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2025.08.31

大阪松竹座、来年5月に「閉館」

寝耳に水、です
理由は老朽化、だそうですが、かなり丁寧にメンテ
ナンスされてましたし、先代の歌舞伎座に比べたら、
全然大丈夫なレベル
大阪における歌舞伎の牙城をなくして、松竹はどう
するおつもりなのか(怒)

確かに真ん前は消防署で時々サイレン音しますし、
何より周りがハデハデ看板に囲まれたキッチュその
ものの道頓堀の歓楽街、と、行くにもなかなか気の
重い立地なのは確か
(江戸の芝居小屋の立地はみなこう言う繁華街だった
そうですが)、
また、再建するにしても劇場以外の用途に転用した
ほうが利益は出そうです。

勿論、他の劇場で公演は引き続き、とか書かれてますが、
専用劇場を使えていない今の国立劇場の歌舞伎公演の
内容はともかく、情緒のなさを見れば、そのデメリットは
明らか。
また、松竹座の夏の歌舞伎公演に「関西・歌舞伎を
愛する会」とネーミングされている経緯を考えれば、
そう簡単な話でもない気もします。

伝統や文化は、一旦手放し途切れたら、そう簡単には
元に戻らないし、何より定期的に公演が行われる、
と言う気持ちの支柱が失われる事がないよう祈ります

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2025.08.27

三谷文楽「人形ぎらい」を観る

Ningyokirai

PARCO劇場

三谷さんの前回の文楽コラボ「其礼成心中」は見逃
していて、10年以上経っての今回の新作ですが、
二作目ができるとは思ってませんでした。
ただ、考えると「絶対に不祥事を起こす可能性がない」
文楽人形さんは、三谷さんには「絶対に裏切られる
事のない信頼度の高い役者さん」なのかも知れません

客層は三谷さん作品にしては若干年齢高めか。
文楽と
言う事で若いファンが少なかったのか、三谷ファン
自体がいよいよ年齢層が上がったのか(笑)

今回の主人公は通称「陀羅助」と呼ばれている頭〔かしら)の
人形。
陀羅助と「源太」「姐さん(老女方)」「お福」と今回
出演?の四人は、関西のある劇場で上演中の「槍の
権三重帷子」に出演中
しかし、毎回繰り返される報われない(陀羅助さんは
だいたい性格のちょっと拗れた仇役がふられがち)
役柄に、陀羅助さん遂に
「顔で役が決まるなんてルッキズムだ」
「もうやってられない」
とキレはじめる。
さらに二枚目役専門で今回も主役、姐さん演じる?
おさゐといい関係の権三を演じる源太さんも不測の
事件に巻き込まれ?、売りの花の顏(かんばせ)に
傷がつき自信喪失。
「人形のパラダイス」と信じた「東京の人形町」を
目指して「家出」、さて、どうなる(笑)

まあ筋は粗っぽいし、日程前半だったからか、若干
展開がモタモタした感じもしましたが、
「後ろの三人の人形遣いがいないと動けないって
判ってる?」と陀羅助が他の人形に言われて、振り
返って人形遣いさんに気がつきびっくりする、とか、
〔人形遣いさんもリアクションする)、人形遣いさんが
走り疲れて人形を置き去りにしそうになるとか、
東京に行くなら人形遣いさんの分の席も要るよね、
とか、語りの内容に不満な人形が、太夫の台を「何で
そうなる」と何度も見上げるとか、普段の文楽舞台
では無意識に「ないもん」と思っているを、あえて
「あるもん」にしてメタシアター的に見せる内容が
とても面白く新鮮でした。
何より人形遣いと人形の関係は、
「芝居は登場人物だけではなく、裏方のスタッフさん
なしでは成立しない」
と言う事に繋がるな~と思いながら見ました。

勿論、通天閣に登ったり、スケートボードに乗っ
たりと、普段の公演では見ないシーンもありましたが、
三谷さんは
「人間にできて文楽人形にできない事はない!」と
インタビューで仰ってましたが、狐の精になって空を
飛んだり、海中を自在に泳いだり、と、私には寧ろ
「人間には舞台上でできない事すらできる」
ように思われますので、スケボーなど朝飯前、
でしよう(笑)

