鬼」については別項にて

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2024.12.16

三谷さんが河合訳「から騒ぎ」を翻案舞台化

来年、シスカンでやるそうです。
タイトルは「昭和から騒ぎ」

三谷さんはポアロシリーズを昭和初期の日本に翻案
されてのドラマ化を上手になさっていますが、ついに
沙翁の翻案。

オリジナルがかなり上手く作り込まれた、偏屈もの
ばかりの喜劇ですので、アレンジは最小限で大丈夫な
はずですが。

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2024.12.15

久しぶりにつまらない芝居を観ました

戯曲は有名
ですがなかなかな難易度で、個人的にはいままで納得
できた演出は一回しかない作品

今回は有名な演出家でしたし、大丈夫かなと期待
してましたが、正直良かったのはオシャレなセット
のみ

ベテランはともかく、若い役者が面倒なセリフに全く
ついていけてくて、ひたすら叫び走り回り、水浸しに
なり、熱演、なんでしょうが、演技力のなさが寧ろ
顕になり寒々しさしかなく、喜劇なのに途中で寝て
しまいました

チケット代がお手軽だったので、諦めもつきましたが、
帰路は寒さが見に染みました

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2024.12.12

「京の年中行事當る巳歳吉例顔見世興行」を観る

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京都四条南座、師走の風物詩「顔見世」

恒例のロビーの竹馬も、漸くコロナ前くらいまで
戻りました

今年も一座に千之助くんの姿はなくて残念。
残念と言えば、愛之助さんが舞台稽古で降りてきた
吊るしパネルに頭部をぶつけて顔面骨折の怪我での
休演
(当初期間中復帰を目指す、と報じられていましたが、
その後、結局、全休と発表されました)

しかしその代役を、定番の「京鹿子娘道成寺」なら
まだしも、「大津絵」と名題に入れてのアレンジ版の
「道成寺」の代役に立った壱太郎さんが、見事に
初日から踊りきったそうで、さすがプロ、です

「三人吉三巴白浪~大川端庚申塚の場」
11月に歌舞伎座で若手のを見たばかりですが、今回は、
孝太郎さんお嬢、隼人くんお坊、錦之助さん和尚。
孝太郎さんのお嬢はあまり拝見した記憶がなくて、
地声の凄みや、名セリフの啖呵がなかなか新鮮。
何より安定感の素晴らしさ
隼人くんはこう言う着流しが「大富豪同心」のような
映像なら大丈夫ですが、やはり舞台だと、長身が無駄に
目だって難しいところ
錦之助さんは和尚より、まだお坊でいけますね

「ぢいさんばあさん」
仁左衛門さん玉三郎さん版で見慣れた演目を、今回は、
中車さん伊織に、扇雀さんるん、と言う異色の組み
合わせ
「半沢~」の常務のような、明らかにクセつよ役柄の
多い中車さんがthat's忍耐、みたいな役柄なのも
珍しいですし、丁度再放送中のドラマ「坂の上の雲」
での子規のインパクトが強いので、なんだか俳句とか
始めそうにも見えたりも(笑)
とにかく、インパクトを消しに消しての辛抱役。
出せる個性を無理矢理ねじ伏せると言う演技力と、
我慢に我慢を重ねた伊織が重なる感じも最初はしたの
ですが、寧ろ今回見ながら思ったのは別のこと。
忍耐の人と思い込んでいた伊織が、よく考えると、
いくら掘り出し物とは言え、「京都に行ったら買うぞ」と
最初から予定していたとは思えない高価な太刀を、
よりによって京都赴任前からの知り合いで、「面倒な
奴」と
本人と周囲も思っていた同役の下嶋(巳之助さん)に
借金してまで買っている。
どうも衝動買いの気配強いの上に、思慮深いとは
言いきれない短慮。
金が足りないなら刀を買わない、せめて下嶋に借りずに
他から借りる、一番は、懐具合に見あった金額の
ものを買いさえすれば、30年以上も奥さんと別れ
別れにならずに済んだはず。
(来月には入金の目処はある、と言っているが本当か?)
中車さんの伊織で初めて、伊織の無計画さとか、
辛抱しきれない衝動と言う性格が(それを必死に隠す)
顕になった気がしました
扇雀さんのるんは、再会の老女姿に説得力があり、
若いものたちはいつどの配役でも爽やか。
最後のシーンは結局涙まみれになる、全くずるい
芝居です

