« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »

2025.05.29

さいたまシェイクスピアシリーズ(2周目)「マクベス」を観る

SaigeiPoster_20250529074301Macbeth_20250529074301

前回「ハムレット」は体力的、プラス気力、劇場の
塩対応など、様々な理由で集中力が持続せず、やむ
無く一幕で断念しました。
与野本町まで行って、またあの思いをするのは勘弁
だし、しかも今回、シェイクスピアの中では短い
「マクベス」を鋼太郎さんが3時間超えでやると知り、
過剰系演出発動(笑)だとまた一幕までになるかも、と
ある程度用心?覚悟?して行きましたが、良くも悪くも
色々気になる事があり、最後まで見届けられました。

ガレリアでは、過去の国内公演の様々なシェイクスピア
公演のポスターが掲出されていて、懐かしい数々を
拝見しました。

さて「マクベス」です。
何と言っても照明!
今や新感線でないと滅多に派手なのを拝見できない、
巨匠・原田保さんの照明を、さいたま芸劇大ホールで
余すことなく楽しめたのがとにかく一番でした。
また、衣装を中途半端にスーツにしたりしていない
とか 心配?したより正統派の「マクベス」でまず
ひと安心(笑)

そして個人的に、「マクベス」では、「魔女」と
「ダンシネンの森」の見せ方が、演出家の腕の見せ
どころ、と思っているのですが、今回、前者は演出家の
特権発動(笑)、後者はやや拍子抜けな印象を持ち
ました。
まさか滑舌と長台詞オバケの鋼太郎さんにおいて、
魔女のセリフが、勢いと自己完結に負けて、雑に、
或いは後方とは言え一階席で聞き取れない日がくるとは
思いもしませんでした。
演出兼出演は、自劇団でもされているし、ましてや
手の内の筈の「マクベス」
何かちょっと残念でした

「ダンシネンの森」は、「近づいてきた!」と言う
セリフと共に、ずっと舞台左右に何枚か斜めに、
岩壁のように見える灰色の濃淡色の吊り壁的な布が、
バサッと一斉にバトンから全落ちして、奥行きの深い
舞台奥から、緑色のモジャモジャした森のような
オブジェが迫りだしてきました。
奥行きが舞台幅の倍はゆうにあろうかと言う、さい芸の
大劇場、せまりくる森の迫力を見せるなら、更に塊が
更に演者の上に覆い被さるとか、「ムサシ」的に
可動台にでも載って、演者にまとわりつくなどしたら
いくらでもこれはかなり怖いぞ、と期待?したの
ですが、緑の塊はそれ以上前にも出てこず、また
吊りものが落ちたために、逆に舞台全体が明るく、
奥まで機材が見通せてしまった分、寧ろスッキリして、
マクベスにのし掛かる不安や敵の不気味さには見え
なくなったのがちょっと残念。

藤原くんマクベスは、いつもの最強声帯駆使して健在の
テンションマックス芝居に、今回は「鋼太郎節」が
ちょっとミックスされましたが、こちらはまだ流石に
馴染まず「借り物」感強めかな(笑)

一方、意外な配役は後半、反マクベス派を率いる
大シーワード役の天宮良さん。
お若い頃から拝見していますが、割に中性的なイメージの
役の多い印象だったので、今回、配役を見ずに見て
いたため、途中まで間宮啓行さんかと思ったくらい、
頼もしく、度量の深い頼もしい武将を造形されてました
(こう言う役の横田さんを久しぶりに見たい!)

お目当ての内田くんはドナルペイン役
ダンカン王の次男で、兄のマルカムと違って、マク
ベス打倒に戻ってきた、と言う記述がないので、
役としてはマクベスの刃から逃れる時のセリフ二つ
しかありませんが、この役、最後に蜷川さんが再演
した時の「NINAGAWAマクベス」の時と同じでした
(持参していた戯曲にドナルペインのセリフに○(丸)が
付いていて、メモに日付が残してありました)

しかし、内田くんにしても、暗殺者役の堀くん、
ダンカン家臣役の鈴木くんと、ネクストシアター
出身メンバーが3人出演されていましたが、佇まいや
声ではっきりと判って相変わらす頼もしい。