陀羅助さんたちは結局、自分たちの役割と限界を
理解しての決断をしますが、
「主役は主役、脇役は脇役」
「見た目で配役する」
と言うのは、文楽人形に限ったハナシ、と言うより、
ニンゲンさまも同じ事。
更に実力とは違う力が(多分)絡んでいるのなど複雑
怪奇。
更に見た目で重宝されて他の人ができない経験を積み、
気がつけば「実力派」「大御所」と言われたりして
いるのを見ると
「そこまで待てるか」なのか
「長続きも実力のうち」なのか。
色々考えさせられました

因みに、源太さんの「後の顔」はパンフレットを
買ってないので何か別の人形の頭なのか(にしては
見かけない平凡すぎるカシラ)、作品オリジナルか
だけがいまだに確認できていないのが惜しまれます(汗)

そう言えばお近くの席の方は、三谷さんに引かれたようで、
今回初めて文楽見られたようでしたが、帰りには、
ロビーに置かれていた今後の国立主催公演のチラシを
手に、連れの方に
「次、これ、見に行こう」
と話をされていて、内心シメシメ、ニヤニヤして
ました(笑)


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2025.08.24

ミュージカル「ある男」を観る

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池袋・ブリリアホール

ホリプロは時々、輸入作品でなく、日本発の作品を
オリジナルミュージカルに仕立てる試みをされて
いますが、これもそんな和製オリジナルミュージカル
(初演)。
以前に同じ劇場でやった「デス・ノート」も、やはり
初演を観た記憶があります
その時は「デスノ」が好きで観た訳ではなく、鋼太郎
さん(多分、当時初ミュージカルでリューク)、小池くん、
濱田めぐみさん、鹿賀さんと、キャストに馴染みが
あったからで、ストーリーもよく知らないないまま
見ましたが
「寧ろよくこんな奇想天外な話をミュージカルにしたなぁ」
と言うのと
「明らかに、めぐさんの盛大な無駄遣いだわ(笑)」
しか記憶になし(笑)

今回は、平野啓一郎さんの原作小説も既読、窪田正孝
さん&妻夫木聡さん&安藤さくらさんでの映画化も観賞
済みと、私にしては珍しく事前情報はばっちり。
寧ろ、派手な絵面が舞台映えした「デスノ」に比べて
動きの少なく、主人公たちに特殊能力もない、市井の
人たちしか出てこないこの小説が、どうやってミュー
ジカルになるのか、の方が関心がありました

結論から言えば面白かったです
途中、キーパーソンとは言え、鹿賀さん演じる小見浦の
登場シーンが、ピンクでファンキーに過ぎ、「サイゴン」の
エンジニア登場シーンみたいな演出で、それまでの
シリアスとのギャップでびっくりし、
「まさか、そっち方面に舵を切る展開だったの?」
と面食らいましたが、杞憂にすぎず(笑)
そこだけ浮くレベル、でしたが、ちょっと中途半端で
ムズムズしつつも、胡散臭い「関西弁」をミュー
ジカルのリズムに載せて歌うのはオリジナルならでは
また、後半、鹿賀さんは全く違う役柄で再登場された
のですが、衣装も髪かたちも小見浦と全く同じなのに
別人に見えたのはさすがのスキル、でした。

日本では、この物語のような事が実際にあるのか
私には判りませんが、昭和においては清張の「砂の器」の
ようなミステリー作品に登場する古典的手法の一つ
この作品では、その行為の是非を問う、と言うより
背景はともあれ、事実そこにある人物が存在していた、
と言う手触りや、誰か判っていても本当に幸せなのか、
何より、誰にでも見に覚えのある「こう言うひと」と
貼られるレッテルと自分の違和感、そんな事を見ながら
感じました

「探す」弁護士役の浦井くん、「探される」X役の
小池くん、物語の構造的には出会うことはないのですが、
そこは舞台、アイデンティティを問う時空を越えた
ハーモニーが楽しめました
脇は安定のメンバーで、特にXと入れ替わった「本物」の
大祐役の上川さんの一曲は本当に破壊力迫力がありました