「元禄忠臣蔵~仙石屋敷」
勿論、仁左衛門さんご出演のこれが今回の最大の
お目当て
しかし、何しろ真山青果作品です
理屈臭くて(失礼)、眠気が来るのが恒例の芝居なので
(「御浜御殿綱豊卿」とか、前半の富森の長セリフを
最後まで聞ききった記憶がない)大丈夫か自分?と
ちょっと不安でしたが、今回は杞憂でした
何しろ、仁左衛門さんの内蔵助に対して、厳しくも
的確な聞き取りをする仙石伯耆守役に、最強の真山
役者(と思ってます)梅玉さんが配役されていて、
最大テンションの緊張感が舞台に漲り、全く眠気の
起きる余地なしでしたし、それに対する仁左衛門さん
内蔵助も、基本、両手をついてひれ伏している中でも、
伯耆守や、配下の義士たちの一挙手一投足に敏感に
反応して、丁寧さとリアリティを感じました
また、舞台狭しと浪士役者が並んでいたのも凄い迫力で
(巳之助くんなどもほぼセリフのない役で出演とか
贅沢に過ぎる)、たぶん初めて青果作品完全覚醒でした(笑)

本当は「曽我綉侠御所染~御所五郎蔵」まで観てから
(「顔見世」はいつも終演時間が遅いので、夜の部
最後の「越後獅子」は最初から諦めていた)帰るつもり
でしたが、上演時間が発表されたら、「御所~」
終演からだと、どう考えても帰りの便に間に合わ
ないため、泣く泣く諦めてました
やはり「顔見世」観るなら、当日は宿泊するスケ
ジュールにするが正解ですね

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2024.12.10

さいたまシェイクスピアシリーズ、次作は「マクベス」

鋼太郎さん企画版(私の中では通称「2周目」)
第二弾は、「マクベス」と発売されました。
竜也くんタイトルロール、土屋太鳳さんレディマクベス
個人的には、ここ数作品、鋼太郎さんの大劇場演出
シェイクスピアを見てきて「ヘンリー八世」以外は
正直、ガチャガチャした感じに苦手意識を感じていて、
今回はもう見慣れた作品ですし、最初やめようかなと
思いましたが、キャスト一覧を見たら、久しぶりに
内田健司くんがさいたまに出演とあったので、内田くんを
見に行くことにします 

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2024.12.07

「白衛軍」を観る

HakueigunKumaz

新国立劇場 中劇場

帝政ロシアの解体後のウクライナ・キエフ(キーウ)に
おける政治(軍事)的混乱と悲劇を、一つの家族を
通して描いた作品。

今回はチケットを取った時から、さすがに予備知識
なしで観るのは無謀に過ぎると理解して、事前に公式
サイトの専門家の解説や、会報誌のインタビューで
ある程度予習してから行きました。
おかげで、大筋置いて行かれることはなかったですが、
それでも次々登場する、似たような出で立ち(軍服が
圧倒的に多い)の人たち(一人以外全員成人男性)、
何より、チェーホフでもトルストイにおいてもの
最大の難関、それぞれの名前、愛称のややこしさと
人間関係、勢力情勢がなかなか自分の中に落とし込めず、
一幕105分、二幕55分と言う長尺を、頭脳フル回転、
集中して拝見しました。
(因みにソワレ、18時半開演で終演21時半超え!)

紅一点のキャラクター、レーナ(前田亜季さん)が
既婚者にも拘わらず、関わるほぼ全ての男性キャラ
クターに告白される、とか、話の深刻さと裏腹に特に
組織の上層部たちの、かなりカリカチュアされた軽い
言動、そんな簡単に大事な決断しちゃう?と言う
ギャップは、戯曲自体の狙いだとは思いますが、
見た限りまだちょっと、笑いにくい場面に無理矢理な
ちぐはぐな感じもしました。
(初日に近かったからか)

役者さんは、大場さん、前田さん、大鷹さん、石橋
さん、釆澤さん、上田さんなど、他舞台でも拝見して
いる信頼できる方たちがたくさんおられ、特に

大場さん、石橋さんの安定感は、さすがは老舗劇団の
ご出身〔在籍)
また、若い方も新国立養成所出身の方を含め、場に
浮かない方たちばかりで安心して拝見できました

舞台最奥から手前に迫り出して来たり、回り舞台を
多用するなど、セットの複雑なつくりに加えて、
あちこちに登場する爆発の仕込みとか、美術が見事
でしたし、照明も効果的でした

物語の時代は100年以上前ですが、戦闘のリアルや
戦争の大義でなく、家族の事として描かれているのが
いま、毎日のニュースで起きている事とまさに地続きで
ある事をより身近に感じました。

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