さて、シェイクスピア芝居で時々あるのが、
「あれ?こんなシーンあったっけ?」と後から戯曲を
見直す部分が出てくる事。
筋だけ追うならカットされがちな脇キャラだけとか、
シェイクスピアあるあるの、言葉遊びや時代の流行
らしい割と分かりにくい部分、繰り返しとかが当て
はまりますが、今回も4幕1場、マクベスが魔女たちに
よって、ダンカン王の亡霊がゾロゾロと様々なアイテムを
手に行進する幻影をマクベスが見て戦く部分が舞台に
出ました。
普通ならカットか、幻を見せられている、とセリフ
だけでわかりますから見せなさそうですし、暗がりの
小劇場(「倉」とか)ででも上演されたら怪談話みたいに
見えそうですが、顔はみんなトランプのキングの
ような取って付けたようなカイゼル髭で、照明はっきりの
大劇場では却って可愛く見えてました(笑)

さて、最後はその戯曲、セリフのこと。
一幕終わりの、マクベスがレディにぼやくところの
人称問題
河合先生も松岡先生も、原文「We」に従って「二人
とも」(松岡訳)「俺たち」(河合訳)で、レディとマクベス
共謀、一蓮托生感が強いですが、小田島訳をベースに
している今回の鋼太郎さん版では、「おれ」と一人称
でした
一幕5場で気後れするマクベスを焚き付けるのは
レディなので、今回も前半自信満々に造形された
レディを前に「おれ」となれば、明らかにレディに
対して「まだまだ」な感じなのかも知れません

ふと今回、鋼太郎さんたち魔女の、派手派手衣装を
見ながら、レディには魔女の魔法が事前にかかり、
乗り移ってマクベスをダンカン殺人を吹き込んだと
言う隠し設定があったのかも、とも感じました。
新感線版「メタルマクベス」では魔女とレディが
同一シーンに登場しないのを利用して、レディが
魔女の一人を演じる演出もありましたし

ともあれ、とにかく最後まで見られただけで今回は
満足です(笑)

| | コメント (0)

2025.05.22

ドラマ「あきない正傳.金と銀2」に花形歌舞伎役者役で千之助くん登場!

最近、歌舞伎舞台ではなかなかお目にかからない
片岡千之助くん、「光る君へ」の敦康親王役に続いて、
先週のNHK時代劇「あきない正傳金と銀2」にご出演
今回はヒロイン・幸の呉服店「五鈴屋」江戸支店、
勝負の新製品「鈴小紋」に関わる、人気歌舞伎役者役。
折角、歌舞伎役者さんが歌舞伎役者役なら、舞台
場面も見たいところですが、今回はなし。
劇中では中村座で「道成寺」をやる設定なのて次回も
ご出演なら期待します。

「道成寺」と言えば、今月の歌舞伎座の「三人道成寺」も
華やかでしたが、吉田修一さんの小説「国宝」の
映画化の予告映像をちらっと見ましたが、今時の、
メリハリのある、シュッとした顔の俳優さんが白塗り
すると、美しいと言うより、違うジャンル?に見え
がちですが、吉沢亮さんの道成寺姿、まず顔が違和感
ないのが良いのが素晴らしい。
また、ベテラン人気女形・小野川万菊役の田中泯さんの
「鷺娘」?写真も見ましたが、確かに本職がダンサー
とは言え、あれ本当に泯さん?と言うくらいしっかり
女形さんに見えてすごい(先代の京屋さんの気配)

原作は発売時に読みましたが、文庫のカバーに映画
ポスター版がかかったので、思わず買いました。
見に行くまでに一度は読み返す予定

| | コメント (0)

2025.05.20

「マハーバーラタ戦記」再演版オンエア

歌舞伎の「マハーバーラタ戦記」、待ちかねていた
23年の再演版が衛生劇場でオンエアされています

初演との最大の違い、そしてファン最大のサプライズ
だったのが、芝のぶさんの鶴妖朶(づるようだ)王女!