欲を言えばまだ日程が浅かったからか、場面ごとの
トーンにバラツキがあったのと、逆に全体は暗い
ハナシなのでもう少し緩急があってもかな。
(だからといって小見浦さんのあのシーンがあれでOK
とは私の中ではならないですけど)


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2025.08.17

夏バテは経済的損失(汗)

8月に入ってすぐに引いた夏風邪が長引いた上に
こじれました
丁度会社は夏休み。
病院で貰った薬を飲み、家で大人しくしていれば
何とかなる筈、が、今回は何故か呆気なく脱水症状
まで引き起こし、結局、ふらふらの状態で休日診療の
当番医(偶然御近所だった)にたどり着き、点滴を
受ける羽目に陥りました
何とか翌日午後には回復し始めましたが、
「明日になっても良くならないようなら遠慮なく救急車を
呼びなさい」と医者に言われるレベルでした
蓄積していた疲れに風邪がだめ押ししたのかと思って
いましたが、医者曰く、脱水の原因は
「多分追加で飲んだ薬のせい」

元々のその薬との相性、と言うこともありそうですが、
薬の副作用で出た吐き気で、水分を摂る気にもなら
なくなったのが良くなかったようです

しかし、休日診療まで受けて医療費が余計にかかった
だけでなく、折角の夏休み前半~!と意気込んで
取っていた、さい芸の成河くんパフォーマンス公演と
歌舞伎座「二部」「三部」(「一部」は元々取ってない)を
やむを得ず「病欠」しました(悔)

休日診療代も含めて全く痛い損失、ついでに舞台も
見逃す精神的ダメージを痛感させられました

来月は「歌舞伎座『菅原伝授手習鏡』祭」
今月以上に健康留意しなければ!

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2025.08.14

国立文楽劇場「令和夏休み文楽特別公演」(二部・三部)を観る

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国立文楽劇場

第一部は夏休み恒例、小さい方にも興味を持ちやすい
知られた話を、文楽の技で見せる「親子劇場」企画で、
今年は「西遊記」をなさってました

第二部は「名作劇場」と銘打って、一転、古典を
じっくり見せる企画
今年は何と「一谷嫩軍記」と「桂川連理柵」の二本立て!
開演から終演までざっくり4時間!
企画名に名前負けしてないコスパ最強な内容ですが、
普通ならそれぞれで一部ずつでもやれる長さのを
二段重ね、とは、ガチでやるにも程がある、国立
文楽劇場(笑)

「一谷~」いわゆる「熊谷陣屋」
丁度、目と鼻の先の松竹座の年イチの恒例歌舞伎、
八代目菊五郎の襲名披露公演の演目の一つで、仁左
衛門さんが熊谷をなさっていて、(「勿論」この翌日
こちらも拝見)。人形と仁左衛門様の「競演」も今回の
お楽しみでした

文楽はいつもながら「モノガタリ」「語り」の面白さ。
また、歌舞伎では省略されている(のが当たり前だと
理解していた)藤の方、相模、熊谷、それぞれの心理、
やりとりが、より丁寧に語られる事で、「そう言う
事だったか」と理解が深まりましたし、また、続けて
見たら文楽と歌舞伎、段取りや解釈が微妙違っている
部分が思った以上にあって(ゴールは同じ)、それ
ぞれの面白さに気づけたのは、連続観賞ならでは
でした。

「桂川連理柵」は、文楽では定番ですが、歌舞伎
では見た記憶のない作品。
(人形ならまだしも、生身のヒトだとやっぱり、リンリ
的にやりにくそうな設定だからか)
細かい心理ものなので、本当に物語を読むような
面白さがありますが、毎回トゲ的に感じるのは、
ラスト前。
結局、主役二人はラストで心中する(これも文楽の
ド定番展開)、それを長右衛門が直前に決断するの
ですが、その理由がいきなり、そしてちらっと語られる
だけ。(今回の上演形態では)
え、ソレなの?なんか納得できない、胡散臭いな~な
(笑)ところ
まあ、「桜姫」の清玄が桜姫に執着する理由もそれ
系なので、何か因果な理由が欲しい感じなんでしょうか
それに、この作品、内容だけだと誰にも思い入れ
しづらい。
敢えてが今回、和生さんが遣われた、健気と言うか
不幸(不公平)一身に背負うお絹さん
で、それが見られるのがこの演目の価値なんですが、
それにしても、いやいや長右衛門、許しがたし。
そこに、文楽・歌舞伎界のもう1つの大定番、思い込む
恋愛体質女子の無敵で怖いもの知らなさ過ぎが加わる
ので、本当に幕が降りても救われません。