この芝居の主人公、迦楼奈(かるな)に深く係わる
重要な役でありながら、初演の鶴妖朶役だった七之助
さんが再演に出演されないのが事前に判っていたので、
誰が演じるのかが気になってはいたものの、歌舞伎
界の悪弊で、チラシに一切出なかったため、劇場に
行ってびっくり!
しかも抜擢に応えての大活躍だったのに、それから
では手を出せるリピートチケットがなく、悔しい
思いをしたものです。
(この悪弊については、4月の「木挽町の仇討ち」も
そうでした。
染五郎くん演じる主人公の母親役だったらしいの
ですが、やはりチラシに名前がなく、迂闊にチケット
一回しか持っていなかったのが、「七つの会議」
案件でチケット飛んだため、生で見そびれてます。
「並びの傾城」や「新造」「女房たち」と違って
きちんとした役がついている役者さんは、もう少し
番付上でもちゃんと扱って頂きたいです!)

何しろ結果として芝のぶさんは、この役と、もう一つ
「F F X」歌舞伎の演技で、この年の「読売演劇大賞」
に個人としてノミネートされ、最終的に「審査員
特別賞」を受賞!されていますので、ほんとに勝手に
悔しい(涙)

さて、話は逸れましたか、録画したので、もう鶴妖朶
さまパートばかり再生してます(笑)
セリフがたくさんあるし!(笑)
しかも、七之助さんはなさってないのですが、再演版
では、ラクシュミー役も兼ねていて、冒頭から登場
ラクシュミーは日本で言うところの美神・吉祥天
ですから、もう眼福眼福、でした

それにしても「マハーバーラタ」を含めて、これに
限らず、神話系の物語は、世界観が壮大な上に登場
人物がたくさん。
普段見なれない聞きなれない名前が多くて、ちょっと
気を抜くとすぐ話が見えなくなるので大変(笑)ですが、
こうやって生身の方がなさって下さると、やはり
頭の中での変換力があがるので、理解が深まります(笑)

特に片仮名名前は、読めなくても字面の塊で理解
できる漢字名前より情報量が少ないのでより大変
(神話に限らず、ロシア文学とかあるある)
今回のおかげで、僅かでも「マハーバーラタ」の
世界に触れられて良かったですし、もう少し日本の
神仏との関連の理解を深められたら、更に楽しめる
かも。

しかし、本当に芝のぶさま、カッコよ、でした(笑)

| | コメント (0)

2025.05.17

必見!NINAGAWA MEMORIAL「リア王」

今年秋にBunkamura企画で、コクーン前芸術監督の
蜷川さん生誕90年記念、“NINAGAWA MEMORIAL”と
題し「リア王」が上演されると発表されました

キャストを見て、このサブタイトルに偽りなし、
と納得
何しろ、これまでの蜷川さん作品出演者が勢揃い
まずタイトルロールは、大竹しのぶさん、ゴネリルを
宮沢りえさん、ケント伯が横田栄司さんで!、道化が勝村政信さん、グロスター伯爵に山崎一さん!
(山崎さんは蜷川さんの平幹さんリア時は道化で出演
されてました)
さらに西尾まりさん、大場泰正さん、松田慎也くん、
青山達三さんと、「蜷川組」をメインに安心しかない
顔ぶれ

他にリーガンは安藤玉恵さん、野心家エドマンドに
成田凌さん、コーディリアに生田絵梨花さん、エドガーは
鈴鹿央士さん、

2つ3つ舞台を我慢してでもよい席で見たい顔ぶれ
ですが、これが蜷川さんならともかく、海外の演出家
さんなので、個人的には相性がなかなか難しいところ

<公演情報>
Bunkamura Production 2025
DISCOVER WORLD THEATRE vol.15 『リア王』
NINAGAWA MEMORIAL
作:ウィリアム・シェイクスピア
上演台本・演出:フィリップ・ブリーン
出演:大竹しのぶ、宮沢りえ、成田凌、
生田絵梨花、鈴鹿央士、西尾まり、大場泰正、
松田慎也、和田琢磨、井上尚、吉田久美、
比嘉崇貴、青山達三、横田栄司、安藤玉恵、
勝村政信、山崎一

【東京公演】
2025年10月9日(木)~11月3日(月・祝)
会場:THEATER MILANO-Za
【大阪公演】
2025年11月中旬
会場:SkyシアターMBS

THEATER MILANO-Zaも初めて
あとはとにかくチケット代次第(笑)

| | コメント (0)

東京国立博物館「蔦屋重三郎~江戸のコンテンツビジネスの風雲児」展は「べらぼう」の「副読本」

「耕書堂」セットまで堂々作り込んであり、NHKとの
タイアップ丸出しですが(笑)、江戸浮世絵と、それに
まつわる江戸文化特集、となればやはり興味あり。
どのみち「日曜美術館」で取り上げられれば(案の定、
先週オンエア)更に混み、印刷物をじっくり見る楽しみが
半減するので、初日に行ってきました

まず笑ったのは、グッズ。
写真の謎のぬいぐるみ?フィギュア?こそ、あの写楽の
「江戸兵衛」を立体化?したものなのですが、売れるの
でしょうか?(笑)
まあ国博は最近、グッズに不思議なアイテムを紛れ
込ませる(だいたい割と大きいものばかりなので、
紛れて、はいないかも)傾向にあり、以前は「鳥獣
戯画絵巻」形や「百鬼夜行絵巻」形の抱き枕とかあり、
後者など安眠できるのか?と思いました。
今回も、懲りず?これとか「和綴じ本形ぬいぐるみ」
とか「金太郎どんぶり」とかを売っていましたので、
一定のニーズはあるのかも

第一会場は入口が吉原大門、入ると桜の植え込み、
第二会場の入口には耕署堂の暖簾が下がっていた
のは粋。

会場には蔦重の関わったアイテムがほぼ時代順に
並んでおり、ドラマで見た通りの?「吉原細見~嗚呼
お江戸」、「一目千本」、そして最初のものだけに
蔦屋印がある「雛型若菜初模様」などが最初にドン。
いや正確に言えば、後二者はそれぞれ、北尾重政の、
磯田湖龍斎のもの、として既に知って見てきたもの
ですが、今回ドラマで成立のなりゆきを見せられて
いるだけに、また違う印象があります
(「金々先生」とかも)
また、既に劇中にちらっと出てきている「娼妃地理記」
とか「文武二道万石通」と言った作品など、「あの」
喜三二先生のものもしっかりと(笑)。

中盤からは、これから大活躍間違いなしの、歌麿の
「虫えらみ」や美人大首絵の数々、後半はこれから
登場?の写楽の作品を、デビューの大首絵から「活動
休止」までかなりたくさん揃えていて、これらが
ドラマでも重要なアイテムである「予告」と
理解
しました(笑)

この展覧会自体、ドラマに登場するアイテムもたくさん
実物が見られる「べらぼう」の予習復習のための
豪華すぎる「立体副読本」ととらえるのが一番当たって
いる気がします。

若干嫌味な言い回しですが、作者と言うカテゴライズ
ではなく、「版元」蔦重と言うような切口での展示
ででもなければ、一枚物の版画はともかく、細見や
読み物類をここまで揃えて見られる機会もなかなか
ない訳で、その意味ではユニークな展覧会でした

なお、企画展会場内ではセットとパネル以外撮影禁止
でしたが、会場外、料金内で見られる、本館の総合
展示の、個人的には実は一番お気に入りの浮世絵会場
にも、ちゃんと?写楽の大首絵が何気なく(笑)展示
されていて、こちらはフラッシュたかなければ撮影可
なので、しっかり撮影してきました。

まずは写楽を人、で出すのか、蔦重プロジェクト?で
出すのか
前者ならまだ発表されていないキャストが楽しみですし、
後者なら歌麿をどんな画風も完璧キャラクター、
で出しているのが布石になりそうで、どちらにしても
森下さんの周到な企みが見られるでしょうから今から
楽しみです

| | コメント (0)

2025.05.09

国立公文書館「書物がひらく泰平~江戸時代の出版文化」展

Kobunshokan1KobunshokanKuniyoshi_20250509075501

国立国会図書館には、日本中の出版物が集まる知の
総本山、学生時代から勝手に憧れ、「一度でいいから
調べものをしに行ってみたい」と思ってましたが、
そんな大層な調べものをする機会もないまま今に
至ってます(笑)