一転、三部は「サマーレイトショー~WelcometoBUNRAKU」として、万博などによる
インバウンドも意識したか、開演前に英語の解説と
実演付き
演目も「伊勢音頭恋寝刃」と「小鍛治」と言う、
イマドキの「刀剣系」(笑)でまとめ、イキオイで?
解説にも「とうらぶ」版の「小烏丸」に拵えた文楽
人形が見参。
人形の動きを解説してたのですが、ラストはポーズを
決めての、まさに「小烏丸」さま撮影会でした(笑)
「小鍛治」本編に登場する名刀・小狐丸の精も、
とうらぶのキャラに拵えられていました
人形は二部のあいだはロビーにいらしたので、写真を
撮りましたが、「小烏」は、つい先日、演舞場での
「刀剣乱舞歌舞伎」で雪之丞さんが演じておられたのを
見たばかりなので、さすがに私でもピンときました
(学習効果(笑)
しかもそこは人形ですから、体の動きも等身も、
人間が再現するより、明らかに「とうらぶ」の世界観に
近づくし、文楽は、狐とか怒りの神様とか、元々
超人的パワーキャラと相性よしなので、いまだ「とう
らぶ」の世界に詳しくない私でも、人形自体で格好
よさが伝わりました

前置き長くなりましたが、勿論、私の目当ては「伊勢音頭」

文楽で上演されてから歌舞伎に、と言う作品が割に
多いなか(歌舞伎サイド、割にズルい(笑)、これは
歌舞伎が先だそうで、だからか、歌舞伎で見ると
所謂、色男の貢が、妖刀・青江下坂を振り回す独特の
様式美とか、万野やお鹿とのやりとりのスリリングさ
とかがあるのが、文楽だと意外にサッパリ、なのと、
何人斬ってもそこは「お人形さま」なだけに、陰惨さ
よりいささかな滑稽さが上回りました。

文楽だと陰惨さが薄まるのも嫌いではない、ですが、
個人的には、イケメンが妖刀振り回す、独特の湿度と
一線を越えた感がある歌舞伎がやはり好みかも、です
役者の個性が、芝居に強く反映するからかもですが

それにしても、文楽劇場のエアコンは寒かった!
膝掛けでは何ともならず、二部三部の合間に、なんばの
地下街のユニクロに羽織もの買いに走りました。


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2025.08.01

9月の「国立劇場」歌舞伎公演「忠臣蔵」をいつ見るか?、それが問題だ(笑)

三月に「忠臣蔵」を歌舞伎座でやった時に、「通し」と
言いながらスルーされた、「加古川家系」の物語、
二段目と九段目を、叶うなら余り間隔を開けない
タイミングでやってほしい、と感想に書いていたら、
聞こえたとは思いませんが、まさにその通りの内容の
公演が9月の国立劇場主催歌舞伎(会場・新国立、
メンドウクサイ(笑))で上演が発表されました

配役は私の妄想とはかけ離れてはいますが、是非
見たい。
特に二段目は歌舞伎ではなかなかかからないので、
国立ならではの必見のプログラム
しかし最大の問題は、これが歌舞伎座の「菅原伝授~」
通しと日程が丸かぶり、と言う点で、こればかり
どうしたものか。
いよいよ貯まっている有給の使い時かも

「仮名手本忠臣蔵」
二段目・桃井館力弥使者の場
同・松切りの場
九段目・山科閑居の場

加古川本蔵:中村梅玉
本蔵妻戸無瀬:中村扇雀
大星力弥:中村虎之介
本蔵娘小浪:中村玉太郎
由良之助妻お石:市川門之助
桃井若狭之助/大星由良之助:中村鴈治郎

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