その国会図書館の関連施設がこの「公文書館」
時々、館蔵の貴重な資料の展示をしているのは知って
いましたが、内容が専門的過ぎる印象で、なかなか
行く機会がなかったのですが、今回は、話題の(笑)
「お江戸の出版事情」特集と聞いて初めて伺って
きました

入館は無料。
水分持ち込み禁止、は、紙を扱う施設ならではとは
思いましたが、貨幣博物館もでしたから、国の機関の
スタンダードかも。
館蔵品は撮影okでしたので、コインロッカーにスマホ
以外放りこんで、いざ入場

勿論、いきなり蔦重にはいかず、重々しくあったのは、
家康公が手元に置かれた「新刊吾妻鏡」。
しかしちょっと進めば、蔦重、西村屋、鶴屋、須原屋と
「べらぼう」の誇る?クセ強キャラクターたちの、
意地と人脈とセンスの結集が次々と
文句と嫌味と嫌がらせばっかりやってる訳ではない(笑)

しかし、個人的なによりは、国芳先生の「源氏一統志」の
挿し絵!
一枚ものの刷り物と違い、挿し絵ものはなかなか
見られないので、本当に貴重!
他にもあの?「一目千本」の北尾重政の作品なども
あり、 ものすごく細かいものを間近で思う存分じっくり
見られ、大満足でした。
また機会があれば行きたいところが増えました

| | コメント (0)

2025.05.07

「八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助襲名披露團菊祭五月大歌舞伎」を観る

Cid1792bac5184e4f40a374d1ab9cd1caaeCid811bd07c138e42baa663c583e1f8b242Cid94968c3f49594cdfa9781a1c63a238f5Cid2e84ea2820014030aecd95fc98322224Cid46e0830f7ea542f29c674c7f5a4f50e5Cid68b2242bf82a470aad9f8e1982b60d11

年内いっぱい続く、菊五郎と言う大名跡の八代目
襲名披露の初月は、音羽屋所縁の「白浪五人男」、
そして舞踊の名曲「道成寺」から

先月、「七つの会議」案件(笑)で、チケットが敢え
なく紙切れとなり、夜だけ二等で取り直したため、
2月から3ヶ月ぶりに「いつもの」3B席に。
やはり常連さんが多いので観ているあいだ格段に気が
散りません
(お隣さんのお行儀が随分よろしくなかったですが)

祝い幕は雲上の富士山全景と言うオーソドックスな
もの。
最近の襲名祝幕は、現代的センス、ではあろうけれど、
歌舞伎座のあのスペースのサイズ感、格式に対して
どうなのかな?と言う、ちょっと奇を衒い過ぎる感じの
ものが多くて、やや食傷気味だったのですが、さすが
音羽屋さん、と勝手に安心(笑)

昼の部は「道成寺」
以前八代目と玉三郎さんによる「二人」は見たことが
ありましたが、今回は更に新菊之助くんを加えての
三人で、と言う新機軸。
経験も体格も「お兄さま方」と遥かに差のある新菊之助
くんを交えてどう演出するのかなと思っていましたが、
新菊之助くん、本当に丁寧に、一つ一つ、形、動きを
されていて、また、すっかりひきしまった顔つきで
頼もしく見えました。
目の感じが何となくお祖父ちゃんの播磨屋さんに似て
見えたのは、贔屓目かな。
それにしても、いくら襲名とは言え、所化が無駄に
豪華すぎ(笑)
新悟&児太郎の女形コンビなんて、今月この一役って!!(笑)

夜の部は「白浪五人男」。
「浜松屋」
やたら段取りの多いこの芝居を、段取りと見せずに
するのが、多分、役者の見せ所ですが、八代目は既に
何演目かなので、安心して見ていられました。
それよりびっくりは、團菊祭と言うからには、てっきり
八代目弁天に團十郎南郷、幸四郎駄右衛門だと勝手に
思っていたので、ちょっと面くらいました
(配役を予め見てなかっただけの事なんですが)
團十は駄右衛門で、南郷は松也くん、高麗屋さんは
そもそも出演劇されておらず
意外。
勿論、松也くん期待に応える安定ぶりだったので何の
問題もないのですが。

それはさておき、こちらも襲名らしく、脇の端端まで
役者が揃っていて、何しろ、悪次郎が亀蔵さん!
「浜松屋」しかやらない時とか、秒で消える役ですが、
本当は5枚揃いの可愛い(笑)着物、受け取りまで行って
くれた(多分)のに、一味を裏切って、「大屋根」で
ちゃんと香炉を投げ捨て、弁天との立ち回りにも
ちゃんと?登場してました
ベテラン身体を張ってますね~
萬太郎くんの若旦那に、歌六さんの幸兵衛、橘太郎
さんの番頭、松緑さんの鳶頭!
ここまで揃うともうありがたい、しかありません。

「浜松屋」と「極楽寺大屋根立腹」「滑川土橋」は
普通通りでしたが、「稲瀬川勢揃い」のみ、新菊之助
くんと、同世代のジュニアたちによる「ちびっこ五人男」
と言う、いかにも襲名ならではの趣向
「ちびっこ五人男」と言えば、60年ちょっと前に
雀右衛門さん(駄右衛門)、勘三郎さん(南郷)、三津五郎
さん(弁天)、萬壽さん(赤星)、又五郎さん(忠信)のが
あったと聞いたことがありますが、今回は、新菊之助
くん弁天、新之助くん駄右衛門、眞秀くん南郷、
梅枝くん赤星、亀三郎くん忠信。
眞秀くんは着丈がかなり短くなっていたので成長期
なのかも、な一方、梅枝くんは蛇の目で全身隠れる
ちっちゃさで、必死に柄を握る姿だけで可愛い(笑)
新之助くんはそろそろ声がわり?亀三郎くんは前から
気がついてましたが(笑)本当にお父さんのフィギュア
みたいでした(誉めてます)

私は趣向に面白がれましたが、そうと知らずに見に
こられたらしい近くの席の二人連れの方は、「何でここだけ子役でなの?自分の子供を見せたいの
かしら?」
と不思議がっておられました

「極楽寺大屋根立腹」の派手な立ち回りにガンドウ
返し、からのせり上がって「極楽寺山門」上下の
やりとりは、「楼門五三切」ともうごちゃ混ぜですが(笑)
お約束。
まあこれもそうと判ってなければ「なんのこと」
ですけど。

「滑川土橋」
ここで漸く七代目登場。
八代目も無理矢理(笑)伊皿子七郎に「転生」して
再登場して、何とな~くめでたい感じにして幕。

昼はあと「三人吉三」を拝見
時蔵くんお嬢は、真女形さんにしては意外に最初から
女子モード少な目、喧嘩上等度高め(笑)
思い出しますね「朧~」のツナ殿(笑)
彦三郎さんのお坊との組み合わせを見ると、つい
「彦山権現~」のお園と微塵弾正と気合のいった
立回りを思い出しました。

来月は「車引」「寺子屋」、そして仁左衛門さん
ご出演が楽しみです。
チケット取り頑張らなくては!

| | コメント (0)

2025.05.06

「仙洞御所」を参観する

Cid200451a49ca049aabec9d0c70a3d21c7Cidfa3c4a78e4b846b69f84411e983c8a15Cide1bf8f8763f34b9b80cec36fefb19c1bCid8e3f7541022244a5bdbc5902ea46cfa4Cid438808426efd4534822a8db7de2107e4Cide8abf00f8b15424f988142099fd851cb

宮内庁管轄の離宮や御所の庭園拝見は、長く葉書に
よる抽選制で、学生時代にビキナーズラック的に
紅葉まっ盛りの修学院と桂離宮を一日でダブル参観
した事がありましたが、以来伺っていませんでした
最近、京都観光の混雑が酷く、回避の方法のひとつに
予約制を取るところを選んだりしていますが、お目当てが
花や紅葉の場合、予約段階ではタイミングや天気の
見極めが難しく、また夜間はライティングの良し
悪しもあり、更に有料の場合は前払いなので、外れると
ちょっと損をした気にも。
で、去年の晩秋の京都の仕舞い紅葉見物を叡電沿線と
決めた時に、当日券(決めたのが間際過ぎて抽選当たらず)で
飛び込んだ久しぶりの修学院が素晴らしかったので、
今度は今まで一度も伺った事がなかった仙洞御所に
行くべし!と、早めに日程を決めて抽選に申し込み、
春の仙洞御所に伺ってきました

仙洞御所の季節の花の名物は池にかかる橋の屋根を
覆う二種類の藤だそうで、そちらはまだでしたが、
桜の大木は数本あり、また庭自体の美しさ、洲浜の
石の大掛かりな集め方や、何気なく配置された巨大な
石灯籠の寄進の経緯とか、また御殿の建物が和風の
外観ながら内は英国のエドワード皇太子の宿泊のために、
ガラス戸とカーテンをはじめとして、洋風に改装
している、とか、とても面白いものでした
(修学院もですが、宮内庁施設見学には必ず職員の方が
グループごとについてスポットでの説明があり、
列の最後尾には皇宮警察の方が、参加者が集団から
離れたり、迷子にならないよう目配りされています)

良く手入れされた素晴らしいお庭を、混雑を気にする
ことなく心行くまで楽しませていただきました

| | コメント (0)

京都のお花見

Cid9f66b1db02e347aa8674aa76ed5152beCidb0147513c70849c391334d2ec33bcb6eCid2061a46c1b514be29088d3091bf5ae63Cid0304e038751b4c888ca12d6da23645b5Cid24d78e67686747e49f401efd36c1eaa3

ちょっと前に京都にお花見に行ってきました

最近の京都の攻略ポイントは何より「ずらす」

今回は「仙洞御所」の予約で参観日時が決まって
いたので、京都駅や他の混む観光スポットには近づかず、
「仙洞御所」前後に周辺の桜のポイントを集中的に
回りました

勿論、周辺の最大の桜ポイント、は京都御苑自体。
「仙洞御所」「京都迎賓館」は予約が必要ですが、
「京都御所」は予約なしで参観可能ですし、御苑
自体は無料
四季折々の植物が、敷地も広く、玉砂利の歩道?も
超幅広なので、ちょっとくらい人がたくさんいても
全然気にならないし、そこここにベンチもあるので、
本当に有り難い場所

ソメイヨシノは満開を過ぎていましたが、枝垂桜や
八重桜は、枝を遠慮なく広げて咲き揃い、御所の
築地塀や門と桜のコントラストも美しく見事で「絵葉
書みたい~」とひたすら悦に入っていました。

仙洞御所参観のあとは、「月刊京都」に枝垂桜の名所
と紹介されていた「本満寺」へ
仙洞御所から歩いて15分ほど
後から見ると、叡電の「出町柳」駅からも徒歩圏
出町柳駅は良く利用してますが、ちょっと行けば
こんなお寺があったのは発見でした。
巨大な枝垂桜は門を入るとすぐ。
見事な枝振りが青空に映えて、桜拝見だけなら無料と
言うのが申し訳ないくらい

次は、本満寺から相国寺の寺域の北側に沿って西に
向かい、妙顕寺と本法寺へ。
どちらも寺域一帯に様々な種類の桜が鐘楼に映えて、
フォトジェニック。
おしまいに西のはずれ、水火八幡宮の小さな宮域
ほぼ一杯の大きな桜の木を拝見し、目の中は花で満杯に

歩いた距離もなかなかでしたので、帰りはさすがに
バスで京都駅に出ようかと思ったのですが、甘かった(笑)
京都のバスは本当に大混雑
遅れるし、来ても満杯で乗れないしと、市の「バス
以外でも観光できますよ」アピールもまだまだ効果薄
(でも最近、地下鉄に以前よりはインバウンド客は
増えてはいる)で、全くあてにならないため、結局、
丸太町駅まで歩いて地下鉄で京都に戻りました。

しかし、春の京都御苑、無双でした。

| | コメント (0)

« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »